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悪魔のクマ  作者: ib
10/12

第十話 テレビ


「志乃ー。」


「……。」


「志乃ー?」


「……。」


返事はない。


「あっ。」


それもそのはず、今日志乃は出かけているのを思い出した。そういえば昨日朝から出かけるからねー!って言ってたな。


二人とも休みの日は基本一緒にいるからな、、。なんだか久しぶりの一人って感じだ。


厳密には休みが被らない時は一人なのだが、それとこれとは何か違う気がする。


特にやることも決めてなかったな……。とりあえずテレビでも見るか。


ピッ。


「先生今日は何を作るんでしょうか?」


「ピーマン嫌いなお子様が多いと聞きますので、美味しい美味しいピーマンの肉詰めのレシピを……」


ピッ。


「昨年のオリンピックは非常に盛り上がりましたよね〜。」


「確かに!特にあの選手の活躍が素晴らしく……」


ピッ。


「そこまでだ!この正義の味方ベアーマンが来たからにはお前の好きにはさせんぞ!」


「ぐおおおおおお!俺が負けるわけがないんだぁああああ!!」


ピッ。


「ねぇ。あなたって本当は未来から来たんでしょう?」


「どうしてそう思うんだい?」


「だって私の思っていること全部知っているみたいな気がして、、。」


「それなら心を読めるとかでも辻褄が合うんじゃないかい?」


「それもそうね、、。私の考えが間違っていたのかしら……」


ピッ。


「ここで田中が前に出ましたねー。」


「後続を見つつしっかりリードを保っています。」


「この立ち位置はどうでしょうか?」


「悪くないと思います。このまま一着でゴールもありえますよー。」


「さてどうなるのか見ものですね。」


ピッ。


「皆さんはデジャブ、予知夢、前世の記憶などなど本当にあるのかないのか気になっていることはありませんか?今日はこの三つに絞って解説していきたいと思います。」


「判明したってことですか?」


「いいえ。あくまで一つの可能性のお話です。」


「それならわざわざテレビでやる話じゃねーじゃん!」


「そうかもしれませんね、、。ですがこの話で救われる方が世界のどこかにいるかもしれません。」


「これ日本だけの放送だしー。あはは。」


「信じるも信じないもあなた次第です。」



特に見るものも無さそうだしこれにするか。



「まずはデジャブについて。実際には体験したことがないのにあたかも二回目のように感じる現象。とここでは言わせていただきます。」


「これはウチも経験したことあるー。」


「そうですね。予知夢、前世の記憶に比べると経験したことがある人が多い現象になります。ではデジャブはなぜ起こるのか?そしてなぜ様々な人が経験したことがあるのか?」


「なぜ?」


「一つ例を挙げましょうか。台所にて揚げ物を作っているとしましょう。初めて料理を作るあなたは顔を近づけて油に食材を入れてしまいます。するとどうなるでしょうか?」


「油が跳ねて火傷する?」


「そうなんです。当然顔を近づけたことを後悔して次からは近づけないようになります。」


「まあ当然だわな。」


「でも次油が跳ねるとはたして決まっているのでしょうか?」


「そりゃ一回目跳ねたんだし次も跳ねるんじゃないの?」


「ですがたまたま跳ねた可能性だってあります。たくさん数をこなせば跳ねない可能性のほうが高いかもしれません。」


「それは……。」


「また火傷して自分に危険が及ぶと脳が思ってしまうんですね。ここからが本題です。この事を仮にきれいさっぱり忘れることができたとしたらどうなりますか?」


「また顔を近づけるんじゃないかな。」


「そうなんです。また顔を近づけて火傷するかもしれません。大抵の人は同じ道を辿るでしょう。ですが一部の人はなぜか油が跳ねる気がするんです。」


「どうして?記憶がないのに……。」


「私はこれがデジャブじゃないかと思っています。」


「でもそんな都合よく忘れるものかな?」


「確かにそう思うのも無理はありません。ですが見方を変えれば有り得る話なんですよ。」


「見方を変える?」


「誕生日の記憶や初デートの記憶なんかは何年経っても覚えている人がとても多いそうです。」


「そりゃ嬉しい記憶は覚えてるよなー。」


「叱られた記憶や失敗した記憶も覚えてる人が多いそうです。」


「嫌なことって忘れようと思っても覚えちゃうよね〜。」


「これらは何年経っても覚えているのに、二週間前の夕食は覚えている人がほとんどいません。」


「確かに……何食べたっけ?」


「つまり優先度が低いものほど覚えようとしていない。時間が経てば経つほど脳の中のゴミ箱フォルダに入れられていくわけですね。」


「どうでもいいことはすぐ忘れちゃうよな。」


「ではそのどうでもいいことをもう一度したらどうなりますか?」


「初めてやったことに感じる?」


「かもしれません。しかしこの場合大抵の人にある現象が起きます。そう、デジャブです。実際に一度やっていることは一部ではなく大抵の人がデジャブだと感じるのです。」


「ゴミ箱フォルダに入れてもどこかに残っちゃってるってこと?」


「そうなんです。人間の脳は非常に優れており、記憶を失ったと思っても思い出せないだけで大抵存在はしているのです。」


「へぇー。」


「つまりデジャブには二種類あります。実際に経験したが忘れてしまいもう一度経験する基本的デジャブ。大半のデジャブ体験はこれに該当すると私は思っています。そして実際に経験していないのにそう感じる特例デジャブ。」


「じゃあウチが感じたデジャブは基本的デジャブってこと?」


「そうとは言いきれませんがその可能性は高いでしょうね。あくまで自論なので、信じるか信じないかはテレビの前の皆さんにお任せします。」


「ウチは信じちゃうかもー。」


「俺も納得はできたな……。」


「妄想川先生ありがとうございました。」


「次は予知夢についてですが……」


「お時間がやってきましたのでこの辺でお別れとなります。それでは来週またこの時間!」



……終わったな。


「ただいまー!」


「おかえり。ちょうどテレビがキリよく終わったとこだ。」


「ナイスタイミングだったねー。晩御飯買ってきちゃったー!今日は作るのサボっちゃっていい?」


「買ってきたってことはサボる気満々ってことだよな?」


「えへへー。バレちゃ仕方ないね!この美味しい美味しいピッツァ食べよ!」


「俺がなにか作ってもいいんだが?」


「うー……。」


「……ピザ食べるか。」


「やったー!!ピッツァだよ!ピッツァ!!」


「はいはい。」


チーズがとろけていてとても美味しかった。


「あ、そうそう浩史に言ってなかったや。」


「何かあったのか?」


「今日二階の電球が切れちゃって……今度の休みの日取り替えてくれない?位置が高くて私じゃ大変なんだよねー。」


「ああ別に構わないよ。」


「ありがと!」




3月23日(土)

今日は珍しく一人でテレビを見た。志乃と食べたピザ……ピッツァはとても美味しかった。なぜ言い方にそこまで拘るんだろう?ピザでいいだろ別に……。





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