新居
最小限にしたハズなんだけど・・・
それでも荷物はそれなりの量になってしまった・・・。
まぁ仕方がないよね。
魔力が無いから、魔道具も使えないし生活魔法も使えない。
よって昔ながらの道具が必要で、増えるよね・・・。
ただ、照明のランタンとお風呂のお湯はマルスとヴィーに頼む事にした。
蝋燭でもよかったんだけど、蝋燭だと明かりが弱いからちょっとしたホラー気分が味わえちゃう・・・。
お風呂は湖から水を汲んでくるのが体力的に自信がなかったから・・・。
腰やっちゃいそうだったのよ・・・。
ディーヴァに冷蔵庫はいいのかと言われ、それもだったと思い出した。
この世界にもちゃんと冷蔵庫はあった。冷凍庫は無かったけど。
バターやヨーグルトがあるんだもん、冷蔵庫もそりゃあるよね。
サクッと冷蔵庫も用意してくれるとかディーヴァ流石だよ。
魔道具を動かす程度なら大した魔力は使わないらしく遠慮しないでと言われた。
うん、どうしてもって部分は頼もう。どうあがいても魔力は無いんだし。
荷物の量を見て、この世界では魔法が身近なもので生活の一部なんだなぁと感じた。
青藍がキャラバンの駱駝みたいに荷物を載せている。ちょっと重そう・・・ごめんね。
虎徹も小さな荷車を引いてくれている。フランダースみたいで可愛い。
翡翠はちゃっかり虎徹の荷車に乗っていた、お気に入りのクッションを抱えて。それもまた可愛い。
そして私は牛に乗っている・・・。そう、ナディなのよね。
牛が荷物で 馬に私が乗った方がよくない?と思ったけどナディが
『僕 人 なる 抱っこ する?』
とか言い出すから 是非牛で!とお願いしたのよ・・・。
抱っこで移動とか恥ずかしい。
だったら歩くわよと思ったけど却下された。全員に・・・。
『くれぐれも体には気を付けてね。ご飯もしっかり食べるのよ。』
『何かあったらすぐに連絡をよこすんだよ。』
『『『 すぐ会いに行くからね! 』』』
「向こうでは1人暮らしだったて知ってるでしょ?
それに近いんだから。成人もしてるんだから。ね?大丈夫よ?」
『でもそれは向こうでの話だよね?』
あれ?・・・言ってなかったっけ。
『私この世界だと17なんだってディーヴァに教えて貰った。』
『そうなのね、やっぱり私の思った通りじゃない。』
『『そうか、17か。』』
1つ違いなら問題ないとか5つくらいなら大丈夫とかボソボソ言ってる2人が居たけど気にしないでおこう。
『ところでディーヴァとは誰かな?』
「あの家を作ってくれた湖に住んでる精霊のお兄さんだよ。
精霊王だったみたい。」
『『『『 精霊王ーー!!! 』』』』
うん、驚くよね。私も驚いたもの。
皆はオタオタし始めたけど 普通に接してくれと言ってたよ?と伝えたら少し落ち着いてくれた。
精霊王が姿を現すのは珍しいんだって。
なるほど? 異世界娘が珍しかったんだろうか?
ちょっとワチャったけど皆に見送られて森の中を進んで行けば
新居とディーヴァの姿が見えて来た。
『待っていたよロゼ。』
そっとナディから降ろしてくれた。
「ディーヴァ、色々とありがとう。これからよろしくね。」
ディーヴァが優しく微笑んでくれる。
釣られて私も微笑み返す。
マルスとヴィーが自分達も居るよと足元に擦り寄って来る。 モフモフ スリスリ
モフスリ 可愛い。 なでなで・・・
ってそうじゃない。先に荷物運び入れなきゃ。
『私達が中に運ぶからロゼは指示をだしておくれ。
ロゼはこまごましたものを収納すればよい。』
そう言ってくれるのでお任せして食器など細かな物の収納を始めた。
確かに食器とかは使う本人がやったほうがいいもんね。
ディーヴァ達は魔法で荷運びをするのかなと思ってたら、ちゃんと人力?で運んでいた。
『人に合わせたやり方の方がロゼは喜ぶのだろう?』フッ
ディーヴァさんよくお解りで。
確かに魔法よりも人力の方がありがたみを感じるのは魔法になじみが無い私だけなのかな?
