狼さんとお花畑
おはようございます?
寝返りが打てず首を寝違えた私の目の前に・・・
巨大な狼が居るんですけど?
誰よ拾ってきたの・・・。
よくこんな大きな狼入れたよね。
いやいやそうじゃなくて・・・。
どう見ても普通の狼じゃなさそうだよね?
「お座り」
ばふっ
「お手」
ぽんっ
「BAN」
ごろんっ ぽてっ
おお、芸達者な狼だね。
寝起きで頭が回ってなかったんだと思う。
なんで唐突にこんな事やらせてるんだかと自分でも思った。
狼さんもなんで素直にやっているんだろう?
『『 うわぁ! 』』
朝食の準備が出来たからと起こしに来たルシェとラファが驚いていた。
うん、そうなるよねぇ・・・。
『ロゼ、この狼は?・・・』
「うん、わからない・・・。」
『ディーヴァ達なら何か解るかな?』
「かなぁ?」
『精霊ではない、としか解らぬな。』
「ぅわっ」
いきなり現れないでよ、びっくりしたぁ。
そうよね、精霊なら私も会話出来るものね。
ぽんっ
手元に手紙が現れた。
読めって事かな?
でもごめん。私首が痛くて下向けないや・・・。
「ルシェ、読んでくれない?」
『え?いいけど、どうしたの?』
「寝違えて下向けない・・・。」
「そ・・・そうか。」
手紙の内容は
先日港町で助けた女の子のお母さんからの物でお礼が述べられていた。
お母さんは南部の巫女様で、この狼さんはそのパートナーらしい。
なるほど?よく私の居場所が解かったものだなと思った。
狼さんは手紙とお礼の品を持って来てくれたらしいのだけど、出来れば寝起きは止めて欲しかったかも。
「狼さん、お返事書くから少し待っててくれる?」
わふっ
『すまぬが・・・。先に朝食にしないか?』
「あ・・・。そうだね。狼さんも食べる?」
わふっ
ダイニングへ移動して朝食を摂る。うぅ・・・首が・・・。
動きが不自然なコマ送りになってるから、皆が笑うのよ・・・。
皆もなってみればいいんだ・・・。
食べ終えた後手紙を書いた。
せっかくだから何かお土産も添えたいよね。
なにが良いかな、とパントリーのドアを開けば
ドサァァ
餅の雪崩が・・・。
なんで餅があるのよ。しかも大量に・・・。
わぅわふっ
あ、餅を持って来てくれたって事?でパントリーに収納しておいてくれたと。
そっかそっか、ありがとう。でも多すぎないかな?
好きだけど。 うん、餅は好きだけども。
磯部 黄粉 お汁粉 雑煮 おろしで食べるのもいいよね。
・・・じゅるりっ
そうじゃない、今はお土産を探してるんだった。
いくつかのハーブティーと・・・
そうだ、この前作ったリップクリームとハンドクリーム。
どちらも材料は同じで簡単に手に入るのよね。なのにこの国にはなかった・・・。
簡単だから作り方は覚えていたし。
蜜蝋・植物油・アロマオイル この3つで出来ちゃうのよねー。
ただ保存期間は短い。2ヵ月くらい。
2ヵ月で使い切ってねと書いておかなきゃ。
そういえば、南部は東洋文化っぽかったから白檀の匂い袋もいいかもしれない。
匂い移りしないように、それぞれを瓶にいれて可愛くラッピング。
おぉ、我ながらいい出来栄えじゃない?ふふふ
籠に居れると少し隙間があるので特産のチーズも入れて置いた。
「じゃあ狼さん、よろしくね。」
わふっ
狼さんはホワンと消えていった。
あ、しまった。
次に来ることがあれば寝起きじゃない時によろしくと言うのを忘れてた・・・。
狼さんを見送った後 ラファもそろそろ帰ると言い出した。
『兄上さ、もうすぐ成人だよね?
