第九十六話 学校を見学しよう。 その2
予定通り更新。
「ザバるぅん!」
「なっ?来ただろ?」
「はい。そうですね。」
飛び込んできたのはマリリン第三王女であり、それを見て『なっ?』と微笑むザバルティとその行動を見て驚きひいているジュンの姿がそこにはあった。
「もう!ちゃんと・・・おほほほ。ごきげんよう。」
「いや。今更何とか整えようって無理だから。」
「無理ですね。」
『が~ん!』
固まるマリリン第三王女を見ながらザバルティは苦笑いであり、ジュンは益々ひく。
「これでもこの国での人気は凄いんだよな。不思議だろ?ほとんどの男達はこの姿を知らないんだよ。」
「あははは。」
ようやく苦笑いをジュンがした所で、復活したマリリン第三王女。
「うぅぅ。ザバるんの前だけなの。」
「はいはい。そうですね。ザバルティ様が居ない所ではちゃんとされていますね。」
突如入口から声が聞えた。
ギギギという音を立てて首を振り向かせるマリリン第三王女は驚愕の表情になる。
「げっ?!ミーリア…様!」
「まったく。淑女がいい歳して何という姿をさらしていっらっしゃるのですか?」
「いえ・・・その・・・あの・・・すいません。」
「まぁ今日はジュン様の前です。大目にみましょう。さぁ、きちっと着席しなさい。」
「はひぃ!」
バッと動いたマリリン第三王女はザバルティの横にビシッとした感じで座る。
「誰が横にと言いましたか?」
「ひぃい!」
ザッと飛ぶようにザバルティの横からテーブルのサイドに座り直したマリリン第三王女。
いったいこの二人に何があったのか気になるジュンではあったが、この空気感が質問する気持ちをピシャリと遮っていた。
「はぁ。もう少し王女としてのザバルティ様の婚約者としての立ち振る舞いをしっかりとして欲しいところです。」
「まぁまぁ。今日はそれ位にしてやってくれ。私も来るのが分かっていて放っておいたから。」
「ふぅ。それも分かった上でシッカリして頂きたいのですが。」
「す、すいません。」
小さくなっていくマリリン第三王女は本当に王女なのだろうか?という疑問をジュンに抱かせるほどに威厳が無かった。
「マリリン第三王女。今日はこちらのジュンがマリリン第三王女に話があるのですよ。」
「ジュンさんですか?何でしょう?」
いくぶんか、余裕を取り戻したマリリン第三王女にジュンは説明をした。
「なるほど、学園長ですか。」
「はい。計三名プラス1名ですね。」
「ですが、相当に凄いですね。そこまで育成にお金を使うつもりがあるとは。」
「たしかにかなりの金額になるとは思いますがあくまで投資ですから、十分見返りを考えていますよ。」
「そこですよ。何故その見返りを想定できるのかが私は不思議なんです。こうみえても私は第三王女です。このSSクラスの設立だけでも説得するのが大変だったのに・・・。」
「それは、僕が異世界人だからですね。」
「そうでしたね。異世界から来られた勇者でしたね。」
「勇者ではないですけどね。」
「それはどうでも良いだろう?それより学園長に相応しい人物を紹介してやってくれないか?」
「それは、どうでしょうか?難しいかも知れません。」
「それは何故ですか?やっぱり優秀な人物を外に出したくないからですか?」
「まぁそれもありますが、あまりにもスケールが壮大なのに知名度が無いというのが大きいですね。」
「たしかにな。そこは危惧していた。」
知名度は人が集まる上で一つの重要なファクターとなる。
新設の大学が苦労するポイントでもある。
「なので、ラムザさんに許可を貰ってシャルマン商会がパトロンである事を大々的に発表してもらいましょう。その上で当校と姉妹校宣言をしましょう。」
「姉妹校?」
「そうです。それであれば人員のやり取りも含めて自由度が上がりますし、当校は進学というメリットを得れますし、御校は人員の補強というメリットを得れます。うちの学院との姉妹校になれば世界的にもいくつか声を上げてくれる学校が出てくると思いますよ。どうですか?」
「なるほど。いいですね。よければ・・・。」
「ジュン。ちょっと待て。マリリン第三王女。何か企んでいるのか?」
「えっ?何の事でしょう?おほほほほ。」
マリリン第三王女は目が泳ぎ出す。
「わかった。どうせ、シャルマン商会の協力を得たいのと、将来有望な学校になると踏んで唾をつけておこうみたいな経営判断だろ?まぁ良い。俺からラムザにはお願いしておくよ。」
「おほほほほ。」
「まったく。貴族や王族は油断ならないな。まぁ悪いようにはしないからジュンもその覚悟を持って対応してくれ。」
「わかりました。」
マリリン第三王女は他国の学校であるが王立アスワン学院の影響下に置きたいという希望と、シャルマン商会がマリリン第三王女の後ろ盾になればという淡い思いがあった。
ただ、それもついででしかない。
ザバルティが好意的な対応をするジュンに快く応援したい気持ちが上にあった。
それに気がついたザバルティはあえてジュンにその裏がある事や思惑がある事を伝えた。
今後に活かして欲しくて。
だからザバルティはマリリン第三王女の耳元で呟いた。
「マリリン。ありがとう。」
それを聞いたマリリン第三王女はバタリと後ろに倒れてしまったという珍事件が起こってしまったが、ご愛敬であろう。
次回更新は
2021年9月25日(土曜日)20時
よろしくお願いします。