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鏡の中の私?

『元気になったみたいで良かったわ。』


そう言いながら、お茶を煎れてくれる。


「すみません。ベットの上からで。ちょっと寝着のままで出る勇気がなくて・・・・。」


そう、寝着が・・・キャミソールワンピみたいなのよ・・・。

そりゃ新婚さんが着るようなスケスケとかじゃなくてシンプルなデザインなんだけどさ・・・。

やっぱりなんか恥ずかしい物がね?・・・。


『気にしなくていいのよ。着替えの用意が出来ていなかったのはこちらの落ち度なんだから。

 息子たちから説明は聞いたかしら?』

「はい、簡単には聞きました。

 ただ・・・。何故私なのか、何をすればいいのかとか、まったく解りませんが・・・。」

『そうよねぇ。

 こちら側は聖女様に精霊との橋渡しをしてもらいたいと意識して呼んだけど

 あなたにしてみれば、行き成り呼ばれたんですものね。

 まして国どころか世界が違うから、何かと戸惑うわよねぇ。

 そう言えば、あなた。何と呼べばいいかしら?』

「あ、失礼しました。私は・・・。」


あれ? 名前・・・。 思い出せない?

いやいや、まさかのド忘れ?・・・

うそーん・・・


「解りません。思い出せないです・・・。」

『あら・・・。困ったわね。

 呼び出しの影響かしら・・・。』


アルテシアさんの眉が下がってしまった。

困らせるつもりはなかったんだけど。

むしろ私も困ってるんだけど・・・。

うーん、と考えて見てもやっぱり思い出せない。

けど名前がないのも不便よね。


「アルテシアさん、何か名前をつけていただけませんか?」


ちょっとだけ驚いた表情になったけどすぐに微笑んで

『私が付けてもいいの?』

そう言ってくれた。

是非お願いしたかった、私に名づけのセンスがないから・・・。


『そうねぇ。ロゼはどうかしら。

 薔薇と言う意味よ。』


そう言って私の胸元をチョンと指さした。

私の胸元には薔薇のタトゥが入っているのよね。

なるほど!薔薇は私が好きな花の1つだし、いいかも!


「ありがとうございます!是非ロゼで!」

『ふふっ。じゃあロゼ。

 ロゼは草花や樹は好き? そこに暮らす動物たちは好き?』


唐突に聞かれたなぁ。

好きだけどね。ガーデニングも家庭菜園もやってたし。

犬も猫も飼ってたし。動物とか大好きだったし。昆虫はちょっと・・・だけど。


「あああああ!

 飼ってたペット達どうなったんだろう。ご飯とか・・・」

『コテツとヒスイ。だったかしら?』

「え?! 」

『一緒にここに来てるわよ。』


居るんだ・・・。良かった。

ん?居るのぉぉぉ?なんで居るの?あの時いたっけ?・・・

覚えてないかも・・・。

って、待って?・・・嫌な予感がするんだけど?

黒柴の虎徹は変な癖が・・・。

私のブラとパンツを洗濯籠から発掘するとゆう・・・癖が・・・。

虎徹が引っ張り出した物に翡翠がじゃれるのよね・・・。

もしかしてあの時も?

お風呂の近くに居たから・・・巻き込まれて一緒に来ちゃった?

まさか・・・ん持って来ていないでしょうね?・・・


「あの虎徹は何か・・・持ってたりとかは・・・。」

『持ってたわよ~。可愛らしいレースたっぷりのあれは下着かしら?』


ぎゃぁぁぁぁぁぁ。

マジでー?嫌過ぎる・・・。

虎徹のばかぁぁぁぁぁぁ。


『大丈夫よぉ。ちゃんと預かっておいたから。』


ああ、良かった。 良かった?のかな・・・。

うん、もぉ今更どうにもならないし。

虎徹も翡翠もこっちにいるなら、飢え死にの心配はないし・・・。

深く考えるのはやめておこう・・・。


「虎徹も翡翠も一緒に暮らしていた子です。

 さっきの質問ですが、草花も樹木も動物も好きです。

 けど、なにか関係があるんでしょうか?」


と、話を元に戻してみた。

取り合えず下着の話から離れたかったから。恥ずかしいし・・・。

ふふっと笑ってアルテシアさんも話を戻してくれた。


『精霊との橋渡しはね。

 草木や樹木、動物達。つまり自然と対話をしてくれればいいの。』

「対話ですか?

