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取り合えず服ください

のんびりと更新していきます。宜しくお願いします。

「・・・・・」


目の前に固まった王子様っぽいのが居るんだけども。

その横によく解らない人たちも居るんだけど?

えーっと・・・。

なんでこの人達はここに居るのだろう?

ここ、私の部屋よね? 

ていうか私お風呂に入ってたはずよね?・・・


お風呂?・・・


そっと自分に視線を戻す。

あー・・・ですよねぇ。そりゃそうですよねぇ・・・。

私裸じゃーんっ!

いきなりの事で硬直しちゃったけど、慌てるけど手にあるのは片手桶のみ・・・。


すぱこーんっ


人間咄嗟の時は声よりもまず手がでるのね・・・。

思い切り片手桶を投げつけたわよ。

で、やっと目の前の王子様達は視線を反らしてくれたのだけど・・・。

出来ればなにか 羽織る物いただけませんかね?・・・


『す、すまない。 その凝視するつもりはなかったのだが。』


お気になさらずとは言えなかったんだけど、取り敢えず羽織る物を・・・と言い掛けて私の意識は遠くなった。


次に気が付いた時、私はふかふかベットの中に居た。

このフカフカ加減私のベットじゃないし、どう見ても自分の部屋の天井とも違う。

じゃぁここはどこだろう?

たしかお風呂に入ってて・・・

あー、お風呂で寝ちゃって溺れかけて病院に運ばれた?

でも病院とは部屋の雰囲気も匂いとも違うような気がする。


クュシュンッ


あ、風邪ひいた? そりゃお風呂でねちゃったら湯冷めもするよねぇ。


『気が付いたかしら?』


と、優し気な女性の声が聞こえたので 顔を向けると・・・

妖精ですか、お姫様ですかと言いたくなるような愛らしい人が座っていた。

どちらさま?・・・

と口から出たのはカスカスのかすれた声だった・・・。


『無理はしないでちょうだい。

 ごめんなさいね。息子が至らないせいで貴方に風邪を引かせてしまったみたいで。』


息子さん?・・・

ヒッ・・・ 思い出した・・・。

そうだった。お風呂に入ってたら ピカッで光って・・・

気が付いたらなんでかキラキラ王子様っぽい人の集団とご対面してたんだった・・・。

裸で・・・。しかも片手桶持った状態で・・・。

しかも投げちゃった・・・。

あぅあぅ・・・

真っ赤になって口をパクパクさせてしまった。


『落ち着いて?・・・

 なにか飲み物は口にできそうかしら?』


言われてみれば、喉が渇いた気がするので コクコクと頷く。

またカスカスの声が出ても嫌だったし・・・。

手渡されたのは温かいハーブティーの様だった。

この香りはレモングラスかな?

こうやって温かいハーブティーを飲むと少しは落ち着いた気がする。


バンッ

『お母様! 聖女様が目を覚ましたって本当?!』


ゴフッ・・・ ゲホッゲホッ

聖女って誰ですかね?と吹き出すのを我慢したハーブティーが見事に気管と鼻に入ってしまい私はむせてしまった。


『あ、ごめんんさい。大丈夫?・・・じゃないわよね。』

横に座っていたお姫様をそのまま小さくしたような女の子が私を覗き込む。

何か答えなくちゃと思うけど、ごめんなさい。無理。むせてるのが収まらない・・・。


『ハイディア、部屋に入る時は静かにといつも言っているでしょう?』

『ごめんなさい、お母さま。』


あの・・・と声を掛けようと思ったけど、むせたせいで私の声はますますカスカスになってた・・・。

これじゃ会話が出来ないじゃない・・・。


『自己紹介するわね。

 私はアルテシア。この子は娘のハイディアよ。

 詳しくはあなたの体調がよくなってから話すわね。

 今はゆっくりと休んでちょうだい。』


コクンと頷いて、再びベットに横になり目を閉じる。

まだ熱が下がってなかったのかな、すぐに眠ってしまったみたい。


次に目を覚ましたのは グゥとお腹が鳴った時だった。

お腹すいたなあ。丸っと1日くらい寝てたのかな。

食欲が出て来たのなら風邪も随分と良くなったんだろうなあ。

そう言えば声は出るようになったんだろうか?


「あー、あー、あー。出る。良かった。」


これなら会話も出来そう。良かった。

ハイディアちゃんだったっけ。あの子聖女様とかって言ってたよね?

