17だったらしい
『 どうだ?気に入ったか? 』
精霊の指差した場所は森のほぼ中央に位置する湖だった。
湖に流れ落ちる滝 湖から流れ出る川 そして湖の横には小高い丘
凄くいい場所よね? いい場所なんだけどね?
すでに小屋? 家? ログハウスもどきが建ってるんですけど?
「あの・・・家が有るって事は誰かが住んでたり」
『しないな。』
「じゃぁ精霊さんの家だったり」
『しないな。』
「もしかして」
『しなくてもロゼの家だな。』
候補地じゃなくて決定事項だったんですかね?・・・
確かに水場が近いし丘の上だから水害も防げそうだけどもっ。
だけどもっ・・・間取りの希望とかさ・・・
はぅっ・・・
カウンターキッチンぽいのがある・・・
クッキングストーブもある・・・
ロフトもある・・・
トイレもお風呂もちゃんとある・・・
キャットタワーにキャットウォークまで付いてて何これ神物件?
ちょっと広めの1LDL+ロフト 最高じゃなーいっ!
『気に入ったようで何より。』
精霊のお兄さんも満足そうに笑ってるし。
『ちょっと狭くないかしら?』
『ベットルームが1つしかないよ?』
「1人だからこれくらいが丁度いいんだよ。広すぎるとお掃除も大変だしね?」
『あら、お掃除とかは侍女を連れてくれば・・・』
「それだと自立にならないので。」
『そ・・・そう?』
『でも町とかには少し遠くない?』
「大丈夫。ほら青藍がいるから!」
そう、あのブフフン言ってた馬、私を乗せてくれた馬
私専用になったから青藍と名付けたんだけど、当然でしょみたいな顔して今日も一緒に来ている。
どうやらここで一緒に住むと決めているようだ。
バルドさんも当然そうだって顔をしてるのよね。 いいのかな?
あ、いいみたい。 一瞬で厩が出来上がってた・・・。
流石です、お兄さん。
このお兄さん、庭も整地してくれてるのよね。
ガーデニング用と菜園用にちゃんと分けてあるし、休憩用のベンチやガゼボまであるんだよね。
『植え付けは自分でやりたかろうと、そのままにしてある。』
解ってるじゃない、何を植えるか考える事から楽しいのよね。
もう至れり尽くせりで流石よね。
これで違う場所がいいとか言ったら泣くよねきっと。
涙目のおにいさん・・・キュンッとくるかも・・・。
いやいや、そうじゃなくて。
『ロゼはここに決めてもいいのかい?』
「うん。凄く素敵だと思う! ありがとう精霊のお兄さん。」
『お兄さん・・・』
お兄さんはグッと手に力を入れてた。喜んでるの・・・かな。
『お兄さん・・・。
まだお父様とは呼んでくれないのかな?』
『ママンでもよいのよぉ?』
『パパンでもいいんだよ?』
何ですかね、その期待を込めたキラキラビームは・・・。
もう少し待って? まだ心の準備がね?・・・
『ロゼ。』
『ロゼ?』
ズンッと1歩前進しないで・・・。
『『ロゼ?』』
うぅ・・・
『『『 諦めて呼んであげれば?・・・ 』』』
3兄弟、呆れてませんかね?・・
そうね・・・ダディマミィなら名前みたいだし?
さすがにパパンママンは無理過ぎる。
「ダディ、マミィ。 そろそろお昼にしよう!」
よし、言った。言ったわよ、言ったぞぉー!
1回言えば、きっと大丈夫。恥ずかしいけど・・・。
そのうち慣れるはず。 それまで恥ずかしいけど。
チラッと2人の反応を見たら、顔を赤らめて喜んでいた。
なんだ、いざ言われてみたら2人も恥ずかしかったんじゃない。ふふっ
「そう言えば、精霊との橋渡しって、具体的には何をすれば?」
お昼ご飯を食べながら ふと思い出したので聞いてみた。
『私達は姿は見る事が出来ても言葉は聞こえない。
それは以前話したよね?
