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伍話目  新しい朝が来た


『みおんーあさだよーおきてよー』


えぇー?まだ眠いよぅ・・・。もうちょっとだけ・・・。後、5分だけ・・・。


『ごふんってなーに?ねぇ、はやくおきなきゃあさごはんなくなっちゃうよぉ』


うるさいなぁ・・・疲れてるの、眠いの、もうちょっと寝るんだい――


『もう!み・お・ん~・・・ぉおっきっろおおおおおう!』


ぐぇえっ?!


おはようございます。朝っぱからお子様三人に圧し掛かられて内臓飛び出すかと思いました弥音です。お子様って云っても一人約10kgちょっと・・・うん、まぁ居候の癖に眠いとかそんな甘えた事云ってちゃ駄目だよね。ご飯とかも厄介になってるんだから。・・・痛かったとか・・・重かったとか・・・もうちょっと寝たかったとか・・・唯でさえ昨日あんまり寝てないのにとか・・・そんなこと、思ってはならない。いけないんだ。

井戸で顔を洗いながら溜息を吐く。今の季節は春。も、盛りを過ぎて若葉の美しい初夏に近づいてる、ぐらいの季節みたいだ(こっちでは【終わりの春】と呼ぶらしい)。井戸水はひんやりとしていて気持ち良いと云うよりちょっと冷たい。今は個人的な感覚としては7時前っていうか6時半くらい?なんとなく日が上がってなくて肌寒い。


『おや、起きたのか・・・。幼子たちが無理やり起こした様じゃのう』

「いやいや・・・お世話になってる身ですから。流石に何時までも寝ておくわけには」


朝御飯を用意しながら私に眦を下げて禮來さんが云う。云いながら子供たちを軽く睨む。・・・お母さん、強いですね。綺麗なだけに迫力も十二分。睨まれた子供たちはシュンと俯いてしまった。子供たちはきっと良かれと思ってやってくれているわけだし、ただ飯ぐらいの押しかけ人なのだから何時までもぐーすか寝ていられない。それに、お願いもあるし。顔の前でパタパタと手を振って笑う。それから「いただきます」と手を合わせて朝御飯を食べる。本日のメニューは焼き魚と玄米らしきご飯と味噌汁、胡瓜と白菜の御漬け物だ。昨日もお魚が夕飯に出ていたけれど、普段着が着物って時点で冷蔵庫が在るように思えないので(偏見)きっと川が近いんだろう。


「ごちそうさまでした。とっても美味しかったです!あの、禮來さん。後でお話があるのでお時間があれば安重さんも呼んでいただけませんか?」

『お粗末様じゃ。そうじゃのぅ・・・安重は今、庭で掃き掃除をしておるが・・・もうすぐ帰ってくるじゃろうて。暫し待っておれ』


私が寝こけてのんびりしている間に家主さんが掃き掃除・・・なんか、先行き不安すぎる。安重さんっていつも何時に起きてるんだろう・・・。どうしよう。今度からちゃんと起きれるのか・・・・・・すっごく不安だ。


「それで、お話とは?」

それから禮來さんと一緒に洗いものを片付けた後お茶を淹れて待つ事数分。「お待たせしてすみません」と安重さんがやって来た。いやもう、寧ろなんのお手伝いもせず申し訳ありません。と二人で謝り合っていると禮來さんに呆れられた。うん、確かに二人で謝り合ってる姿は結構滑稽だとは思うけどね。改めて腰を下ろした安重さんに促され、私は背筋を伸ばした。


「あの、私此処が異世界にしろなんにしろ、どうやってでも生きて、家に戻らなくちゃいけないんです。だから、此処に置いて頂きたいんです。その代わりに、お手伝いをしたいんです」

『手伝い、じゃと?』


訝しげな禮來さんの声に逆に私は、はい。と一度お茶を飲む。ドキドキする。断られたら街の場所を聞いてそこで仕事探しをしようとは思うけれど、やっぱり拒否されるのは、怖い。できれば受け入れて欲しい。例えそれが我儘だとしても。


「働かざる者食うべからず。です。なんだってします。料理でも掃除でも洗濯でも、なんだって。あ、でも宗教には明るくないので安重さんのお役にはあんまり立てませんけど・・・」


これでも・・・これでもじゃない、立派なうら若き乙女なんだ。この歳で出家はしたくない。と云うかできれば頭を丸めたりしたくない。いや、生きるか死ぬかで髪の毛に拘るのもどうかと思うよ?!どうかと思う。だけど、できれば、できれば剃りたくない・・・!!けど、でも、


「でも、生きたいんです。生きて、帰りたいんです。お願いします」


ざ・じゃぱにーず・土下座!お願いです。きっと許してくれるとは思うけれど(私は結構打算的なんだ。二人とも優しいし、許してくれるだろうなって云う予想を立てた上で云っているのだ)許してくれるまで頭を上げないぜ!ってくらいの心意気で行こうと思う(されないと思っても、拒否されたらって考えると、やっぱり怖いのだけど)。

「顔を上げてください、弥音さん」と穏やかに云われ、おぉこれは「娘さんを僕に下さい」と云われたお父さんが土下座した婚約者に許可を出す前の台詞じゃないか!キタコレ!と神妙な顔を崩さず顔を上げる。するとにっこりと頷き合う御夫婦。そしてその笑顔のまま二人は此方に顔を向けた。


「良かった。実は此方からも弥音さんにお願いがありまして」

「お願い、ですか」


はて、もしかして子守だろうか。あぁ、広そうな家だからやっぱり掃除人には困っていたのかな。とぼんやり予想を立てる。しかし、目の前の住職さんと狐さんは予想外の事をのたまってくれた。


「妖怪退治、して貰えませんかねぇ?」


はいぃ?



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