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増えた

森林浴よ! マイナスイオンよ! 宝庫よこの森!


そう、私は今フラウと森に来ている。

お屋敷からちょっと北に位置するこの森、凄いのよ。

ティーツリー・ユーカリ・サンダルウッド・ジャスミン・イランイラン・ジュニパーバリー・サイプレス・金木犀・沈丁花 その他ハーブ諸々

おまけに様々な薬効を持つニームまである!

季節とか原産国とか無関係で色んなものが自生しているのだから、まさに宝庫よね。

色々と香りを楽しみたい。

ただこの国では香りを楽しむって文化は無いのよね。

他の国には香水は存在してるみたいだけど。

それに薬草として薬師が使う事はあるみたい。

私としては薬として利用する気はないけど、少なからずハーブティーやアロマ・お香も薬効はあったりもするのよね。

西洋ではアロマも医療や予防医学に取り入れられたくらいだし。

だから自分やバルドさん一家で楽しめればいいかなぁ。

単なる趣味だしね!

今日はサンダルウッド、そう白檀を手に入れたい。

私の一番好きな香りなのよね。

出来れば扇子が作れそうな大きさの木片が欲しいんだけどな。


『ロゼ これなんかどうかしら?』


フラウに言われてみてみれば、いい感じの木片が転がっていた。

おぉー、いいね、いいね。

余った部分で小物や匂い袋まで作れそう!


「フラウ、さすがだね!凄く良い感じだと思う。」


そうでしょ?と言わんばかりの笑顔が可愛い。

その木片を拾って、籠の中に収めた。

籠の中にはお昼用のサンドウィッチが入っているんだけど、ちょうどお腹もすいて来たし匂いが移るのもいやだからいい感じの場所を探して食べようかな。

少し進めば、滝と川が見えるいい感じの場所があった。

うん、ここならよさそう。


「フラウも食べる?」

『少しだけ食べようかしら。』


フラウの口に合う様に切り分けてお皿に乗せ渡すと、嬉しそうにしていた。

精霊は特に食事を必要とはしないらしいんだけど、気が向いたら食べる事もあるみたい。

そう言えばフラウのサイズは小さな妖精サイズのままだ。

体付きは立派なボンキュッボンッなのにもったいな・・・コホンッ。

必要に応じて大きくもなれるけど、小さい方が便利なのよと言っていた。

うん、そうね。確かに便利よね?

お風呂もちゃっかり一緒に入って来たし。

あの片手桶が湯舟代わりにもなってたし。

寝る時なんか翡翠と一緒に寝てたし。

虎徹なんかは馬の代わりに乗られてたし。

まぁ特に困る事もないからいいんだけど。

ナディは小さくなれないのかと聞いたら


『ロゼ ギュッ できない 小さい 無い』


と言われたので、なろうと思えばなれるらしい。

あれから毎夜やってきてベットに潜り込んでくるから、出来れば小さい方がよいのだけれど。

なんなら牛でもいいんだけど・・・。

あ、やっぱ無しで。牛は駄目だ。大きすぎる。ベット潰れちゃう。


「そう言えばフラウ。普段はお庭に居るの?」

『そうね。私は庭の薔薇に宿る精霊だから庭に居る事が多いわ。』

「なるほど、なんかイメージがピッタリね。」

『だってロゼのイメージに合わせてこの姿になってるんだもの、当然でしょ?』


フフフッと笑うフラウは可愛い。

あれ? 今私のイメージに合わせてっていったよね?

確かに庭の薔薇を見て綺麗で可愛いとは思ったけど。

じゃあナディは?

牛を見てあんな美青年をイメージしたって事?・・・

いや確かにあの毛並みは綺麗だと思ったけど・・・


『ナディはルシェやラファを参考にした姿になったんじゃないかしら。』

「え?そうなの?」

『3人で楽しそうにしてるのを見て、自分も一緒に居たいと思ったみたいよ。

 後牧草に声を掛けてくれたのも嬉しかったと言っていたわね。

 それは私も同じ。庭で色々な草花に声を掛けてくれていたでしょう?

 嬉しかったのよ?』

「そっかぁ。昔から庭いじりや畑仕事してても独り言が多くてさ。

 つい植物にも話しかけちゃう、癖になってるのかもね。」


子供の頃、植物にも感情があって音楽聞かせたり話しかけたりするのもいいって本で読んだ。

それから話しかけるようになったのよね、周囲から見れば怪しかったかもだけど。


フラウと話してたら パシャッ て水音が聞こえた。

川で魚でも跳ねたのかな?

