親馬鹿?いいえノロケですね?
さて困った。
老夫婦の食事を作って満足していた私は自分の夕飯の事をすっかり忘れていた・・・。
うーん・・・。
簡単に肉を焼いてサラダでいいかな、もう。
赤身の肉を適当な大きさに切り分けて、串に刺して焼く。味付けは塩のみでいい。
野菜も買ってきたばかりで新鮮だから適当に切って盛り付ければいいし。
うん、美味しい。疲れた時は手抜きでサクッと。
明日はのんびり森の散策でもしようかな。
と、次の肉に手を伸ばしたのに、肉がない・・・。
え?なんで?
虎徹が視線を合わさないようにそっぽを向いている・・・。
なんて解り易い。
そっか、そうかー。虎徹。お前かー。
ご飯はちゃんとあげたよね?
これと同じ肉あげたよね?・・・
ふふふと笑いを浮かべ虎徹に近寄れば
なにかあった?とコテンと首をかしげている。
可愛いじゃないか。 可愛いけど騙されないぞっっと。
『虎徹。最近プニプニしてない?』
と頬を突く。 虎徹の眼が泳いでいる。
きっと漫画なら汗がダラダラながれてるんだろうなと思った。
まぁ今更肉戻せと言って戻されてもね?
ちょっと物足りないので、リンゴをかじって我慢する事にした。
寝る前に厩の戸締りを確認した。ちゃんと青藍も居るよね、うん居た。
よし今日はゆっくりベットで寝れる!
目覚めの景色は 翡翠のお尻だった・・・。
昔から時々こうゆう事はあったけど。
何故寝顔にお尻をくっつけるのかは謎。
翡翠さん出来れば止ていただきたい・・・。
他の人もこんな事はあるんだろうか? 猫を飼っている人にいつか聞いてみたいな。
簡単に朝食を済ませ、昨日貰って来た苗を畑に植える。
おぉー、畑っぽくなったじゃない。 顔がニマニマしてしまう。
後は庭の方だけど、森を散策しながら何か見つけてこようと思う。
薔薇も欲しいから今度屋敷に気行った時、アルテシアさんに分けて貰おうかな。
挿し木で増やせるから、2枝づつあればなんとかなりそうだし。
スコップよし、バケツよし、虎徹(荷車付き)よし!
さぁ散策開始。
そう言えば・・・庭にシンボルツリーがあってもいいなぁ。
何か小さな幼木があったら持って帰ろうかな。
ゴールドクレストみたいなのがあればいいな。あまり大きくならない木がいいな。
沈丁花もいいよね、金木犀もいいな。木蓮もいいな。
どれも実家の庭に合った木だ・・・。
あれ?私の好きな木ってお母さんの影響?な気がする。
咲いている時はいいけど落花した後の掃除が大変なのよね、と言ってたっけな。
うん、やっぱりゴールドクレセントでいいかな。
この世界に有るのかは解らないけど、似たようなのはあると思いたい。
結果 ゴールドクレセントっぽい木はあった。フラウが見つけてくれた。
他にもサルスベリみたいなのとか 銀木犀っぽいものも見つけてくれた。
根を傷つけないように掘り起こして幼木は持ち帰っていた。
シャガやシュンラン・スズランなんかも見つけられたので私的には大収穫だった。
勿論持ちに影響が出ないよう2~3株づつにしておいた。
後は定着すれば勝手に増えてくれると信じたい・・・。
そんな感じでこの日は西側 この日は東側と散策を何日かして過ごし久々に屋敷に寄った日の事。
『ハイデアに縁談話が持ち上がった。』
はい?・・・
まだ10歳よね? 来月の誕生日でも11歳よね?
この世界では10歳で縁談とかありえるのだろうか?
あ、王家だからかな?
でもルシェもラファもそんな話は出てないよね?
「お相手は?・・・」
聞いた所で誰だかも解らないんだけどね。
『隣国の王太子だ・・・・。』
なるほど?政治的婚姻。政略結婚て事かな?
