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悪魔のクマ  作者: ib
3/12

第三話 雨と海

投稿後に書き忘れや誤字脱字、表現ミスなどで細かく修正している場合があります。ご了承ください。


あれから二週間が経ち、俺と志乃は人間ドックの結果を眺めていた。


「どこか問題あった?」


「いや、特に見当たらないな……。」


「良かったじゃない!私も特に無かったよー!」


「……あぁ。そうだな。」


良かった。良かったんだ。でも、、。

一番大切なものってなんだ?俺にも志乃にも異変は無い。


なるべく志乃の周りで過ごした二週間、特に変化は無く一安心のはずだが不安が拭えない。


「なーに?実は異変あったんでしょー!」


からかい気味に妻は頬っぺたを両手でつねってくる。


「何も無いよ、本当に。二人とも健康で良かった。」


「そうそう!幸せな時には明るく過ごした方が気分もいいよ!」


その通りだ。きっと時間が経てば失ったものも見つかるさ。



6月になり雨が多い季節になった。仕事休みが被ったある日二人で買い物へ出かける。


「今日は何買おっか?」


「そうだな……。」


「あ!傘欲しいね!今の傘もうボロボロだから……。」


俺の答えが出る前に彼女は買うものを決めた。


せっかくならと、少し高いが色々な種類が置いてある傘屋へ足を運ぶ。


「どれが似合うかな〜?」


「うーん、、。これとか?」


明るい志乃には明るい色をとオレンジ色の傘を手に取る。


「うっそー!私もこれがいいなーって思ってたの!なんかしっくり来るって言うか……。」


「俺もだ。何かしっくりくるよな。」


顔を見つめ合わせてふふっと笑う。


「じゃあ俺がどれにしようと思っているか志乃はわかるか?」


「うーん、、これ!」


彼女が手に取ったのは青色の傘。


「俺もこれが欲しいと思ってたんだ。偶然って凄いな。」


「なんかこれが似合うかなって!お互い大切にしようねっ!」


「ああ。」


二本の傘を購入し店を出る。スーパーで他にも生活必需品を買い揃えていく。


「やっぱりこの傘……。」


「どうかしたの?」


「……いやなんでもない。多分気のせいだ。」


「変なのー!」



家に帰り晩御飯を作る。今日はパエリアにしよう。

志乃は隣でサラダを盛り付けている。


「トマト〜レタス〜ピーマン!」


「ピーマンは入らなくないか?」


「んーそうかもっ!」


生のピーマンをサラダから抜きパエリアに入れる。


「ピーマンの代わりに何入れよう?」


「……。」


無言でゆで卵を乗せておいた。


「ありがとう!そろそろ食べよっか!」


「うん。」



志乃が食べ終わった食器を洗っている間に今日の出来事を携帯の日記に書く。


今日は傘を買った。志乃はオレンジ、俺は青。

晩御飯はパエリア、志乃がピーマンを生で食べようとしててビックリした。


こんなとこだろう。日記というよりはメモに近い。

印象に残りそうな日を書き残しておけば失ったものに気づけるかもしれない。


「あとはこれね!」


いつから横にいたのか、、。彼女は一枚の写真を送ってくる。


写真には傘をじっと見つめている俺が写っている。


「……なにこれ?」


「よく撮れてるでしょー!」


「確かに凄く写りは綺麗だけど、、。誰得?」


「わ、た、し!」


「そ、そう。一応入れておくよ。」


文章の隣に写真を貼り付けておいた。





7月に入り暑さが厳しくなってきた。

俺は冬の方が好きでできれば暑い日は家に篭っていたい。


そんな気持ちを裏切るように彼女は男を外へ引っ張っていく。


「今日は海へ行きます!」


「じゃあ俺は弁当作って留守番を……。」


「二人で行きます!」


「は、はい。」


気持ちばかりの反抗は呆気なく防がれてしまった。


「持ち物確認!食べ物!」


「あります!」


「飲み物!」


「あります!」


「その他海で使えそうなもの!」


「なんか色々持ちました!」


「海で楽しむ心!」


「家で楽しむ心?痛っ!」


頭にゲンコツを貰う。


「海で楽しむ心!」


「あ、ありまーーす!」


「私の水着は楽しみ?」


「楽しみです!」


「よろしいっ!ではしゅっぱーつ!」


「おー!」


こうして何だかんだ海へ出かけるのが南家の恒例行事である。


照りつける太陽、綺麗な海、ヘトヘトの夫、元気な妻。

沢山泳いで走って遊んで、、。



すっかり日が落ち、、ここからが本番である。


「南家恒例!BBQーーー!!」


「や、焼くぞー!!」


テンションを合わせないと帰ったあと志乃怒るからな……。


決して楽しくないわけじゃない。むしろ俺だって凄く楽しんでいる。感情を表に出すのがそれほど得意じゃないだけだ。


志乃もそれは分かっているのにこのテンションである。


「へいそこの綺麗なお姉さん!肉焼けたけどいるかい?」


「えっ!私の事?いいんですか?!」


今年はワイルドな親父っぽい人とリクエストが来ているので、それっぽく演じてみる。


「んーっ!凄く美味しいです!特にこのトウモロコシ!」


「肉じゃないんかい!!」


「あははっ。」


どこか懐かしいやり取りをしながら夜の海を満喫した。



7月29日(日) 今日は志乃と海でBBQ。今年のリクエストはワイルドな親父っぽい人。なんだよそれ!!って感じだよな。

来年もまた来れるといいな。いや絶対来ような!







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