あれ? 生活魔法があるって事はほかの魔法もあるのかな?
魔術師とか魔導士とか・・・。
『この国には居ない。が、他国には居るぞ。』
やっぱり居るんだ。
だとすると、魔物も居たりするのかな。居たらこの森もヤバイんじゃ?
『魔物もこの森には居ない。この国自体にも少ない。
この国は自然との共存が上手くいっているからな。
だから精霊の数も他国より多いのだよ。』
なるほど?
呼び出されたのがこの国でよかったのかもしれないね。
魔物ヒャッホイな国じゃなくてよかった。
まだまだこの国の事もこの世界の事も解ってないからね。
あ・・・れ・・・?
動植物の本の前に この世界の事とか諸外国の事とかの本読めばよかったんじゃ?・・・
他国に行く気はなくても、どんな国なのかは知っておいた方がよかったかも?・・・
今度本借りてこようかな・・・。
『心配せずとも教えてやるが?』
あー、じゃあ気になった事があれば教えて貰おうかな。今みたいな感じで。
気が付けば夕方になっていて片付けも粗方終わったし、今日はここまでにして簡単に夕食を作る事にしたんだけど。
しっかりとお弁当っぽいバスケットが入っていた。
アルテシアさんかな?と思ったら侍女さん達からだった。
今日はお疲れでしょうから。とメモも添えられてあった。
さすが侍女さん、気使かいの女! ありがとうー!!
温かいお茶を煎れて、有難くいただこう。
ナディも気を使ってくれたのか、今日は大人しく帰って行った。また明日来るらしい。
マルスとヴィーも疲れたみたいで帰って行った。やっぱりまた明日来るらしい。
ディーヴァは一緒に夕飯を食べてから帰ると言った。夕飯というよりもデザート目当てでは?
デザートに桃のタルトが入っていたのよね。
以前食べた時に私が桃を好きと言ったのを覚えていてくれたんだろうな。嬉しい。
『普段果物は口にする事もあるが、タルトは初めてだ。』
ディーヴァは子供の様にワクワクした目をしてたな。
庭に花やハーブを植えたいけど、先に畑かなぁ。
何を植えようかな。人参ジャガイモ玉葱南瓜にトマト。キュウリやズッキーニも育てやすくていいよね。
って、向こうと同じ様な野菜あるのかな・・・。
明日町に行ってみようかな。
種で売ってるのか苗で売ってるのか。
あ、パンも欲しいな。
牧場にも行ってみよう。牛乳欲しいし。
そう言えば牧場は何度か行ったけど、町には行った事ないな。
どんなお店があるんだろう。 うん、ちょっと楽しみかも。
そんな事を考えながらベットへ向かうと・・・
「何故君達はそこで寝ているのかな?」
虎徹とヒスイはまだわかる。向こうでも時々一緒に寝ていたからね。
問題は・・・青藍・・・。
どうやってここに入ってきたのよ? なんでベットに堂々と寝ているのよ? 厩はどうした?
なんかおかしくない?・・・
でもCMでヨ〇ボーで寝る馬も居たし、なんかの動画でベットで寝る馬も見たような?
ありか? ありなのか? いやいやいや。
のいてくれるかな?青藍・・・。
ブフゥー
熟睡してやがる・・・。 いいよ、わかったよ。ソファで寝るよ・・・。
新居の初夜はソファで寝るのか・・・・。
新居の初夜って、言い方どうなの。なんだろうナディやラファの影響かな・・・。
いやいや、と思って頭の上をブンブンと手で振り払ってみた。
取り敢えず明日はしっかり厩の戸締りを確認しよう、そうしよう。
そうして眠りについたのだけど、朝起きたらしっかりと青藍に添い寝された形になっていた・・・。
懐くのはうれしいけど、これはちょっと懐きすぎじゃないかな?
て、青藍。君ベットで寝てた意味は?
ブフフンッ
なんか満足そうな顔だね? 私は体が痛いんだけどね?
まあいいや。起きてお茶でも飲もうかな。 ふぅ・・・。
読んで下さりありがとうございます。