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牛さん

しばらくして満足したのか牛さん達は離れていき、私達は涎を洗い流しサッパリとした。

この世界、お風呂も一応はあるけど、魔法で身綺麗にする事も出来るみたい。

生活魔法と呼ばれるものはこの世界の人は皆使えるんだって。凄いよね。

でも私は異世界の、魔法なんてものが無い世界から来たから使えない。残念。

だからアルテシアさんにやってもらったんだけど。


『私がロゼ姉さまにしてあげたかったのにー!』

『僕だってしてあげたかったんだから!』

『ラファ兄様は男の子でしょ、駄目よ!』

『じゃあ俺がやる!俺なら見た事あるからいいだろ!』


ヒィッ、ルシェ、何言い出すのよ!忘れなさいよ!!


『『「 よくないっ!!  」』』


ルシェはバルドさんに怒られていた。

早く忘れて欲しいんだけど・・・。

というか、あの時そんなに見てたの?・・・

一方的見られてたのかあ、じゃぁこっちも見てやろうかしら。

そうすれば恥ずかしいって解るだろうし?

ちょっと押さえつけてひん剥いてみる?

・・・・・

ちょっとそれはマズイ気がしてきた・・・。

違う世界が開かれそうな・・・。

ダメダメ、戻ってこい私。 ここは牧場! 牛さんと遊ぶのよー!


『ロゼ、大丈夫?』

「ハッ、大丈夫だよ! さあ牛さんと遊ぼうー!」


ここの牛は乗る事も出来ると聞いて、私は大喜び!

牛に乗れる! しかもサラサラ長毛の白い牛!

ルシェもラファも乗れるみたいで喜んでる。

馬具みたいなのは着けずにそのまま乗るらしい。


『ゆっくり歩くだけで走る事はないから安心してね。』


って言いませんでしたっけ?

今走ってますよね?この牛さん・・・。

こっちではこれが歩くって事?

んな訳ないよね?とルシェとラファを見れば・・・

あっちも走ってた・・・。

マジで? これが通常? 歩いてるの?これで。


『もっと走る?』


へ?・・・


『ロゼが望めば僕もっと走れるよ?』


へ?・・・

僕もっと走れる?・・・

まさか牛さん?・・・

チラッと見れば目が合った。

あ、これ目が合ったら駄目なヤツじゃ・・・

牛さんが ニヤッと笑った気がする、たぶん気のせいじゃない・・・。


ふおぉぉぉぉぉぉぉ


早い早い、落ちる落ちる いや落ちないけど。 お尻がいたーい!

必死に鬣?毛を握る。

牛ってこんなに早く走れるんだ。そういえばバイソンなんかは70km/h出るんだったっけ。

いやいや、そうじゃなくて。ちょっと休憩したい。お尻が痛い。


『休憩する? 戻るね。』


ダダダダッと走って戻る牛さん。 ゆっくりでよかったんだけど・・・。

さっきから話してるのってやっぱりこの牛さんだよねぇ。


「牛さんは会話が出来るの?」

『ロゼとだけ出来る。 僕だけ出来る』


本人?本牛?に聞いてみた。

私だけ出来る=聖女効果? この牛さんだけ出来る=特別な牛?

牛の代表・・・・群れのリーダー?


『ロゼ、大丈夫?疲れてない?』


アルテシアさんが声を掛けて来た。表情からして心配はしてないみたいだから牛さんが走るのは知っていたみたいね。


「大丈夫。ちょっと驚いたのとお尻が痛いけど。」


牛さんから降ろして貰ってそう答える。

近くにあったベンチに腰を掛けて、渡された牛乳を飲んでみると

うまーーーーーっ! めっさウマッ。濃厚で甘みもコクもあって ウマッ!

はぁー幸せ! 向こうでも毎日1ℓ飲んでたもんねぇ。


『気に入ったかい?』


牧場の人に聞かれたので全力で頷く。


「今まで飲んだことのある牛乳の中で最高です!」

『ハハハ、それはよかった。』


この牧場はバルド家専用なのだと教えてくれた。

だから他の牧場よりも飼育頭数は少ないけど、その分手間暇をかけて大切に飼育しているんだって。

なるほど、だから毛並みもいいのね。


「そう言えば、さっき私を乗せてくれた子は群れのリーダーだったりしますか?」

『ん? そう言えばてっきりリーダーの牛だと思ってたが・・・

 よく見れば違うな。 何処から来たんだ?』

「え?・・・」


この牧場の子と違うんかーいっ。

ちょっと牛さん牛さん。あなた何処の子よ。


『僕? ここで生まれた。 ロゼに会うために。』


はい?・・・

群れのリーダーじゃなくて?


