見えない?!
着替えた後は家の中を案内してもらったんだけど、広かった。
侍女さんとか執事さんとか数人でこの家の事をこなしているらしい。
お金持ち? 貴族? て思ってたら違った。王様一家だった・・・。
王子様っぽいなとかお姫様っぽいなとかじゃなくて、正真正銘の王子様やお姫様だったんだ・・・。
いや見眼麗しいなとは思ったよ?だから王子様とかお姫様とか勝手に思ってたけど、本物の王子様お姫様だったんだぁ・・・。ハハハ・・・。
『他の国は貴族とかの階級があるんだけど、うちはそういうの無いのよ。
小さな島国だしね。だから気にしないでね?』
アルテシアさんにそう言われたけど・・・いいのかな?
聞けばこの国は総人口で3000人くらいしか居ないらしい。
酪農と農耕が盛んでおだやかな国らしいので、なんとなく北海道が浮かんだ。
勿論人口規模は違うけど。
「酪農と言えば、乳製品が多いのかな?」
『うん。牛乳が一番多いけどチーズやバター、ヨーグルトもあるよ。』
「おぉぉー、いいね!」
『ロゼは乳製品好き?』
「うんうん、大好き!」
『そうか、じゃあ今度牧場に行ってみる?搾りたての牛乳は格別なんだよ!』
「やったぁ!!楽しみ!」
家の中を案内して貰ってる内にラファとはすっかり打ち解けた。
ルシェはお父さんと会議中?らしい。
ハイデアはお友達の家へ遊びにいっているそうだ。
お父さんて事は王様よね?・・・挨拶とかいいのかな?
でもお仕事中だろうし邪魔する訳にもいかないよね。
後でラファに聞いてみよう。
『そろそろお昼ね、天気もいいしお庭で食べない?』
アルテシアさんの言葉にうんうんと頷く。
さっきチラッと見えた庭は花が沢山咲いていて綺麗だったのよね。
あそこをゆっくり見て見たい。
アルテシアさんは侍女さんに昼食の準備を頼んだようだ。
こっちよと言われて 庭へ向かえば
イングリッシュガーデンとでも言えばいいかな、童話に出てくるような庭だった。
ああ、これよこれ! こうゆう庭にあこがれて自分の庭もこうしたかった。
ガーデンアーチやオベリスクに弦薔薇を這わせてたりしてさ。
ガゼボで庭を眺めてブランチしたりティータイムを楽しんだり。
憧れの世界がここにー!
『ふふっ、ここが気に入った?』
「それはもぉ!私の憧れてた、造りたかった庭ですっ!」
『あら、そう言って貰えて嬉しいわぁ。うちの子達誰も興味持ってくれなくて。
この庭は私の自慢よ。』
「これだけの庭、管理するのも大変なのにお手入れもちゃんとされてて。素敵です!」
そんな話をしていると、昼食が運ばれてきた。
サラダとキッシュみたいなのと小振りのパン、それに真っ白な牛乳!
そこにラセと・・・一緒に居るからお父さん?がやって来た。
『あらあなた。お疲れ様です。』
『父上、兄上。お疲れ様です。』
あ、今がチャンス? 挨拶しなきゃ。
「初めまして、お世話になっております。ロゼと申します。」
席から立ちあがりペコリと頭を下げる。
『ああ、君がロゼかい?話は聞いているよ。私はバルドだ。
戸惑う事も不安に思う事も多いだろうが、私の事は父だと思って頼って欲しい。
堅苦しいのは苦手でな、気軽に話して貰えると嬉しい。』
そう微笑むバルドさんはナイスミドルというかちょっと若めのイケオジというか。
ルシェやラファと似ている、さすが親子。いやイケメン親子!
