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番外編3

梅雨の間の晴れ間とでも言うべきかな。

すこぶる洗濯日和のこの日 私達は紫陽花が咲き誇る庭でBBQをする事になった。

勿論この世界にBBQなんてものは存在しない。

ついうっかりと、本当にうっかりと口にしてしまったのよね。



「BBQ日和よねー。」

『『『 なにそれ! 』』』


しまったと思った時にはもう遅かった。

洗濯物を干しながら何気なく言ったその一言だったのに。

皆興味津々で目がキラキラしていた。


「えーっと・・・。

 庭とか瓦で簡易的なコンロを作って炭火で串に刺したお肉や野菜を焼く?

 みんなでワイワイと会話しながら楽しむ野外の食事?」

『なるほど、屋台の串焼きみたいな物か?』

「うん、似てる感じかな。」

『『『『 やってみたい! 』』』』


と言う事で、皆で竹串を削ったりBBQソースを作ったり肉を捌いたりで準備をして今日に至る。

翁もちゃっかりと自分用のミニ竹串を準備していた。

網や鉄板は屋台で使う物を何故かバルドさんが持っていたので借りて来た。

肉や野菜の串打ちは私がやってもよかったんだけど、皆がやってみたいと言うので材料を大皿に盛りつけてそれぞれが好みで串打ちをしてもらう事にした。

ただし翁だけは苦戦していたので私がやる事にした。

味付けはシンプルに塩胡椒・照り焼き風ソース・BBQソースの3種類を用意した。

自分の好みで焼きながらハケで塗ってもらう。

飲み物は 麦酒・サングリア・柑橘系ジュース・ミントウォーターを用意してある。

サングリアはラファのリクエストだったので甘めの赤ワインで作って炭酸で少し割ってアルコール度数を下げてある。

弱めのアルコールは12歳以上の子も飲めるのだそうだ。

とは言え私は飲まないけども・・・。


炭火もいい感じに回って落ち着いたし串の準備も出来上がったので焼き始める。

肉からでた余分な脂や肉汁がしたたりジュゥーと焼ければ香ばしい匂いが辺りに広がる。

翁のは小さいのですぐに焼けた。そうやら照り焼き風のソースが気に入ったみたい。

そんなに慌てて食べるとお口の中火傷しちゃうよ?


『はっ ぅふっ ふぅー ほっ』


いつもはふぉっふぉっふぉって笑い声しか聞こえてこない翁の口から変な声が漏れてくる。

あ、ちょっと涙目になってるから火傷したのかも。

熱かったんだろうな、手に持っていたグラスの中身を一気飲みしてた。

って、え?待って?

翁が持ってたグラスの中身って麦酒だったよね?確かこっちの麦酒ってアルコール度数が高かったよね?

翁・・・お酒は強いのかな?・・・


『ふおぉー!』


え?翁?顔が真っ赤になってる!

えぇー!しかも脱ぎ始めちゃった!待って待って!いくら暑いと言っても脱いだらだめぇぇぇぇ。

・・・・

褌一丁になっちゃった。ってこの世界にも褌ってあったのぉ?!

と何を思ったのか翁は 竹串を器用に組み上げてリンボーダンスを始めてしまった。

おぉぉ~。翁凄いねリンボーダンスできちゃうんだ!って、えぇぇぇ。こっちの世界にリンボーダンスってあるのぉ?!

クレハもディーヴァも何も言わないからあるのかな?

次に翁は自分の腕と同じくらいの長さの串を二本とってその先に布を巻き付けた。

まさかとは思うけど・・・

ぶわっ くるんくるんっ

ファイダーダンス・・・。ねぇ待って?翁?どこで習ったの?っていうか何で知ってるの?なんで出来ちゃうの?何か色々と不思議すぎるんですけどぉー!!

ぶおっと口からアルコールを吹いて炎を巻き上げる。

ちょ!そのアルコール何処から出て来たの?何処から持ってきたの?ってかそんな技まで出来ちゃうのぉ?!えぇぇ・・・。

もうどこから突っ込んでいいのか解らなくなって来た。

見た目はどう見ても純和風なのに! なんでリンボーダンスとかファイヤーダンスが出来ちゃうんだろう。


「ハカまで出来ちゃったりして。まさかねぇ。」


ボソッと呟いたはずなのに翁には聞こえてたらしくてニカッと凄くいい笑顔をされた。

まさか・・・


Ka mate! Ka mate!Ka ora! Ka ora!

Ka mate! Ka mate!Ka ora! Ka ora!

Tenei te tangata puhuruhuru!


うそぉぉぉ。本当にやってるし歌詞まで凄い!

ちょっと翁 本当にこの世界の精霊なのぉ?!なんでハカまで知ってるのよ。出来てるのよ!

もしかして翡翠や虎徹みたいに巻き込まれてついて来ちゃったパターン?

いやそんな事はないよね。だってあの紅葉の古木の精霊よね?


『ふぉっふぉっふぉっふぉっ』


うわぁ凄いドヤ顔になってる!うん確かにすごかったし格好良かったけどもぉー!

あ・・・れ?

なんでクレハとディーヴァとウリン脱ぎ始めたの?

え?ウリンまで脱ぎ始めてるの?!

枝を手に持って?布を巻いて?火をつけて?

ちょ!3人もやるのぉ? って、いつのまに3人も褌!何故に褌!その褌何処から出てきたのぉ?!

えぇぇ・・・。

待って待って待って待って?

何でそこでルシェとラファまで脱いだの?えぇぇ2人までやるのぉ?危ないから!君達2人は人間なんだから!いやそういう問題でもないな。

ああああ・・・。5人共ファイアーダンス始めちゃったよぉ。

うんもぉいいや、深く考えるのは止めよう。皆酔っぱらってるでしょー!

これって怪我さえしなきゃ楽しんだ者勝ちよね? アハハ・・・


   ☆ ★ ☆ ★ ☆彡



結局あの後も飲んだり食べたりしながら夜遅くまでBBQという名の宴は続いたのよね。

皆どこで覚えたのか褌付けてるし、怪我する事無くファイアーダンスは踊れるし。

何故か虎徹の火の輪潜りまで始まるし。

誰が一番低くまでくぐれるかリンボーダンス大会は始まるし。

翡翠は海老反ってる皆の上を飛び越えて遊んでるし。

まさかのウリンまで参加とは・・・。驚いたなぁ。

でも皆で楽しめていい思い出になったからいいかな。


後日 フラウ ナディ マルス ヴィーに何故誘ってくれなかったのかとクレームが来た。

アハハ・・・そうだよね。

夏の間にもう1回BBQやるかなぁ。

その時はバルドさんやアルテシアさんも誘って湖畔か河原がいいかな。

スイカ割とかも楽しそうよね。ふふふ。

読んでいただきありがとうございます!

ブックマークや評価も凄く嬉しいです、有難う御座います!

またネタが浮かびましたら更新するかもです。

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

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