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我儘な結果

エルフの長はウリンと言う名前だった。

ウリンは家が完成するまでここに住む事になった。

ベットはロフトにハンモックを吊り下げていたのだけど日中は琥珀に占領されていた。

うーん。これは琥珀用のハンモックを作った方がいいのかもしれないね・・・。


さすがエルフ、ウリンは植物全般に詳しかった。

お陰でずっと悩んでいたシャンプーや石鹸の悩みが解決した。

一応はあったんだけど、質が悪いというかゴワゴワ感じが凄かったのよ・・・。

その石鹸やシャンプーをベースに数種類のハーブや木の実を加えれば水分と改善された。

いい感じの香りも付いて大満足!

量産する気はないのかと言われたけど、するつもりは無いのよね。

ただ山河の森で特産品にするのならばどうぞとだけ言っておいた。

この国の特産品はチーズやバターがあるし、もう少し何か欲しいとバルドさんが言えばリップクリームやハンドクリームでもいいかなと思うから。


あの一件以来 ルシェはウリンから魔法について指導を受けている。

元々魔力は高い方だったからグングンと成長しているみたい。

ラファは剣の稽古に励んでいるらしい。

2人共頑張れー!

私はのんびりとポプリを作ったりサシェを作ったり匂い袋を作ったり。

こういうのんびりした生活がいいのよ。

でも・・・何か忘れている気がする。

なんだろう?・・・


思い出したのは夕飯のメニューを考えようとパントリーのドアを開けた時だった。

ドサァァ・・・

あぁぁ!!

餅!! これだぁ! 磯部餅 黄粉餅 絡み餅にお汁粉ー!!

ニヤニヤしながらキッチンに戻ると皆がこちらを凝視していた・・・。


『なんだそれは?』

『チーズにしては堅そうだよな。』

『石鹸とも違うな。』

『ラードか?いや違うな・・・』


あれ?餅を知らないのかな?・・・

翁だけは知っているみたいで嬉しそうにしている。


「ふふふ、これはね。餅って言う南部の食べ物だよー!

 夕食はこれにしまーす。」


翁はずずずいと餡子を押し出した。

お汁粉が食べたいのかな?

でも今日は夕飯としてだから、お雑煮かなー。

なおも餡子を押し付けてくるので、翁の分だけお汁粉にしようかな。

翁の眼がキラキラしている。くぅ、可愛い!!


『あつっ』ふぅふぅ

『おぉー、伸びる!』びろんっ

『うわっ』べちっ

『くっついたのだが。』むにょんっ

『『『『 だが旨いな! 』』』』

『ふぉっふぉっふぉっふぉっ』


初めての餅は好評だった。

ただ、のど越しもよいからつい皆食べ過ぎで苦しかったよね。

食後は恒例の・・・ボードゲームで遊んだのだけど・・・。

万年最下位ですけどなにか?・・・

ウリンが初めてだって言うから脱最下位かと思ったのにぃー!

おかしいってばぁー。何かがおかしぃー・・・。

と唸りながらもお茶を飲んでいると


『なぁロゼ。』


気が付けばリビングにはルシェと2人だけになっていた。

なんだろう・・・。


『俺はやっぱりロゼが好きだ。』


ゴフッ

いきなりだね・・・。

まっすぐに見つめてくるルシェの瞳は真剣なものだった。

バクバクバク どっくんどっくん

自分の心臓の音がうるさくドクドク言っているのが解る。


『俺と結婚して欲しい。愛してるんだ。』


私の左手を取ってそう告げてくる。

!!!!

そうだ、忘れてたのは餅の事じゃない、これだったぁ。

もうすぐ冬も終わってしまう・・・。

どうしよう・・・どうしようじゃないよ。

これは・・もう自分に正直になるしかないよね・・・。

あの時に自分の気持ちはハッキリわかっちゃったしね。


「ルシェ、私も大好きだよ。

 でも、ごめんね。誰か1人とかは選べないんだ・・・。

 皆・・・同じくらいに大好きなの。」

『ロゼの好きは・・・異性として?家族として?それとも友として?』

「・・・異性として。愛してるよ。」


自分で言っておきながら真っ赤になって次の言葉が出なくなってしまう。

皆が好きで皆が大事で、誰かを失うのが嫌で1人を選べないのはズルイと思うけど・・・。


『皆同じくらいにか・・・。』

「ごめん・・・」


と、ルシェの顔がニヤリと悪戯に笑う。


『て事らしいぞ?』


クレハとディーヴァが姿を現す。

その後ろからラファまで・・・。

え? ええ?? どういうこと?!


『じゃんけんで求婚する権利を俺が勝ちとった!』


んん?! ごめん理解が追いつかないんだけど?


『つまり、兄上が皆の代表としてロゼに求婚したんだよ。』

「え?・・・いやだって・・・え??」

『精霊には結婚と言う概念はない。だがなルシェとラファだけと言うのはなぁ。』

『人にとっては大事な事なのだろう?』

「そうだけど。いやそうじゃなくて。」

『僕前に言ったよね?どっちかじゃなくて両方選ぶのでもいいのかって。』

「そういえば言ってたような?・・・」

『『 そういう事!! 』』


いいのかな、これで・・・。

なんだろう、この世界乙女ゲームだった?

まさか夢オチとかじゃないよね?・・・

って言うか選べなくてごめんね。

と申し訳なくなって涙目になってた私の殊勝な気持ちを返して!


『乙女ゲームとはなんだ?』

『夢オチとはなんだ?』


ぶはっ・・・そこは気にしないでくれるかな?・・・。

まあいいや、夢オチだったとしても。

私が皆を大好きで 皆も私を好きでいてくれて

今幸せ気分なんだからいいかなーなんてね。


「じゃあ・・・皆これからもよろしくね?」

『ああ、幸せにする。』

『違うよ兄上。そこは一緒に幸せになろう。だよ!』

『『んむ。皆で一緒にだな。』』


そう言えばラファはいつのまにやって来たんだろう?


『私が連れて来た。』


なるほど。クレハが・・・。

て事はこれ前から皆で相談し合ってたの?

全然気が付かなかったよ・・・。

これからも皆で一緒に居られる喜びと

誰か一人を選ばずにすんだ安心感?とでポロポロ涙がこぼれる。

ディーヴァが頭を撫でてくれればクレハがその手をペシッと払いのける。


『ロゼ。今日は誰と寝る?』


はい?!何故にそうなるのかな?・・・


『『『さあロゼ、選んでくれ。』』』

「今日は・・・」

『今日は?』

「一人で寝る!!!」


そう言い切った私は自分の部屋に駆け込んだ。

ゆっくり眠りたいのよ。

たまには一人で眠りたいのよ。

バンッとドアを閉めれば・・・


ゴフッ

ヘッドスライディングしそうな勢いでつんのめった。


ベットの上に・・・

4人がチョコンと座っているのよ・・・。なんで?!


『ロゼ 選べないなら皆で寝よう。』

「皆でってそれじゃ狭いでしょ?!」

『『 心配ない。 』』


ディーヴァが魔法でベットをクィーンザイズに改良しちゃった・・・。

ハハハ・・・。諦めるしかないかぁ・・・。

私は1人でゆっくり眠れる日があるのかな・・・。

まぁこれはこれで楽しいからいいかな・・・。

いいのかな?・・・。いいよね? いいって事にしておこう。

なんだかんだ言いながら、この関係がとても心地よくて好きだな。

明日からまたのんびりと・・・スローライフを楽しもう。

気分的にはのんびりじゃない気もするけど・・・ね?



今回で完結となります。

つたない文章ですが読んで下さり有難う御座いました。

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