ベロベロ祭り
本日も晴天なり!!
今日は牧場へ行く! 楽しみだぁ。
せっかくだから、皆で行く事になった。
バルドさんは
『牧場視察だ!』
と執事さんに言っていた。
ふふふ、視察だ、仕事だと言う割には楽しそうよね。
デスクワークばかりじゃ疲れるし、たまには外に出るのもいいよねなんて思ってたら
『旦那様は視察だ、収穫の手伝いだと外に行く事が多すぎです。』
と言っていた。
なるほど、デスクワークよりも体を動かす方が好きなのね。
しかも、せっかくだから馬との相性がよければ乗ってみるかとも言われた!
やったぁ。
だから今日の服はデールみたいな乗馬しやすい服なのよね。
馬~。手触りがビロードみたいで気持ちよくて、背中で揺られてる時も心地よいのよね。癒されるし。
ホースセラピーとかあるくらいだもんね。
とニコニコしてる内に厩に到着。
馬を見て驚いた。
フリージアンホース、デストリエ、アイリッシュドラフト
軍馬と呼ばれた種に似た 大型の馬だった!
逞しいけど美しい肉体。なのに愛らしい眼。鬣や足毛も綺麗!
青毛・鹿毛・栗毛・白毛・青鹿毛・黒鹿毛 長毛に短毛
うわぁー、もぉ眼福! ご馳走様ですジュルリッ と言いそうになった。おっとアブナイ。
とは言え、勝手に近づくのは危険なのよね。初対面だし。
「ここまで大型馬が揃ってると圧巻ですねぇ。
どの子も逞しくて綺麗で格好良いですねぇ!」
『ロゼ、眼がキラキラしてる』
「そりゃあね? 見てて癒されるし。ああ触りたい~。
ラファは触りたいとか思わないの?」
『僕は・・・触りたいけど・・・。』
『ラファ兄さまは小さい頃馬に髪の毛を食べられたのよね~。』
ぶっ・・・。
『あれは食べられたんじゃなくて、涎でベチャベチャに・・・』
「甘噛みされて馬の涎まみれになったのかな?」
『うっ・・・』
「そっかあ、じゃぁその子はラファと遊びたくて甘えてたんだねぇ。
私も服や手を甘噛みされてベトベトになったりしたよ?」
ふふっと笑えばファラも照れながら笑った。
『ロゼは自分の馬を持っていたのかい?』
「私は個人所有をしていなかったから年に数回牧場い遊びに行くくらいだったなぁ。」
『ほう、それでもそんなに懐いていたのかい?』
「うん、甘えん坊がいたのよ。」
あの子ともコロナで外出禁止令が出て会えてなかったなぁ。
なんて思ってたら 背中に何かグリグリと押し付けられた。
なんだろう?と振り向けば
ぶふんっ ふんふんっ ふんーっ
風圧が・・・生暖かい風圧が・・・。
あ、鼻息かこれ・・・。
「やあ、君は来てくれたのかな? 触っても大丈夫かな?」
話しかければその馬はおでこをグイグイ押し付けて前足でカシカシ地面をけっている。
ご機嫌なんだねー、触ってもOKて事かな? 触っちゃうよ?
そっと首筋に触れてみる。 嫌がってないみたい。 大丈夫そうねー。
指を動かしてワシャワシャと撫でまわす。
あ、ちょっとうっとりしてる?気持ちいい? ふふふ可愛いねー。
『おや、相性の良い子が見つかったみたいだね。
さすがと言うべきかな。その子に乗って行ってみるかい?』
「差支えなければ、この子に乗せてもらいたいです!」
きっと眼からキラキラビームでも出てたかもしれない。
バルドさんに笑われてしまった。
馬具を取り付けて・・・これは厩を管理してる人にやって貰った。
さあ牧場へしゅっぱーつ!
バルドさんと私以外は馬車だったけど。
パカポコと蹄鉄が地を蹴る音が心地よい。
顔に当たる草の匂いも気持ちよい。
久々の乗馬 サイコーー!!
そう言えば、この子の名前何て言うんだろう?
『バルドさん この子名前は何と言うんですか?』
バルドさんの眉がへの字に下がった。
なんでだろう? 名前聞いちゃ駄目だったかな。
『お父様とか父上とかは 呼んでくれないのかい?』
ぐはっ・・・ そっちですか、そうきましたか・・・。
まだ3日目?4日目? 無理でしょー!