ハイデアはアルテシアさんとそっくりだから、こっちは美人親子って事よね。
ん? 美形ファミリーって事じゃん。
挨拶が終わり、食事が始まる。
ルシェは私とラファが親しくなっているのを見てズルい!と拗ねていた。
バルドさんとアルテシアさんは私達を見てニコニコ嬉しそうだった。
「弟ってこんな感じなのかな。」
ついポロッと思ったことが口から出てしまった。
『ロゼは兄弟居なかったの?』
「姉と妹がいたよ。男兄弟はいなかったなぁ。」
『そっか・・・。
ごめん。こっちに来ちゃったから・・・会えなくなっちゃったよね。』
「ああ、気にしないで。
家族は・・・誰も残って居ないの。」
『え?・・・』
『『『・・・』』』
「新しい病気が見つかってね、急速に世界に広がって・・・。
予防法も治療法も詳しく解ってない頃家族がかかっちゃってさ。
違うとことに住んでた私だけ・・・無事だったんだ・・・。」
コロナでパンデミックになりかけた当初 家族は全員感染して亡くなった。
海外旅行とかも行った事なかったのにな。
亡くなってすぐに火葬に回されたから、最後に顔も見れていなくってあまり実感も無かったのよね。
『大丈夫!僕達が居るから!』
『そうよ、私達が居るわ。それにロゼの家族は心の中にずっといるでしょ?』
『ああ、家族が増えた、そう思ってくれないか?私は娘が増えて嬉しく思うよ。』
『俺・・・俺がロゼの兄にも弟にもなるから!
姉や妹には・・・ちょっと無理だけど。』
『あら、妹は私がいるわよ。』
『『『『 ハイデア?! 』』』』
『戻ってきたら、こんな話なんですもの。驚いちゃった。
でもね、ロゼ姉様。私は姉上が欲しかったから!』
ぎゅっと抱き着いてくれたハイデアはちょっとだけ目がうるうるしてた。
ありがとう。ぎゅっと抱きしめ返す。
こうゆう、なんかしんみり?みたいな気を遣わせるのって苦手なのよね。
「ごめんね。私の中ではもう割り切ってる事だから大丈夫よ。
時々思い出すけど。
それに皆が 家族だと思ってくれって言ってくれて嬉しかったから。
ありがとう。」
その後は食後のお茶を楽しみながら のんびりと庭を眺めていた。
うん、やっぱりこの庭は素敵だ。癒されるー!
『ねえロゼ。さっき言ってた牧場さ。明日行ってみない?』
『あら、いいわね。』
「牧場! 行きたい! 牛に触れたりするかな?」
『ロゼは牛、怖くないの?』
「え? 牛よね? 大丈夫よ? 馬は乗った事もあるし羊は毛刈りもやった事あるし。」
『ええ?!』
「ルシェもラファも乗った事ないの?馬。」
『ああ、成人するまでは馬には乗れないんだよ。
子供だと主と認めてもらえないからな。』
「なるほどー。」
確かに牧場にもよるけど子供だと言う事聞かなかったりもするもんね。
馬って頭いいし。
あれ?・・・
ここの成人って幾つなんだろう?・・・
そして皆、幾つなんだろう?・・・
「素朴な疑問なんだけど、成人て幾つ?」
『成人は17歳だよ。俺は来年だな。』
?!
『僕は今12歳だから、後5年。』
!!!
『私は後7年ね。』
あー、ハイデアはなんとなく納得。
って、ルシャもラファも若い! 大人びてるのね・・・。
『ロゼは幾つなの? 馬に乗った事あるなら成人してるんだよね。』
うぐっ・・・ 言いたくないなぁ。
「にじゅう・・・はち・・・。」
『え?』
「28よ!」
『『『『『 ええぇぇーーーー 』』』』』
『見えない・・・。』
『17か18だと思ってたわ。』
『うーん、ロゼの世界とこの世界では時間の流れが違うとかあるのかな。』
『そうかもしれないわねぇ。いずれ精霊に会えたら聞いてみましょうか。』
「精霊ってそういう事も判ったりするの?」
『詳しくはわからないかもだけど、今のロゼが幾つかはわかるわよ。』
「そっかぁ。知りたいような知りたくない様な・・・。」
若返ってるかもしれないって事よね?だったら嬉しいかも?
言われてみれば、お肌もちょっと張り艶があるような?
深くは考えないでおこうかなぁ。
もし若返っていたらラッキー程度で。
それよりも明日は牧場! 牛! 搾りたての新鮮牛乳!
牧羊犬とか居るのかな?いたらモフモフ出来るのかな?
ああ、楽しみ~~!
読んで下さりありがとうございます。