『リーダーはあっちの子。 僕 ロゼに会う為 今朝生まれた。』


今朝?! じゃあ生まれたての赤ん坊?!

違うよね、どうみても成体だし私乗せて走ってたし。

もしかして?・・・


「アルテシアさーん。もしかしてこの牛さん精霊だったりします?」

『ロゼ、気付いてなかったの?』

「え? 見た目とかで解るもんなんですか?」

『だって普通はあんなに走らないし、光らないわよ?』

「やっぱり走らないんだ・・・。

 ん?・・・ 光ってたの?!」

『見事に光ってたわよ。だから皆で安心して見てたのよぉ。

 普通の牛があんなに走ってたら止めるわよ?』

「ルシェとラファも走ってたような?」

『あの子達は速度が違うし光ってなかったもの、ふふふ。』


oh・・・。

牛さん・・・光るのは目立つから止めた方が・・・。


『解った。 次気を付ける。

 ロゼ 僕 名前欲しい。 名前あると僕嬉しい。』


名前・・・。名づけのセンスないのに・・・。

うーん・・・・。白い牛・・・。

インドの神様が乗ってた牛 なんだっけな。

ナンディンだったっけ?・・・そのまま付けるのもなぁ。

ナン・・・食べ物になっちゃう。

ナディン・・・ナディ・・・よしナディにしよう!


『ナディ 気に入った。 僕ナディ。』


ホワンと光ったと思ったら美青年が現れた。

なにこの美青年、まさかの牛さんが美青年になった?!

私に抱き付いてスリスリと頬擦りしている・・・。


『あらあら、随分と懐かれたのね。』

「生まれたてで名前が欲しいと言われたので、名付けたらこうなりまして?」

『ロゼ 僕初めて。 お尻大丈夫? 痛くしてごめんね?』


ゴフッ

待って、その言い方。誤解を生みそうな。

いや、乗って走る所は皆みてるから大丈夫かな?

そう考える私がヤバイのかな?

とアルテシアさんを見たら・・・

バルドさんと2人で生暖かい目線になってた・・・。

いやいや、待って。違うから。

いやお尻は確かに痛いから違わないんだけど、違うから。


『初めてのお尻?』


ゴフッ

ハイデア、その言い方もっとヤバイから。見てたよね?見てたでしょ。

全力疾走の牛に乗る私を見てたよね?


『俺だって、俺だってロゼの初めて 見たから!!』

『え?ずるい! 僕だってロゼの初めて欲しい!』


ゴフッ ゲフッ

2人共 待って?・・・ もしかしてワザと言ってる? ねぇねぇ・・・

ルシェは私の初めての何を見たって?

ん? んん? やっぱりこう押し倒して、お姉さんがひん剥いてあげようか?

ラファも初めてが欲しいとか言わないのよ!

むしろ私がラファの初めて頂くことになっちゃう・・・

いやいや、そうじゃなくて。しっかりしろ私。消え去れ私の煩悩。

そりゃ学生時代薄い本とか作ってたりはしたけど。


『ロゼは皆に好かれてるのねぇ。』

『そうだな。』


好かれるのは嬉しいしありがたいよ?

でもほのぼのせずに、子供達を止めようか?

誤解を招くような言い回しは辞めた方がいいんじゃないかなぁ。

気が付けば ナディ ラファ ルシェ ハイデアの4人に抱き着かれて身動きが出来なくなっていた。

4人は何かヤイヤイと言っているけど、可愛らしい兄弟喧嘩を見ているようで微笑ましい。タブン。

ちょっと苦しいけど・・・。

ナディが精霊だと言うのなら、やっぱり私は聖女って事になるんだろうか?

実感はないんだけどね・・・。

まぁいいや、せっかく牧場に来たんだし、ここは取り敢えず


「牛乳のお代わり。もぉ1杯!!」

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