 でも私そんな特殊能力とかないですよ?」

『ロゼは自分で草花の世話をするとき話しかけたりしていなかった?』

「そう言われれば・・・してたかもしれません。

 元気に育ってねとか綺麗に咲いたねとか。」

『コテツやヒスイにも話しかけてたでしょう?』

「はい。でもそれって割と皆しているような?」

『ウフフ、それでもあなたが選ばれて呼ばれたのね。

 きっと精霊に気に入られたんじゃないかしら。』

「私の世界には精霊は居ないと思うんですけど・・・

 見えてないだけで居たのかなぁ・・・、判らないですけど。」

『それは私にも解らないわ。

 でもこの世界には精霊は居るの。

 精霊は自然の中で生まれ、自然の中で過ごす。

 精霊は気に入った人には手を貸してくれる事もあるのよ?

 でも人々は精霊の声を直接聞く事が出来ない。

 そこで聖女の出番なの。

 聖女が精霊の声を人に伝え、人の声を精霊に伝える。

 これが橋渡しって事ね。』

「なるほど、通訳って事ですね。

 でも私にそれが出来るんでしょうか。」

『大丈夫よ。だってあなたのその眼、聖女の証ですもの。』


眼?・・・ 眼がどうかした?

自分じゃ解らない・・・。


「あの鏡はありますか?自分の顔が見えるような。」

『ええ、あるわよ。』


サイドテーブルの引き出しから手鏡を取り出し渡してくれた。

覗き込むと・・・

誰コレ?な顔が映っていた。

顔のベースはたぶん元の私?なんだけど

V系ですか?って感じにプラチナブロンドのロングヘアに色味の無い瞳。

白のカラコンでも入ってる?と思わず指を・・・。イタッ カラコンじゃないらしい。

この顔だとゴシック衣装が似合いそう。

って、そうじゃない。今はそうじゃない。

よく見れば虹彩部分が薄っすらと魔法陣ぽくなってない?・・・

よく見なきゃ解らないから、気にしないでおこうかな・・・。


『大丈夫?』

「あ、はい。ちょっと色が変わっていたので驚きましたけど。」

『いきなり眼を突こうとするんだもの、驚いたわ。』


そっか。カラコンかと確認しようとして・・・。

アルテシアさんから見れば確かに眼を突いてるように見えるよね・・・。


「この色が聖女の証というか、独特の色なんですか?」

『ええ、そうよ。』

「そうなんですね。なんだか不思議な気がします。

 自分の様な別人のような。見慣れないからでしょうか。」

『そのうち慣れてくるんじゃないかしらね。』


そうよね、新しい髪型とかカラーリングとかも数日で慣れるもんね。


コンコンッ


『失礼、服をいくつか用意したんだけど、好みのはあるかな?』


あ、ラファくん。服持って来てくれたんだね。


「ありがとうございます。」

『あ、僕に敬語はいらないよ?年も近いみたいだし。』

『そうねぇ、私達に敬語も遠慮もいらないわ。

 あなたの後見人というか、家族だと思ってもらえれば私は嬉しいわ。』

フフッと笑うアルテシアさんは可愛らしい。

3人の子持ちには見えない。 実際きっと若いよね?

この世界は若くして結婚するのかなあ。


『さ、ロゼ。どの服が良いか選んでちょうだい?』


服のデザインはアオザイに似たシンプルなドレスだった。

色も落ち着いた色合いのものが多くで私好みだった。

あ、この黒ベースのいいなぁ。

靴もシンプルなかかとが低めのパンプスっぽい。

うん、ラファくんセンスいいね。


「これにします!」


着替える為に2人には部屋の外で待ってもらう事にした。


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