第2話
以上省略、話をまとめるとこうなる。
彼女は僕の守護天使(自称)のエイトである。
実際、背中から翼が生えたし、頭の上にリングを浮かばせることが出来たので、取り敢えず種族は天使なのだろう。
些か、ステレオタイプな天使過ぎて胡散臭いがここを疑うと話が先に進まなくなるので諦めて信じておいた。
さて、その天使サンがなぜ僕の元に現れたかと言うと、
『今日死んでしまうキミを死から守護る為に来たんだ。』
との事。
取り敢えず彼女は鳥化傾向のある難民としてケイリに突き出して、僕は学校に向かうことにした。
時刻は9時23分、既に遅刻だが学校には連絡を入れているので諦めて海沿いの通学路を進む。
"目に砂が入って死亡。
DEAD END.
なんてことは起こらずに、願峰灘の潮風を受けながらあの時の言葉を思い馳せる。"
山でもあれば土砂崩れに襲われたかもしれないが、無い山には襲われないので仮にエイトの言ったことが本当でも間違いなく土砂崩れでの死亡ではないだろう。
〜〜〜
特に何事もなく学校に着いてしまった。
死が云々はペテンなのでは?
"僕は訝しんだ。"
まぁいかにもなステレオタイプの天使を信用する方が馬鹿なのかもしれない。
だけれども、いつか会った時に『死に注意したから生き残れた』なんて方便を使ってきたら蹴り倒すことにしよう。
「遅かったね、何か悪いことしてたのかい?」
休み時間を見計らい教室に入り、自分の席につくと、隣に座るクラス委員の夜美川さんが遅い到着の僕を詰問してきた。
"僕は美少女に詰問されると興奮する質なので問題ないが、"詰問というか質問にはちゃんと答えなければ交友にヒビが入ってしまう恐れがあるからさっきまとめた話をさらに圧縮する。
「ちょっと家に不法侵入者が居たからケイリに突き出して来た。」
「不法侵入者って……」
「鳥化傾向のある女の子、被害は食パン1枚だけど……」
「そうなんだ、だからいつもと違……」
キーンコーンカーンコーン
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チャイムの音が鳴り響き、5秒ほど経つと扉を開けて先生が入ってくる
「ホームルーム始めるぞー。」
いつも通りやや疲れた表情をした担任教師がいつも通りそう宣言すると、いつもとは違う雰囲気に包まれると同時に頭痛に襲われる。
何か、何かおかしい気がする。
長針は11を指し、何かを伝えようとしている気がする。
「転校生の紹介するからみんな静かにしろ〜、男子は特になー。」
ガラリ、と扉が開き僕は目を疑った。
白く澄んだ肌、流れるような金髪、そんな見覚えしかない姿……
"「エイ、ト……?」"
「始めまして、四十雀・AX・エイトといいます!!」
クラス中がザワザワと騒ぎ立てる中、強い違和感を感じる、何か、何かを間違えているような。
「それじゃあ、碧砂江の隣の空いてる席に座って、そのまま次の周知事項だ……」
エイトがドヤ顔で笑みを浮かべながら僕の隣に座る。
「ふう、どうやらギリギリ助けられたみたいだね?」
「全く待ってなかったんだけど、死の危険っていつ来たのさ。」
「信忠は知らない方が幸せだから。」
のっけから専門用語使うような奴が煙に巻こうとすると胡散臭さ増すな。
そうは思ったものも隣に来たものはしょうがない、隣の席が不在の角席という平穏は終わったものも、今現在の平穏を保つためにその言葉は言わないことにした。