表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔のクマ  作者: ib
4/12

第四話 プール

明日はお休みです。次回は月曜日夜予定です。


「暑い〜。」


「……。」


「あーつーいー。」


「……。」


「あーづーーーーいーーーーーー!」


「……。」


「アイス食べたいな〜。」


「……。」


「あ!い!す!」


「……何味がいい?」


「いちご!」


「10分で戻る。」



今日は一段と暑さが凄い。時が経つのは早いもので、八月になっていた。


三ヶ月間特に変わりはなく、時折日記を書きながら今日も妻と幸せな一日を過ごす。


あんなことが無ければ今日のわがままに怒っていたかもしれないな、、。なんてことを思いながら彼女の欲しがっていたいちごのアイスをカゴに入れる。


俺は……これにするか。レモンのアイスを手に取った。


「お会計266円です。」


「これで。」


「300円お預かりします。34円のお返しです。ありがとうございましたー。」


コンビニの中はとても涼しい。俺の職場にもこれくらい優秀なエアコンをつけて欲しいものだ。


「ただいま〜生きてるかー?」


「と、とけた……。」


「アイスは無事だよ。志乃のほうが溶けてるなこりゃ。」


「来世でも結婚しようね、、。」


「わかったわかった。食べないと溶けちゃうよ?」


「食べる!!」


冗談とわかっていてもあの時の記憶がどうしても蘇る。志乃には何が起きたかもちろん伝えていない。


話せばおそらく信じてくれる人だ。だからこそクマの存在は絶対に話せない。もし彼女があいつの機嫌を損ねることがあれば今の幸せが壊れてしまうかもしれない。


機嫌を損ねる可能性が何故あるかは彼女の性格にある。結婚する前から変わっていない、自分のせいで誰かが傷つくのが許せない性格。


俺が傷ついたと感じていなくても、妻がそう感じれば誰彼構わず突っ込んでいく。自分に危険が及んでても。


今回俺は三つのものを失っている。考え方によっては傷ついていると解釈できる。だから俺は墓場まで持っていくつもりだ。



「なあ志乃。」


「なーに?」


アイスを食べ終わりかなりご機嫌そうだ。


「明日プールでも行かないか?涼みに行きたいだろ?」


「うん!……とか言ってまた私の水着姿見たくなったんでしょー!」


「……まあそれもあるな。でも一番の理由は明日行きたい!というか明日行かなきゃダメな気がするんだ。なんでだろうな。」


「不思議だねー。でも私も行くなら明日かなーって思ってた。心まで一心同体なんて照れちゃうね。」


「そうだな、、。」


最近は何かと二人同じことを考えている気がする。あの事故以来(周りの人間にとっては無かったことになっていて、覚えているのは俺だけだが)そんな気がしている。


「じゃあ明日10時市民プール待ち合わせね!」


「別に一緒に行けばいいんじゃないか?」


「たまには新鮮なほうがいいでしょ!」


「そうか?志乃がそう言うならたまにはしてみるか。」



……。何時だ?9時か。隣に妻はもう居ない。起こさずに先に出ていったんだろうな。


置かれたエッグトーストを口に入れ必要なものをカバンに入れる。


車で行こうかと思ったが彼女は歩いていったようだ。これはきっと帰り二人で歩いて帰りたい合図だ。じゃなければ真っ先に乗るのは目に見えていた。



待ち合わせ場所には15分程前に着いた。彼女の姿は無い。

まさかな……。


時間を5分程すぎた時突然視界が真っ暗になる。


「だーれだ!」


「……志乃。」


「正解ー!凄いねー!!」


「……。」


「行こっか!」


「ああ。」



驚かなかったのは単純な話。待ち合わせ場所の時計塔に隠れてこちらを伺っている志乃らしき人物がちらっと見えていたから。



「今度は何乗る?」


「遊園地じゃないんだから、、ウォータースライダーしかないぞ。」


「一度言ってみたかったんだからいいじゃんー。浩史乗り物酔い酷いから乗ってくれないし、、。」


「ごめんごめん。俺が悪かった。ウォータースライダー行こうぜ!」


「あはは。」



あっという間に時は流れ……。


「楽しかったねー!」


「そうだな。」


「ではここで問題です!今日の私はどれくらい楽しかったでしょうか?100点満点ね!」


「うーん……80、、いや102点だな。」


「?!」


「外れてたか。」


「い、いや。ピッタリ。どうしてわかったの?」


マジシャンのトリックが分からない時同じ顔をしているのを見たことがある。


「なんかな、頭に浮かんだんだよ。」


「す、すごっ!次は私の番ね!何か質問してみてよー。」


同じ質問でいいのか?頭の中には聞きたいことがあるが、、。

これは聞いてはいけない気がする。


「俺は今日どれくらい楽しんでいたと思う?100点満点で。」


いつもなら正解は103点だ。こういう時俺は必ず妻より上の点数をつける。だが今日は何故か102点な気がする。


「んー……。103、、」


よかっ……


「102点!」


「え?」


「いつもなら103点なんだけど、なんか今日は102点な気がする!……さっきの私と同じ顔してるよ?」


「怖いななんかこれ。」


思わず見つめあって笑ってしまう。


「私達テレビ出れるかも!」


「そうだな。じゃあ次にあの角から出てくる車の色は?」


「うーん。白!」


出てきたのは物凄く真っ黒な、とてもとても黒い車。


「……。じゃあ私からも!次あのコンビニから出てくるのは男?女?」


「女だな。」


出てきたのは男。


「……ふふ。」


「あはは。」


マジシャンにはなれず、予知能力があるわけでも無さそうだ。

たまたま息が合っていただけとわかってなんだかほっとした。



8月19日(日)

今日は志乃とプールへ行った。乗り物酔いが酷い俺もウォータースライダーは平気だった。

帰り道お互いにクイズを出したが外れてしまった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