それって・・・まさかとは思うけど・・・私?

いやいやまさか・・・。

でもあの時アルテイシアさんとハイディアちゃんと私の3人しかいなかったし・・・・。

あー・・・。違いますって説明しないとね・・・。

取り合えずベットから抜け出して体をほぐそう。

ずっと寝てたからバキバキだな。

ぐいっと手を上に伸ばして腰を反らせていたら


カチャッ


「・・・・」

『『・・・・』』


なんでこんな格好の時に入ってくるかな?・・・

ノックくらいしようよ・・・・。

最初に居たあの王子くんと 弟かな?少し小さな王子くん。

2人は無言のまま、すすすっと後ずさりしてそっとドアを閉めていった。

あー、見なかった事にしたのね。うん、是非忘れていただきたい・・・。


コンコンッ


今度はちゃんとノック音がした。

なのでどうぞと言い掛けて、自分の着ている物が寝着だと気付いたのでベットに戻って声を掛ける。


「どうぞ」


カチャリ


『お加減はいかがですか?』

『そろそろ起きてらっしゃるかと軽食をお持ちしました。』

「ありがとうございます。」


3人共ぎこちない・・・。まさか起きてるとは思わなかったんだろうなぁ。

私もまさか誰か来るとは思ってなくて油断してたし・・・。


『俺はルシエ。君を呼び出した者だ。あの時は申し訳なかった。

 まさかその・・・予想外の姿で現れたもので・・・。』

「そこは忘れてくださいっ!!」

『兄上・・・。そこは触れなかった方がよかったのでは?』


うんうん、弟くん、その通り!


『僕はラファ。スープを用意したのだけど、食べれそうかな?』


ベットの上でも食べれるようにサイドテーブルをセットしてくれる。


「ありがとうございます。」


ラファくんは何処からかストールを持って来てそっと肩にかけてくれた。

スプーンを手にしてスープを一口食べてみる。

スープはポタージュ系かな。優しい味がした。


『食事をしながら聞いて欲しい。

 さっきも言ったように、ここに君を呼んだのは俺だ。

 ここは小さな島国で自然や精霊と共存している国なんだ。

 ただその共存するにあたって聖女様の橋渡しが必要でね。

 本来は国民の中から聖女様が誕生するのだけど、この300年現れていなくて。

 史実書には過去にも何回か前例があり、異なる世界から呼んでくると書いてあったんだ。

 さすがに300年も聖女様が不在なのはまずくて・・・。』

「呼び出してみたら私が現れたと・・・。なるほどぉ。」


 解ったような、解ってない様な。


「元の世界に戻る事は・・・」

『できない・・・。すまない。』


そっかぁ、戻れないのかぁ。って納得出来るかーっ!

ああ、プランターのハーブがっ・・・手入れしないとわっさーてジャングルになっちゃうじゃん。

買ったばかりのお香もまだ使ってないし!ちょっと高めの白檀楽しみにしてたのにっ!

薔薇の追肥だってしなきゃだめなのに・・・

って、そうじゃない。仕事!無断欠勤になっちゃう・・・


『あの・・・、落ち着いて?無理かもだけど・・・。』


もしかして声に出ちゃってた?・・・・

焦っても仕方がないよね。

落ち着いて考えよう。


「少し考える時間があると嬉しいです。」

『いきなり呼ばれて戸惑うと思うんだ。

 だから、少しずつでいいんだ。

 ここで暮らしながらこの国の事を知って欲しいと思う。』

『難しく考えずにもう少し楽に考えてくれるといいかな。

 呼びかけに応えてここに来てくれたのだから、きっと君にはその力があるんじゃないかな。』


そう言われても何をすればいいのかとか判らないし、自分が聖女だとも思えないし。

帰れないんだったら・・・ここで暮らすしかないのかな・・・。

どっちにしろ すぐには納得も理解も出来ないよね。


「あ。あの・・・。服を・・・動きやすい服をお願いしたいです。」 

『服と靴?・・・あ!』

『そうだよね。すぐに何着か用意するね。』

「さすがにずっと寝着ってのは・・・。すみません。」

『いや、気がきかなくてすまない。』


そう言って2人は部屋を後にした。

文字通り、体一つ・・・だもんね。 あ、片手桶は持ってたっけ。

と入れ替わりにアルテシアさんがやってきた。


読んで下さりありがとうございます。

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