「まだちょっと・・・恥ずかしいと言うかなんというか・・・。」
『そうかい? だったらパパでもいいんだよ?』
「ぐはっ・・・」
ナイスミドルに向かってパパとか、脳内妄想で違う方向に走りそうでヤバイです、駄目です、無理です。
『あなた! そう焦らせないでちょうだい! ゆっくりでいいのよ、ロゼ。』
馬車から顔を出してアルテシアさんが叫ぶ。 聞こえてたのね・・・。
『でもお母様とか呼ばれたら嬉しいかも・・・。』
そっちもかーいっ。て、ボソッと言ってポッと頬染めないでくださいっ!
とてもフレンドリーに接してくれているのは、きっと気を使ってくれているんだろうなぁ。
私もいつの間にか敬語じゃなくなってるし・・・。
こうやって牧場に付き合ってくれるのも。
皆優しい人達だ。
あ、この子の名前聞く前に到着しちゃった・・・。後で聞こう・・・。
「牛?! え? これ牛?!」
目の前に放牧されているのは・・・
真っ白い毛のジャコウウシ?・・・
あ、ウシってつくから牛か・・・。
ブラッシングされてるのか、毛もサラサラ。どんな手触りなんだろう。
あの円らな眼もいい! ああ可愛い!!
『ロゼ姉さま、落ち着いて?』
「え?落ち着いてるよ?」
『でも手が・・・こう・・・。動いてるよ?』
「え?・・・」
あらやだ・・・。こう・・・指が勝手にワキワキ動いてた・・・。
ハイデアに言われるまで気付かないとか・・・。恥ずかしい・・・。
牧場の人達にまで笑われたし・・・。
牧場の人の説明によれば 日中は敷地に放牧しておいて夜は牛舎にいれるのだそう。
餌は牧草と干し草。グラスフェッドて事だね。いいね!
「凄く青々と育ってて緑の絨毯みたいだよね。
君達のお陰で美味しい牛乳や乳製品が食べれるんだねー。ありがとね。」
しゃがみこんで牧草をさわさわしてみる。
草のいい匂い。みずみずしくて色も綺麗だし、ちゃんと牧草の手入れもしてるんだろうなあ。
「・・・」
『・・・』
「やあ?」
牧草の合間からなんだろう?トビネズミをもう少しモフモフにしたような小動物が見つめている。
眼が合ったので やあ と声を掛けてみたけど疑問形になってしまった。
ここに住んでる小動物かな? モフモフ可愛いね。
野生動物なら下手に出はだせないよね。
でも見てるだけならいいよね?
ふふふ、ああ癒されるー。可愛いー。
フンスッ
はい?
フンスフンスッ ベローンッ
舐められた?・・・
何に舐められたのか確かめようとしたけど
フンスフンス ベロンベロン フンスッ ベローンッ
眼が開けられないんですが?・・・
あれですか?牛さんですか?
舐めるのはいいんだけど、ちょっと一回待ってもらっていいかな? 息が出来ないかもしれない。
誰かー、とーめーてー。 この牛さん、たぶん牛さん、とーめーてーぇー。
『ああぁぁ、コラ、止めないか。落ち着け、お嬢さんが息できないだろう。』
気が付いた牧場の人が駆け寄ってきて止めてくれた。
ハァ・・・ハァ・・・。窒息するかと思った・・・。
ロゼ嬢 牛に舐められ窒息死
ニュースの見出しが頭に浮かんだけど、頭を振ってかき消す。
いやいや、やだやだ。それなんかマヌケじゃない?恥ずかしくない?
きっと歓迎してくれたんだろうけどさ。
物事限度って物がね?・・・牛さんや?
ぐふっ・・・
ベローンッ
皆笑ってるけど、やられてみればわかるから!
ちょっと牛さん、あっちの皆にもやってあげて? きっと喜ぶから。
あら?伝わった?
他の牛さんが皆に集まってベロベロ祭りが開催されてる・・・。
ふふふ、道連れよ道連れ!
ベロベロ ベローンッ
うわー、きゃー
ベロンベロンッ
うははは、きゃははは
うん、楽しそうね。気分は余は満足じゃーて感じ。
余裕こいて眺めてたら またベロンベロンされたわよ、私も・・・。
読んで下さりありがとうございます。
拙い文章ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。




