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刺身?!

誤字報告ありがとうございます、助かります。

『兄上ずるい!』

『私だってロゼ姉様の所に泊まり込みたい!』


やっぱり2人は拗ねたみたいで、なんとかしてくれと泣きつかれてしまった。

私に振るの?・・・えぇぇ・・・。

どうした物かと悩んで悩んで悩んだ結果、冬前に港町へ行こうと思って居たので連れて行く事でラファにはなんとか納得して貰った。

その後に小さな村をいくつか周ろうと考えていたので、そっちにハイデルを連れて行く事でハイデルにも納得して貰った。

どちらも1週間の予定だ。

今度はルシェが拗ねていたけど、ルシェは3ヵ月一緒に居るんだからいいでしょ?


港町へは馬で2日掛かるので実質町に滞在するのは3日間になる。

ラファはまだ未成年だし、本来ならまだ馬には乗せて貰えないんだけど

そこは青藍とナディが交渉してくれて、白馬の子が乗せてくれることになった。

ラファはすごく喜んでその子に小雪と名付けていた。


道中はとても快適だった。ラファが居るので魔道具が使えたからね。

テントの中も簡易ストーブみたいなので温かかったし。

護衛代わりにクレハが付いて来てくれたので獣に襲われる事も無かったしね。

本当はディーヴァが来たかったらしいけど。


『ディーヴァは王なのだから長期間この森から離れるのはマズイだろう。』

『いつもクレハばかりロゼに付いていてズルイではないか!』

『私は自由の身だからな。』

『ならばクレハが王になればよいではないか。そうすれば私も自由の身に。』

『無理だろ!』

『1週間くらいよいではないか!』

『ディーヴァが王として選ばれたのだから諦めろ。』

「ディーヴァ?私ほとんどの日はここに居るよね?

 港町や村を周って来るけど、戻って来るし。

 お土産も買ってくるから。ね? 待ってて?」

『お土産?・・・ 私に?』

「そう、ディーヴァだけに。」

『私にだけ?』

「うんうん。」

『では・・・留守を守っていよう。』コホンッ


お土産に釣られたよこの精霊王。 子供かっ!と言いたくなった。言わないけど。

まあ嬉しそうにしてたから、いいかな。拗ねた顔も可愛かったし。


そして着いたよ港町!

潮の匂いだ! 新鮮な魚介だ! 貿易の船かな?大きな帆船も見える。

活気もあって賑やかでいい町だな。

公園や広場にはちゃんと草木も植えられている。この時期だから花は少な目かな。

そのお陰で精霊達もチラホラと居るみたいだった。


『ロゼ、僕初めて港町に来た。凄く賑やかだね。』

「そうだね。新鮮なお魚もいっぱいあるし。美味しい物が食べれそうだよ?」


まずは宿を決めようと、通りかかった人に聞いてみた。

この街に宿は3件。他国の船乗り用が2軒と旅行者用が1軒。

ありがたい事に案内までしてくれて、お勧めのお店も教えてくれた。

お礼を言って宿の中に入ると、肝っ玉母ちゃんて感じの人が居た。おかみさんかな?


「こんにちは。宿泊希望なのですが部屋は空いてますか?」

『はいよ、いらっしゃい。 何日泊まるんだい?』

「3日の予定です。」

『2人一緒でいいのかい?』

『はい、一緒の部屋でお願いします。』


どうしようとちょっと悩んだけどラファが答えてしまっていた。

まあいいか。ここで別々にとかいったら拗ねそうだし。


『なら3階の右の部屋をどうぞ。料金は前払いで朝食付き。夕飯は別料金になるけど必要なら昼までに声をかけておくれ。』

「解りました。お世話になります。」

『ゆっくり町を楽しんでおくれ。』


指定された部屋に向かうとベットが2つにテーブルとソファ。

トイレは勿論、お風呂も付いていたのでありがたい。

簡単に荷物を片付けて、ソファで少し休憩をする。


「ラファ、どこか見て見たいお店はある?」

『うーん、色々ありすぎて選べないや。』

「確かに・・・。屋台も色々あったしね。」

『いい匂いがしててお腹が鳴りそうだったよ。」


へへっとラファが笑う。確かに食欲をそそる匂いだった。

明日のお昼は屋台で見繕って公園で食べるのもいいかもしれない。

公園なら精霊と会話もできそうだしね。うん、そうしよう。


「よし、ラファ。少しお店を見て回ろうか。」

『うん。何があるのか楽しみだね。』


そうして宿を出て歩いてみれば。

魚の干物や燻製。瓶詰になってるのはオイルサーディン?アンチョビ?

