表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/40

ボンキュッボンッ

疲れた。

色んな意味で疲れた。


あの後はちゃんと普通の牛さん達と遊べた。

ブラッシングしたり、一緒にお昼寝したり。

牛舎の掃除も手伝ってきた。

ピッチフォークの扱いに慣れているのには驚かれたけど、向こうでも牧場に遊びに行った時は手伝ってたしね?

体を動かしていると何も考えずにいられるし、嫌な事も忘れられるからストレス発散になるのよね。

何よりやり終えた時の達成感!

振り返って牛舎がスッキリしたのを見ると やったぜ! て満足感が半端なくて好きだ。

牧場の人にはいつでも気軽に来てくれと言ってもらえた。

うん、また行こう。


ナディはしばらくはあの農場に居ると言っていた。

別にあそこから動けないとかじゃなくて、牛達との生活が面白そうだからしばらく牛の姿で居ると言ってた。

くれぐれも 走るな 光るな とだけは言い聞かせておいた。

ルシェとラファを乗せていた牛達がバディにつられて走っちゃったからね・・・。

2人共乗り慣れてたし男の子だったから落とされなかったけど、ハイデアだったらと思うとちょっと怖かった。

飼える時には全員 ベロベロ祭り再び だったけど・・・。


そんな訳で? 心身ともに疲れていたのよね。

だからゆっくりとお風呂に入って部屋に戻って来たんだけど・・・。


スヤァ・・・


いや スヤァ じゃないから。

なんでナディがベットで寝てるのよ、私のベットで!

牧場で生活するんじゃなかったの?!


「ナディ?

 どうして君がここで寝ているのかな?」

『むにゃむにゃ・・・ ロゼ 一緒に 寝よ?』


うぐっ・・・寝ぼけて目をクシクシするナディは可愛い・・・。

生まれたばかりだから仕草が幼いのも仕方がないと思う。

でもね?

見た目は二十歳(はたち)ソコソコの美青年な訳ですよ?

しかもなんでか半裸な訳ですよ?

それがベットの中から 一緒に寝よ? と誘ってくる訳ですよ?

ヤバくね?・・・


「ナディ、ナディは男の子でしょ?

 男の子と女の子が一緒の部屋で寝るのは、あまりよろしくないと思うよ?」

『でも 牛の皆 一緒 寝てる』

「牛さんはいいのよ。 でも人間は駄目じゃないかなぁ。」

『ナディ 人間 違う 大丈夫』


あー・・・うん。そうね。ナディは精霊だもんね。

だからと言って一緒に寝るのは・・・いいのかな?

いや 良くないよね。

困ったなぁ・・・。


コンコンッ


『ロゼ 疲れてるだろうからお茶持ってき・・・た・・・よ?』


あぁ・・・ルシェ・・・。

後ろからひょこっとラファとハイデアも顔を出した。


『なんでナディがそこに居るんだ・・・。』

『ロゼ姉様 一緒に寝るの?!』

『ずるい! 僕も一緒に寝る! 枕持ってくる!』

『僕 ロゼ 一緒 寝る 初夜!』ニッコリ

『初夜?! 駄目だ!俺だってまだなのに! 俺も枕持ってくる!』

『私だってベアドールをもってくる!ロゼ姉様待っててね!!』

「え? ちょ。待って。このベットじゃ狭いと思うの!」


私・・・言うべきはそれじゃないよね?・・・。

初夜って何、初夜って! 初めての夜って事よね?

そりゃナディは今朝生まれたから人生初の夜で初夜であってるかもしれないけど

でも一般的に初夜って言うと・・・・ねぇ?

さっきの言い方だと少なくともルシェは意味を理解してたよね?・・・

ん?・・・ 俺だってまだなのに、とかおかしなことも言ってたような?

今度一回 じっくりと話をしておこうかな?・・・


結局はバルドさんもアルテシアさんも 子供達だけで楽しそうな事するのはずるい! と言い出して皆で寝る事になったから、侍女さん達が大忙しだった・・・。

ベット自体は移動させるのは大変だから、床にマットレスとクッションを敷き詰めて

皆の枕と肌掛けを用意して。

なのに誰もナディが半裸なのを気にしない。

精霊だからだろうか?精霊だから半裸でも気にしないのだろうか?

むしろ気にする私がおかしいのか? 