「向こうからの申し出とか?・・・」
『そうだ。』
「どういった経緯で・・・。」
話を聞いてみれば、唖然としてしまった。
面識は全く無くて、お相手の年齢は15歳。
ハイデアとの縁談話も国内の貴族とは結婚させたくなくて、年齢が近いからてだけの理由だとか。
ハイデア自身も見た事も話した事もない相手にどうしろと言うのだと呆れていた。
うん、そりゃそうよね。私もそう思う。
だったら断ればいいじゃないかと思うじゃない?
お相手の国は鉱山をいくつも保有する国で、そこから金属製品や魔石の大半を輸入してるので簡単には断れないようだ。
魔石は魔道具にも使われているものね。簡単に言えば電池みたいな感じ?
「うーん・・・まずはお互い会ってみる所からじゃない?」
『私もそう言っているのよ?でも・・・』
『会ってしまったらうちの可愛いハイデアを気に入らない訳がないだろう!
甘い蜂蜜色の柔らかく滑らかな髪、深い海の様な輝く瞳、ベリーのように艶やかな唇
アルテシアをそのまま小さくしたような私の天使!』
ダディ?・・・ バルドさん?・・・ 親馬鹿でしたか。いやノロケかなこれ。
そりゃハイデアは可愛い。すごく可愛い。
ゆるふわウェーブのハイーブロンドにエメラルドグリーンの瞳 微笑む姿は天使か妖精。
成人すれば美人さん間違いなしだと思う。 あれ?私も姉馬鹿?・・・。
可愛いから、美人だからって必ずしも気に入るかどうかは解らないと思うのよね。
それに相手が気に入ってもハイデアが気に入らなかったらどうにもならないんじゃないかな。
あ、会って相手が気に入ったら益々断りづらくなるのか・・・。
「だからってこのままって訳にもいかないんでしょ?
時間が経てばなかったことに、とかはならないんでしょ?」
『それはそうなんだが・・・』
「まずは会ってから悩んだ方がよくない?
相手の人となりが解らなければ対策も何もできないでしょ?」
『そうなんだが・・・』
煮え切らないなぁ・・・。
「もしも相手もハイデアも気に入って相思相愛ならそれはそれでありだと思うのよね。
それに相手もハイデアもまだ未成年だからすぐすぐ結婚て訳でもないでしょ?」
『だが・・・』
「ダディ。まずは会ってみたいと返事を。
考えるのはそれからでしょ?」
『ロゼは・・・強いな。』
「へ?何が?強くなんてないでしょ。
話を進めるにしろ、断るにしろハイデアの気持ちが大事なのよ?
なにも解らないからハイデアだって困ってるんじゃない。」
『そうね。ロゼ姉様の言う通りだわ。お父様、まずはお会いしてみましょう。』
『ええ、その方がいいわね。』
この場にルシェとラファが居なかった理由は
『『 僕の(俺の)可愛いハイデアがあぁぁぁぁ 』』
とシスコン発揮して大騒ぎだったからだとアルテシアさんから聞いた。
私としてはハイデア次第かなと思ってる。
私にとってもハイデアは可愛い妹だから幸せになって欲しいもんね。
何回かやり取りをして、1か月後に相手である王太子とそのお姉さんがやって来ることになった。
この国と違って あちらは魔物も多いので不慣れなバルド家を気遣ってくれたらしい。
うん、よかった。
この国にも一応護衛の人は居るけど実戦経験はほぼないだろうからね。
私はと言うと、さすがに聖女ですとかって会う訳にもいかず遠目で見守る事にした。
ただしフラウを始めとする屋敷に居る精霊達にはこっそりハイデアを見守って貰う事にしてある。
相手方の様子の確認も頼んである。万が一って事もあるからね。
不穏な様子があれば教えて貰った方がいいもんね。
ディーヴァにも相手の国の事を教えて貰っておこう。予備知識大事!
読んで下さりありがとうございます。