精霊たちは気に入った人間がいれば手助けをしてくれるとも言っただろう?』
「うん、覚えてる。」
『その土地や作物に少し魔法で元気をつけてくれたりするんだ。
だけど時々、何かを伝えようとしている精霊もいるんだよ。
そういう精霊を見かけた時に、何を言っているのか伝え
人々の声を、ほとんどが感謝の言葉だな。
それを精霊に伝え橋渡しをする事が聖女の役割なんだよ。』
「なるほど。」
巫女さんや神主みたいに祈祷するとかってのじゃないのね。
精霊の言葉を人に伝える、通訳すればいいのなら私でも出来そうよね。
あれ?・・・
近くの町や村とか行ける場所はいいけど、遠方はどうすれば?
近場だけで遠方は行かないとか駄目じゃない?
不平不満とか出たらどうしよう・・・。
『心配はいらんぞ? 時々地方にも出向けばよいだけだ。
頻繁に行く必要はない。』
あ、そうなんだ。時々でもいいんだ。
時々ってどれくらいの感覚だろう?・・・
『1~2年に1回とかでよい。』
そっか、それならいいかな。いいのかな?・・・
「ダディ、この国の町や村って幾つ位あるの?」
『そうだな、町は2つ。村は・・・4つだな。
人よりも自然の割合の方が大きいからな。』
確か人口は3000人くらいだっけ。
全部で6か所かぁ、なんとかなるかな。
『心配せずともマルスやヴィー、フラウにナディ。皆が付いておる。
勿論私もな。』
そっか、そうだよね。 やる前から悩んでも仕方ないよね。
うん、まずはやってみてからかなぁ。
そう言えばお兄さんの名前はなんだろう?
ずっとお兄さんじゃ不便よね?
『私の名か。私はディーヴァだ。』
ディーヴァかぁ、神様の名前だったような気がする。
でも美青年だしピッタリだと思う! うんうん。
あ・・・・まさか夜ベットに来りは・・・
『大丈夫だ、今は行かぬ。』
そっか、よか・・・よくない。
今はって言った? 今はって何よ。
ジィー・・・
あ、視線反らせた。
今はって事は・・・まさか。
チラッとログハウスと見比べれば、ニッコリと微笑まれた・・・。
あー、そう言う事ね。魔除けならぬ精霊避けってないのかな。
『ない。』
ですよねぇー。
ベットにくるなら犬とか猫でお願いします・・・?
『心得た。』
心得ちゃうんだ、諦めるとかないんだ・・・。ハハハ。
『さあ、戻って何が必要か考えましょうか。』
『『『「 はーい。 」』』』
最初は最低限のものでいいかなぁ。
生活に慣れたら必要に応じて少しづつ増やせばいいし。
あ、牛乳は必須よね。バターも欲しい。
冷蔵庫が欲しかったかも。
『冷蔵庫だな。用意しておく。』
へ?ついて来ちゃったの? あれ?居ないよね?・・・
まあいいか。気のせい気のせい。
そう言えばディーヴァって、他の精霊と少し違うよね?
なんだろう、上位精霊って感じなのかな?
だったら私の年齢、こっちだとどうなってるのか判ったりするのかな?
聞いてみればよかったなぁ。
『ロゼはこの世界だと17だな。
そして私は上位精霊ではなく精霊王だ。』
へぇー、17なんだ。じゃぁ成人してるって事だね。
じゅうななあぁぁぁぁぁぁぁぁ?! マジかー。 若返りすぎじゃない?!
17かー、17なんだー。そっかぁ・・・。
ふと頭をよぎった事があったけど、考えるのはやめよう。
確認のしようがないしね!!
『私と確かめてみるか?』
ゴフッ・・・ゲホッゲホッ・・・
ご遠慮申し上げます! あぶないあぶない。目の前に居たら張っ倒すとこだったわ・・・。
さっきから会話が成立してるんだけど、これって念話?テレパシーってやつ?
凄いなあ。
凄いと言えば精霊王って言ったよね? 凄くサラッと言ったよね?
敬語で喋る方がよかったかな。
『今のままでよい。』
そっか、じゃあこのままで。
それにしても精霊王かぁ・・・。
精霊王が近くに居てくれるなら安心だよね。
うん、出会えてよかったと思おう。
きっとこれからの生活も楽しくなりそうだしね。
ログハウスも素敵だったし、ありがとうね。ディーヴァ。
読んで下さりありがとうございます。