第8話
信忠の信号をロスト、天使モードを起動。
登録者の検索中……
物江 信介 LOST
時江 信藤 LOST
鳥江 信好 LOST
手虎江 信延 LOST
片田江 信誠 LOST
碧砂江 信忠……
……LOST
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登録者の追加を確認しました。
鳴田 江信のアップロードを完了致しました。
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「あれ……ボクは……?」
「"やっと起きたか、エイト"。」
「あれ、ボクたちなんで……?」
「"やっと神域に到達したんだ、その上司ってのに反旗を翻すんだろ"?」
「うん、信た……」
「"チッ……"」
"データ更新失敗か。"
[Re:Loading....]
「うん、江信!!」
"やはり更新直後はやや不安定気味になるか。"
「江信、どうしたの?」
「"いや、エイトの上司だろ、流石に緊張しちゃってさ"。」
「大丈夫だよ江信。」
"エイトが両手を広げ微笑む。"
「仮にボクがどうなったとしても、ボクが絶対護ってみせるから。」
"……"
「ん、どうしたの?」
「"いや、俺も絶対エイトのことを護ろうと思ってな"?」
「あはは、江信は人間なんだから多分無理だよー。」
"|役割ごと取替子したおかげで、ここの認識も問題無しと。"
「でも、そう言ってくれるだけで嬉しいや。」
「あっ、江信、もうすぐ着くよ。」
"今までの5人と違って6番目は適合率が高めか、これならトゥルーエンドに迎えそうかな。"
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分散されていた意識が徐々に収束する。
他者の意識や現実が混じりあったような幻覚が脳裏に残りながらも、流れ出した現実性が再び僕という容器に注ぎ込まれるような錯覚を覚える。
「さっきのは……?」
物江、時江、鳥江、手虎江、片田江、僕……
そして鳴田 江信?
「エイトは、エイトはどこだ!?」
いや、本当は分かってる。
僕の隣じゃなくて、その鳴田の隣に居るのだろう。
虚失感に胸を痛めながらも、ゆっくりと立ち上がる。
「そもそもここは……?」
椅子と机、読めない文字で書かれた書類。
雑な絵で蟲化した女の子と鳥化した女の子、そしてそれらを掛け合わせた先にはエイトの様な女の子も描かれている。
後頭部の痛みと目眩、強烈な耳鳴りが危険性を伝える。
何故かここに居てはいけないような、何かが来るような。
「何なんだよ、これ……っ」
その時、視界の先から光が差し込む。
誰かが扉を開けたようで、そちらに目をやると……
「エイト……!!」
「四十雀・AX・エイト、主にお話があって、ただいまここに戻りました。」