鮮魚もあるし、輸入品かな?雑貨店もある。

と、小さな男の子の姿をした精霊が手を振っているのが見えた。

なんだろう?何か用事があるのかな?


『付いて来いと言っているようだな。』


なるほど。じゃあ行ってみようか。

案内されたのは大通りから少しだけ離れた小さなお店。

何屋さんだろう?


『おやいらっしゃい。珍しいね、旅行者かな?』


店主かな? THE海の男!みたいな人に声を掛けられた。


「こんにちは。この精霊に案内されて来たんですけど。

 ここは何屋さんですか?」

『ああ、このちびっこいのはやっぱり精霊だったのか。

 時々客を連れて来てくれるんだ。

 ここは飯屋だ。俺は店主のトマスだ。』


なるほど、言われてみれば大衆食堂って雰囲気があるよね。

夕食にはちょっと早い時間だけど、お腹は空いているのよね。


「ラファ、ちょっと早いけど食べていく?」

『うん、いい匂いだらけでお腹すいた!』

「お店、営業中ですか?」

『おう、入んな。』


店内に入ると漁師っぽい人や町の人も数人居た。

メニューは何があるのかな。

煮魚セット 焼き魚セット 刺身セット

へぇー刺身もあるんだ。

刺身?! 刺身あるの? マジで? 生魚平気なの?ここの人達。


「すみません、この刺身って。」

『ああ、内陸だと馴染みがないかもな。

 ここらだと新鮮な魚は生で食う事もあるんだよ。』


なるほど。刺身は鮮度が大事よね。うんうん。

魚は何を使ってるんだろう。


「何の魚を刺身にしているんですか?」

『そうだな、鮪や鰤。今日は鯵もあるな。』


なんですとぉー! 鰤があるの?!鯵もあるの?! 鯵なんて鮮度がよくないと出せないよ!


「鯵と鰤の刺身お願いします!!」

『ロゼ、生魚平気なの?』

「ん?向こうでは普通に食べてたもの。美味しいのよ?」

『そうなんだ。じゃあ僕も刺身にする!』

「食べた事無いなら無理しなくてもいいんだよ?」

『ロゼが美味しいって言う物は美味しいから食べてみる!』

『ははは。2人共刺身でいいのか?』

「はい、お願いします。」


あれ?でも刺身にパンってどうなんだろう・・・。合わないよね?・・・。

そんな心配は要らなかった。

出てきたセットは 炊き立ての米と刺身と味噌汁。定食じゃん!定食よねこれ。

って、なんで米があるの?味噌があるの?刺身につけるのって醤油よねこれ。

まさかの山葵まであるの? マジかー。 神ご膳じゃんこれ!最高過ぎる。


「米よ米!炊き立てご飯がある! 味噌汁も!

 醤油と山葵まで、ああもう泣きそうに嬉しいぃー。」

『ロゼ、落ち着いて?皆が見てるよ?』


ハッ・・・しまった。テンションあがっちゃってた。


『ワハハハ。姉ちゃんここの食事に詳しいな。』

『旅行客は刺身を嫌がるんだが、そんなに喜んでくれると漁師としちゃ嬉しいぜ。』

『味は俺達が保証するぞ、さあ食ってくれ。』


漁師さん達は愉快そうに笑っていた。

それでは・・・遠慮なく・・・。

ぱくっ もぐもぐ  んまーーーーーーっ。

この鰤、腹身にしてくれたんだ、脂乗っててうまーっ

美味しそうに食べる私を見てルファも挑戦していた。

あああ、ラファそれ山葵付け過ぎ!


『!!! ぅぅぅ・・・。鼻が・・・つーんて・・・。』

「ラファ、山葵は少しでいいのよ。ホラお味噌汁飲んで!」


そりゃそうでしょうよ。あんなに山葵付けたら、私でもつーんてなるわよ。

目頭抑えながらウルウルしてるラファは・・・可愛かった。

辛さが収まったラファは 今度は少量の山葵を付けて食べていた。


『うわあ。なにこれ。美味しい!口の中で溶けてるみたいだ!』


そうでしょうそうでしょう。美味しいのよ鰤の刺身。

鯵の刺身も美味しかったわよ! これは帰る前にもう1度食べにこなきゃね!

持って帰れないのが残念だわあ。

視線を感じて横を見れば、さっきの精霊が居た。


『ね?美味しいでしょ。僕 お姉さんに教えたかったんだ。』


そっかそっか、ありがとねー!嬉しいよ。

へへへと精霊ははにかんでいた。 くぅー、可愛いなあ、もう!。

読んで下さりありがとうございます。

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