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肆話目  幼児に目覚める?

目覚めないよ!何このタイトル?!ふざけないでよ!


と怒られそうです。

因みに作者は目覚めたことがありませんが、美少女は世界の宝だと思います。

というか、美形は世界遺産だと思います。


私、稀木弥音は女子高生。これと云って部活動が優秀なわけでも、これと云って偏差値が良いわけでもない普通の公立高校に、今年の四月に入学した、普通の女子高生。スカートの丈とか、テストの点数とかを気にする、家庭科部に入っていて現在マフラーを制作中の普通の、至って平凡な、女子高生。ちょこっと【不思議な能力】を持っているだけの、普通の、至って平凡な、何処にでも居る、女子高生。


そんな普通の(以下略)女子高生の私は今、狐さんの家でご飯を食べています。


食卓には一汁三菜、バランスの整った御膳。どれもすっごく美味しい。人間、美味しい物を食べると幸せになれると思う。なんか考え方がポジティブになっていく。我ながら現金だとも思うけれど。

話を聞けば聞くほど平安時代に似ているこの世界は、だけどやっぱり異世界の様で、この時間に存在していたはずの物に揃って首を傾げていた。歴史の教科書を使用したので間違っていないだろうと思う。

でも、まだ個人的に時代・遡ちゃった☆説を諦めきれない。だから心の片隅に置いておこうと思う。


『ははうえおかわり!』

『おかわり』

『ははうえ、みおんとあそびたいよぅっ』


今のは上から安禮(あんらい)安楼(あんろう)來胡(らいう)。お二人の『愛の結晶』って奴だ。見た感じ四、五歳に見えるけれど、本当は私よりも年上らしい。・・・私がこの場で一番年下、なのだ。


「よし、遊ぼうか。何して遊ぶ?」

『これたべるー』


正直云って、子供って奴はあんまり好きじゃない。何を考えているのか解らないし、小さくてふわふわしていて壊してしまいそうだし、気を使いすぎてしまう。可愛いとは思う。でもあんまり傍に居て欲しくない。でも、なんだか癒される。まぁ、一宿一泊の恩。返さなきゃ女が廃るって奴だ!と奮起して笑顔で唯一の女の子來胡ちゃんの持っているものを見る。


「て、えぇ?」

『ね、たべていーい?たべていーい?』


紛れもなく、私が食べていたチョコクッキー、だ。そう云えば落としたのかあの時。と納得すると同時にハッと気付く。私、あの時倒れたんだからあのクッキー砂まみれなんじゃ――。


「だだだ駄目!一回落ちて砂まみれでしょ?!汚いよ!」

『もうすなおとしたよ!きたなくないもんきれーだもん』

『弥音、安心せい。砂の精に云って砂は落ちたし汚くない。幼子たちはそれを食べたくて仕方ないのじゃ。許可してやってくれ』

ころころと笑いながらこっちを見る禮來(らいらい)さんに押されてどーぞ!と半ばやけっぱちに叫ぶと今さっきまでご飯を食べていた安禮君と安楼君も『たべる!』と飛びついてきた。おおぅ自作クッキーが此処まで期待されるとなんか緊張してくるなぁ。


『おいしい!』

『あまいね、あまあまだねっ』

『らいもろうも、おくちのなかがまっくろだよ!』


三人できゃあきゃあ云ってるのを見て「後で一緒に歯磨きに行こうねー」と促す。『はーい』と声をそろえる三人に思わず身悶えしそうになった。おおおおお落ち着いて、落ち着いて私!ロリもショタも別に好きなわけじゃないのに!弱点じゃないのにっ!恐るべき無邪気なお子様効果!

因みに草叢に居た時、三人のうち一番年長の安禮君以外は今のまま人型だったらしい。安禮君は『おきつねさまのしゅぎょー』って奴で狐でいられる時間を伸ばしてる訓練の最中なんだとか。安楼君は少しの間しか狐の形になれないので安定の訓練中。來胡ちゃんは変身を完璧にする訓練をしているらしい。閑話休題。

三人を連れ立って歯磨きに出掛ける外の井戸で水を汲んで専用の木の棒を使って噛むように歯を磨く。「よーく洗うんだよ」と云うと『うん!』と元気のいい声。ごっしごっしとそりゃもう勢い良く洗う姿に思わず目を覆う。もう駄目だ犯罪者になりそう。


『まだ磨いておったのかえ?そろそろ風呂に入ろうぞ。禮と楼は父上と入るのだぞ。弥音と來胡は妾と一緒じゃ』

「はい。はい、みんなもう一回うがいしようね」

皆一緒にぐちゅぐちゅぺ!とやる仕草に思わず悶えそうになりながら歯磨きを終えた。


お風呂はなんていうか、目のやり場に超困った。禮來さんのないすばでいに自分が女ですみません!とささやかな胸を抱きしめて土下座したくなった。

いいいい一応これでもBかっぷ・・・!Aじゃないんだよギリギリ・・・!と叫びたくなった。と云うか実際ブツブツ云っていた。不思議そうな顔をされたけど、ね(だって女の子だもん。一度は憧れるじゃん巨乳に!)!露店風呂みたいな――とは云え決して外から見えない様に板とかがちゃんと立てられている――外にある大きなお風呂。

この世界は月が大きい。豆粒みたいだった私の世界とは、また大きく違うところ。

『ははうえ!かみ洗って』と無邪気にねだる來胡と優しく笑いながら洗う禮來さん。二人との間に、大きな壁を感じて、私は湯船から出られなかった。

そして物の見事に、逆上せてしまった。


お布団の中で、私は必死で考えた。

此処は異世界で、私はなんのチカラもない子供。

チカラっていうのは彼らが呼ぶ【異能】って奴じゃない。経済力とか、生活力とか、そう云った生きるためのチカラだ。この世界の常識を殆ど知らない私はほんの小さな幼子。幼子は保護者がいないと生きていけない。でもこの世界に、当り前だけれどそんな人、いない。居るはずがない。

この家の人たちが頭に浮かぶ。云ったら、良いですよ。って云ってくれそう。

安重さん住職さんらしいし。困ってる人を見過ごせない性質みたいだし。

ツキリと胸の奥が痛む。良くしようとしてくれてる人を利用しようとする汚い私。でもそんなの、ずっと、ずぅっと昔から、だ。でも、胸が痛い。でも、死にたくない。


グルグルグルグルと頭の中でそればかりが浮かぶ。嫌だ、こんな所で死にたくない。元の世界に戻りたい。恩返しを、したいんだ。きっと一生掛っても返しきれないけれど、それでもこんな私を、見返りなんて求めずに受け止めてくれた人たちに最大限の感謝と恩を。

だからまだ死ねない。仕方がない、利用することになっても、家事とか子守とか何か仕事を――と、そこでハタと気付く。


そうだ。だったら、仕事を貰おう。住み込みで働かせて欲しい。これでどうだ。

これなら別に私は良心の呵責に耐えなくてもいいわけだ。グッジョブ私!ナイスアイデア!

よしよし、早速明日にでもお願いしてみようと、白みかけた空に私は一人、ほくそ笑んだ。



やっと、動き出しそう、です・・・。

深夜に打ってるので誤字脱字が激しく不安です。一応二度見たんですが・・・・。

誤字脱字報告、よろしくお願いします!

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