うん、そうだね。皆が気にしないなら私も気にしないでおこうかな。


うん、無理。

結局気になってあまり眠れなかった。

背中からナディに抱き付かれ、正面からラファに抱き付かれ、ルシェとハイデアは拗ねてバルドさんはいじけていた。

なんでバルドさんがいじけるのか謎・・・。

アルテシアさんはハイデルを抱きしめて満足そうに寝ていた。

そっか、バルドさんはアルテシアさんを抱きしめて寝たかったのかも。

いやむしろ夫婦2人で寝たかったのかも。

なんかごめんなさい・・・。



今日は図書室に来ている。

三兄弟はここで家庭教師と勉強中。

この国には学校は無くて、そこまで高度な教育も求められていない。

読み書きと基本的な計算が出来れば十分らしい。

ただ彼等は小国とは言え王家の子供なので小難しい勉強をやらなければならないようだ。

貿易だの国交だのもあったりするんだろうから、知識はあったほうがいいんだろうな。

頑張れ三兄弟。

他の国は・・・どうなっているのかとかぶっちゃけ興味ない。

関わる事はないだろうし、無いと信じたいし、勉強とか苦手・・・。

興味がある事に関して調べたりするのは好きだけどね。

なので私はここで植物の本や動物の本を読んでいるんだけど。

名前こそ違うけど、花やハーブなんかは見た目も効能も似ている。

動物達も見た目がなんとなく似ているけど、名前が覚えにくい・・・。

ちょっとづつ覚えればいいかななんて思ってる。

今更だけど、文字も発音もどうやら自動変換?で読めているし書ける。

話せる時点で疑問に思えって? うん、そうよねぇ。

最初はそんな事すら考える余裕なかったのか、能天気なだけなのか・・・アハハ。


ずっと本を読んでいるのも疲れたので庭で休憩する事にした。

やっぱりこの庭は癒される。

ダマクスローズに似た薔薇が多くて香りもいいのよね。

ポプリにしたりエッセンスにしたり出来ればいいのになぁ。

確か美肌効果があったよね?

VaとVcが多いからローズティでもいいよね。アルテシアさんに相談してみよう。


『美肌に興味があるの?』


ん?

急に聞こえた可愛らしい声に辺りを見回した。

ハイデア?と一瞬思ったけど彼女はまだ勉強中だろう。


『ここよ、ここ。』


薔薇の花にちょこんと腰掛けた可愛い妖精?・・・

精霊と言うよりは妖精ってイメージの子がいた。

ピンクのゆるふわな髪が可愛い。 ちょっと濃い目のピンクの眼も可愛い。


『やっと声が届く人が現れて嬉しいわ。』


そう言ってヒラヒラ手を振ってくれる。

うはぁー、可愛すぎる!


「初めまして。あなたは精霊かな?」

『残念ながらまだ精霊ではないの。

 でもロゼが名前を付けてくれたら精霊になれるかも。』

「そうなの?・・・」


名前つけて進化するって事?・・・

ポ〇モンみたいに戦闘で進化とか某MMOみたいに進化アイテム必須とかじゃなく?


『ウフフ、不思議そうね。

 でもロゼから名前を貰えるって事はロゼから祝福を受けるって事でもあるの。

 精霊って大きな括りから個になれるからね。』

「なるほど?」


まあ確かに 人間て一括りよりは個別に認識される方が嬉しいかも?


『ロゼ 私にも名前を頂戴?』


はうっ・・・そんな期待に満ちた目をされましても。

グイッと顔を近づけられましても・・・。

ああ、そんな小さくて可愛い手で頬を挟まれたら・・・・。

付けます。付けさせて下さい。

フラワー フローラ コノハナサクヤ ドライアド

うーん・・・フラウ。よしフラウにしよう。


「フラウでどうかな?」

『フラウ・・・素敵。ありがとう。』ちゅっ


はぅ・・・ちゅっってされた。あの可愛い口でちゅって・・・。

幸せ・・・。

なんて悶えてると フワンと光って小さな妖精っぽい姿から見事な・・・

見事な豊満ボディのボンキュッボンッなおねぃさんに・・・おぉぅ・・・。眼福。


『やっと精霊になれたわ。ロゼこれから宜しくね。

 美肌に興味があったんだっけ?』

「よろしくね、フラウ。

 女の子は皆 美肌に興味があるんじゃないかなぁ。

 ここは自然豊かだからエッセンシャルオイルやアロマエッセンスなんかに使える物が多そうだなぁって。」

『エッセンシャル?・・・アロマ?・・・

 よくわからないけど、植物を使いたいって事なのね?』

「うんうん、健康にも美容にも料理にも色々と役に立つのよ。

 もちろん取りすぎには気を付けないとだけどね。」

『そうね、だったら少しは手伝えるかも。

 森に行くときは声をかけてちょうだい。』

「うん、ありがとう。フラウ。」


夕飯後にアルテシアさんに話をしたら、薔薇はこの国の国花らしくて有用に使えるならいいわねと言われた。

ただ無暗に乱獲とかはしたくないから、こじんまりとでいいんじゃないかなとも話した。


読んで下さりありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