魚が居るのなら、今度は皆で釣りに来てもいいのかもしれないな。

と、川へ向かってみれば・・・


カワウソ?・・・にしては大きいような?・・・


「どちら様?」


自分でも思う。間抜けな質問だと。

他に言いようがなかったのか、私・・・。


『あ、えっと・・・。精霊?』


この子も精霊なんだ。

って何故疑問形?・・・

あ、もしかして


「君も名前があれば進化するとか?・・・」

『たぶん?・・・』


だからなんで疑問形。


『コラッ。一人で出かけたら駄目だと言っただろう。

 あれ?・・・』

「ラッコ・・・」


今度は銀色のラッコぽいのが現れた・・・。やっぱり大きめだけど。


「えーっと、2人はお知り合い?」

『あー、この子は僕の弟なんだよね。

 君は・・・人間?  だよね??』

『そうよ。ただし異世界から呼ばれた人間だけどね。』


代わりにフラウが答えちゃった。いいけど。

ラッコの弟がカワウソ?

カワウソって成長したらラッコになるんだっけ?ならないよね?

あ、見た目が似てるけど違う生き物だから、カワウソモドキが成長したらラッコモドキになるとか?

両親がカワウソとラッコでMIXとか?

それって遺伝子的にいけるの?無理じゃない?いや異世界だからありなのかな?

うーん、深く考えるのはやめておこうかなっ!


『ああ、そうか。 

 ここ300年聖女が現れないと人間が言っていたな。

 なるほど、異世界から呼んだのか。』

「聖女かどうかは解らないけど、ロゼと言います。よろしく?」

『『 よろしく? 』』


お互い疑問形で挨拶するのもどうかと思うけど、まぁいいや。


『ロゼ、そろそろ日が傾くから戻りましょう?』

「もうそんな時間?

 じゃあ帰ろうか。

 またね、モドキブラザーズ。」


モドキブラザーズは 頭にきっと???を浮かべただろう。

モドキってなんだ?てなるよね。ごめん。名前解らないんだもの。あるのかも解らないけど。


で???

なんでベットにモドキブラザーズがいるかな。

チョコンと座って可愛いけども!

可愛いけど、そうじゃないよね?!

どうやって来たの? 何でここに居るって解ったの?!

精霊だから?精霊の前身だから?

でもそこベットだよね?ベットじゃなくてソファや椅子でもいいんじゃないかな?

あれ?でもナディもしれーっと最初からベットに居たよね?


『僕 名前 貰った ロゼ 場所 解る』


なるほど? 名前を付けて貰ったから私の居場所が解ると。

じゃぁモドキブラザーズは?


『『 コッソリ着いて来た。 』』


そっか、コッソリ着いてきちゃったかぁ。

ってコッソリじゃなくてもよかったんじゃない?

コッソリとかストーカーじゃん!

そしてやっぱりベットじゃなくてよくない?


『『 ナディがここ、いいよって教えてくれた。 』』

「・・・・。」


ナディ、ベットはね。寝る所なんだよ?

座る所じゃないし、遊ぶ所じゃないし、君達の巣でもないね?

そこは私のベット。私の寝る所なんだよね。解るかな?


『僕 ロゼ 一緒 好き だめ?』


ああああ、美青年が可愛く首を傾げるなぁぁぁ。

可愛いから、いいよって言っちゃいそうじゃん。


『ロゼ? だめ?』


はぅっ・・・


「ちゃんと服着るなら・・・」


負けた・・・私の根性無し!


『ロゼ 好き! ありがと』


くぅ・・・このあどけなさで見た目が美青年。反則よこれ!


『僕達も名前が欲しい。だから着いてきちゃった。ごめん。』


ああぁ、この可愛いモフモフのスリスリ攻撃もたまらんっ。

いや落ち着こう私。

名前ね、名前・・・。

カワウソ・オッター・ヴイードラ・・・ヴィーでいいかな・・・。

ラッコ・シーオッター・ゼーオッター・マルスコーイボーブル・・・マルスかな・・・。


「お兄ちゃんがマルス、弟くんがヴィー。でいい?」

『『うん、ありがとう!』』


ホワンと光って 金髪碧眼の美少年兄弟が現れましたとさ。


「じゃぁ名前も付けたし寝る時間だし、お家に戻ってね?」

『今日だけ、だめ?』

『だめ?』


え?

何故君達はベットで寝たがるのかな?

たまには一人でゆっくり寝たいのだけど?


コンコンッ カチャッ

『ああー!またなんか増えてる!僕枕持ってくる!!』

『え? うわぁ本当だ。俺も急いで持ってくる!』

『なになに? あー、私もベアドール持ってくるー!』

『なぁに?夜だから静かに・・・あら。私も用意するわね。』


まってまって、三兄弟はまだしもアルテシアさんは待って?

またバルドさんがいじけちゃうからー!!

って、バルドさん・・・。なに枕抱えて一番乗りしてるんですか。

もういっそこれ、大きなベットルーム作りませんか?と言い掛けてやめた。

そんな事したら遠慮なくきそうだもんね・・・。

そして今後も精霊は増えそうだよね、なんとなく・・・。

うん、考えるのは辞めよう。寝よう、そうだそうしよう・・・。

 

読んで下さりありがとうございます。

拙い文章ですが少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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