成人したらすぐロゼと婚約するの?』
ゴフッ
『それはロゼ次第かな。』
何故私に振るの! お互いの気持ちまだハッキリしてないよね?・・・
え?まさかルシェはもう解ったの?・・・
『『だからロゼは恋愛音痴だと・・・。』』
え? え? ディーヴァとクレハにも解ったの?!
ちょ、翁まで何その生暖かい眼は・・・。
マジで?
ハッキリしないの私だけ?・・・ うそぉー・・・。
「えーっと・・・。」
『ロゼはまだ解ってないんだろ?いいよ。焦らす気はないからさ。
それにラファだって解ってるんだろ?』
『うん、僕は自分の気持ちははっきりしたからね。』
そ・・・そっか。私だけか・・・。
『焦らすつもりは無かったんだけどさ。
例の武の国の動きがちょっと怪しいらしいんだ。』
どうゆう事?と思ってたら
どうやらハイデルに届いた王太子の手紙に
例の脳内お花畑の姫聖女がさらに暴走して各国の王子に求婚の手紙を出しまくってるらしい。
何やってんだか、さすが脳内お花畑。
悪い魔女に捕まっている可愛そうな王子様、私が救って差し上げますわ
なんて書いてあるらしい・・・。
『『『『 うげぇ・・・』』』』
おぉー、翁が初めて声出した。 第一声がうげぇとか・・・。
いやそうじゃなくて・・・。
『大国は跳ねのけても大丈夫なだけの戦力は保持してるけどさ。
小国のいくつかは断ると戦を仕掛けられたらしい。』
はい?・・・
武の国にはそれを止めようとしたりする人は居ないのかな?
居ないか・・・。居たらクレハが国を捨てて移住する訳ないもんね。
うーん、他の小国はどうなのか解らないけど、この国は農業国だもんね。
戦とかになっても困るよねぇ・・・。
『うちの国は遠いからまだ大丈夫だけど。
父上達は兄上と僕の婚約を形だけでもしておきたいみたいだ。』
『なるほど、断る理由が出来る訳だな。』
『ハイデルと王太子の婚約も早めるそうだよ。』
なるほどぉ。
でも婚約者がいるからって諦めるのかな、あの脳内お花畑は・・・。
自分が気に入ったら言い掛かりつけてきそうよねぇ・・・。
かと言ってあんなのに求婚するような人いないだろうし?
うーん・・・
そういう事情もあるからと言ってラファは帰って行った。
課題を置いて帰るなと言いたかったけど、ラファが居るからって妙案が浮かぶ訳じゃないしね・・・。
いっそあの脳内お花畑が大国の王子にでも横恋慕して破滅してくれればいいのに・・・。
いやいや物騒だな私。
だいたい標的にされた王子が可愛そうだろう・・・。だめだめ却下。
そう言えば武の国と他国の位置関係ってどうなっているんだろう?・・・
『彼の国は 魔の国・山河の国・海の国・商の国に隣接しておる。
魔の国は魔法を得意とする国なので武の国など取るに足りぬ。
山河の国は霊峰と呼ばれる山々が連なっておるので攻め入るのは無理であろう。
商の国は物流を担う国であるが幸いな事今代に王子は誕生しておらぬ。
海の国は亜人が多いゆえ、あの阿呆は興味を示さぬであろうな。』
ルシェが地図を広げてみせてくれた。
ん? て事はさ・・・。あの脳内お花畑ほぼ相手にされないんじゃ?
いや・・・山河の国と海の国の間に武の国の領土が伸びてるのか・・・。
そこから海に出れますよと。
そして今被害にあってるのがその周辺の島国なのかな・・・。
うわぁ・・・・。
海に面した国土があれば、当然船も持ってるよね。
武の国だから軍艦なんかもあるのかもしれない・・・。
めんどくさっ・・・。
正直そんなのに関わりたくないんだけど・・・。前にも言った気がする・・・。
でも楽観視は出来ないよね。
一度バルドさんと相談かなぁ・・・。




