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第九十五話 学校を見学しよう。 その1

予定通り更新。


「これ全部ですか?」


「ああ、そうだよ。」


「都市の中に都市があるって感じじゃないですか?!」


「そうかもしれないね。」


今、彼等の前には大きな建物達が見える王立アスワン学院の正門にいる。

ジュンとザバルティはザバルティが用意した馬車でこの正門まで来た。

余りにも大きな建物が多く立ち並んでおり圧倒されるジュンは思わず声をあげた。

ザバルティには見慣れた風景でしかない為にジュンの驚きぶりを新鮮に感じている。


正門でザバルティは学生証を提示し馬車のまま学院内に入って行く。

敷地が広い為学院内の馬車での移動も許されている。

そのまま馬車は迷う事もなく一つの建物の前に着ける。


「さぁ、先ずは私の部屋へご案内するよ。」


「はい。」


ザバルティの先導で建物の中に入って行くジュン。

国会議事堂を彷彿とさせる創りで圧倒的な豪華さを持っている建物は赤い絨毯が敷き詰められている。


「私達の部屋はここの三階部分なんだ。少し歩くよ。」


「はい。」


ひと際広いエントランスがある場所に階段が設置されている。

あの内閣メンバーが決定した時に写真を撮る風景を思い出させるほどに大きな階段は中二階に踊り場があり更に上に続く階段がある。


「凄いですね~。」


「そうだね。初め見た時は驚いたかな?どうだったろ?」


「なんですか?それ?」


「ごめん。思い出せないや。ここまで濃い毎日だったからね。何年も昔の事の様な気がするなぁ。あははは。」


懐かしむような、それでいて新たに覚悟を決める様な遠い目をするザバルティにジュンは何も言えなくなった。


「あれ?ザバルティさん。今日は昼からですか?来ないのかと思ったのに。」


「やぁ。セレスティア。来る気は無かったんだけど、案内をする事になってね。」


「案内?」


「ああ。こちらの男性をね。」


「あっはい。ジュン・カンザキと言います。よろしくお願いします。」


「ご丁寧にありがとうございます。私はセレスティア・ファフナー。ファフナー商会の娘です。貴方があのシャルマン商会長ラムザ様がよくお噂されている方かしら?」


「噂ですか?」


「ええ。なんでも商人でもないのに経済の回し方を知っているとか。私もご教授頂きたいですわ。」


「えっと、そんな大層なもんじゃないですよ。」


「ですが、夏祭(サマーフィスティバル)というお祭りまで開催したとか、私も花火を見たかったですわ。」


「悪かった。」


「何がですの?ザバルティ様。」


「毎年開催するよていですから、よろしければ来年来てください。」


「まぁ。来年も開催するんですか?それは是非行ってみたいですね。」


「わかったよ。来年はクラス全員でいこう。」


「うふ。ザバルティ様。約束ですよ。」


「ああ。約束だ。」


「わかりました。では私は用事がありますのでお先に失礼します。」


「ああ。お疲れ様。」


ぴょんぴょんという音がしそうな感じでセレスティアが去っていくのを二人は見守った。

ザバルティはふぅ~と息を吐いた。


「前はあんな感じじゃなかったのだが、女は変わるよな。」


「ふふふ。乾杯でしたね。」


「コーネスか。その通りだよ。」


「まぁ貴族の子息子女に囲まれたら、変わりますわ。」


「そうかもしれないな。さぁ、ジュン。とにかく行こう。」


「はい。」


そのまま三人は階段を上がった。

そして三階のフロアに出る前に、それはあった。


「これは?」


「この階のフロアだけ、特別に警備員が居るんだよ。」


フロア入口は改札口のように、人が通れるスペースが少なくなっており、それ以外は出入りしにくくなっている。

その向こうには警備室もあり、二人ほど向こうからこちらを見ている。

もちろん、出入りできる場所にも一人立っている。


「これはザバルティ様。今からですか?」


「そうなんだ。こちらは私の客人だ通して欲しい。」


「わかりました。ではこちらに記入をお願いします。」


「はい。」


記入用紙には名前や住所に来場する理由など詳細に書く様になっている。

ジュンはコーネスの指示に従い記入して入館証なる物を渡された。


「ではどうぞ。」


「どうも。」


物々し雰囲気を感じながらジュンは先にいくザバルティに追いつく。


「厳重ですね。」


「そうだね。昔ちょっとあってね。問題が起こってこうなったんだよ。」


「そうでしたか。」


「で、ここが私の専属部屋だよ。どうぞ。」


「はい。失礼します。」


ドアを開けて部屋に入る。


「広すぎません?」


その部屋は40㎡もある様な広さだ。

およそ柔道の試合場が約15㎡だから4つ分程の広さに更に余裕があるサイズだ。

地方の小さい体育館クラスは余裕である広さである。


「たしかに広いんだけど、研究は学術だけでなく武術もあるからね。こうなったんじゃないかな?」


「なるほど。」


「では、お茶をいれますね。」


「よろしく。」


コーネスが給湯室へと入って行った。

この大きな部屋意外に従者の控室や給湯室にトイレにシャワー室が完備されている。

どれだけ優遇されているのかが、ここを見ただけでも分かるであろう。


「これは円卓ですか?」


「うん?ああそうだよ。」


ザバルティの部屋は落ち着いた色の絨毯がひかれており、奥には円卓が用意されていた。

その円卓の周辺には20脚ほどソファ型椅子が置かれている。

その手前にあるソファにザバルティは座った。


「こっちに座りなよ。」


「はい。」


進められたのは向かい側にあるソファだ。


「とりあえず、一息つこう。もうすぐやって来るから。」


「えっ?何がやって来るんですか?」


「ふふふ。来たらわかるさ。」


「まぁそうですね。」


タイミングよくコーネスが飲み物を並べる。


「入るぞ?!」


そんな声が聞えたのはジュンがコップに口をつけた時だった。


次回更新は

2021年9月23日(木曜日・祝日)20時

よろしくお願いいたします。

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