第九十話 女神交差(ゲッティンクロイツ)区。
予定通り更新。
都市国家オヒューカスは未曽有の好景気に沸いた。
新エリアはもちろんの事、旧エリアも開発が進み新エリアに負けない程の人通りを得た。
人が動けば金も動く。
金が動けば人も集まる。
歯車が重なる様に上手くはまる事で、未曽有の好景気を産んだのである。
結果、都市国家オヒューカスは大きな賑わいと都市国家オヒューカスへの移民が増加した。
更に都市国家オヒューカスの貧困層は仕事を得て、食料を経てスラム街は無くなった。
孤児達は孤児院へと収容され国が面倒をみる事になった。
サーストン王もラニー王妃も子供が好きなのと、人口の増加は国の為という考えはあった。
その為すんなりと手厚い支援をする事を了承したのである。
アンジェラ王女が治める新エリアに世界で類をみない孤児院が創設された。
国樹神信仰が根付いた国である為に、ロックフェラ連合国における主要宗教はアテネ神信仰であり黄道十二宮信仰と言えるが、国樹神を祭る神殿が同時に設置され国樹神の庇護下に置かれる事になった。
しかし、国樹神の神殿の敷地ではあるが、国の管轄になるのでシスターや神父になる為の教育を施される訳では無い。
いずれは時代の変化と共にそういう事もありえるだろうが現場は分離している。
また国樹神信仰は国教となっているが、まだ整備されたばかりでもあり大きな権力を握る事にはならない。
初代巫女長にアンジェラ王女が就任する事が決まっており、今後も王族が就任する事になるであろう事は想像される。
色々な事が軒並み決定していき形が再構築されていく都市国家オヒューカスは新たに新エリアの構築が進められている。
国としては海へと向かう方向へと広げる一方で、新エリアとなっている所とは違う方向へと公爵家やその他の貴族が協議の上開拓する事になった。
未曽有の好景気の次には開拓ラッシュが始まったのである。
その計画にはラムザが一枚も二枚もかんでいる様子が伺える。
しかし、ザバルティの姿は見えずダンバル一家から派遣された現場監督が数名居るだけの様子で、ジュンが開拓した時の様なスピードはない。
「特別対応だよ。」
「本来は大金が動く。それにああ見えて暇じゃないからな。」
とはザバルティとラムザの談である。
それは王族や貴族も理解していたようで、残念がる様子はあるモノの引き下がらないという事は無かった。
無茶を言う貴族はいなかったのが不思議である。
「気分を害されたら、それこそ国益の損失じゃ。先方の言う通りに妥協せよ。」
そういう指示が出ていたとか出ていないとか?
とにかく規格外の存在に対して強硬な姿勢を見せなかったのは正解である。
それだけ都市国家オヒューカスの貴族が教育されているとも言えるし、情報通でもあるのだろう。
それだけ見ても都市国家オヒューカスの先は明るいのかもしれない。
こうして何事もなくとはいかないが、順調に街は成長していった。
夏祭in都市国家オヒューカスから3ヶ月程たった。
「それではここ新エリアは女神交差区という名前とします。」
アンジェラでもジュンでもカンザキでもない名前に落ち着いた。
名前の由来は女神国樹神と女神テティスさらには女神アテネの交わるエリアとして現実と希望を混ぜた名前となった。
本来の最有力候補は『ジュン』であったが、人名である事と本人の最大限の拒否によって現実にならなかったが密かに【名誉公爵通り】という通り名がつけられた場所がある。
そう、女神交差区の中心にある大きな通りでありメインストリートでケンドラゴの洞窟へと続く道だ。
名誉公爵の偉業を讃えてつけられた訳だが、名前を使用しない事でジュンが妥協した結果である。
「アンジェラ王女殿下。どうにかなりませんか?」
「王女通りをどうにかしてくれるなら良いですよ。」
「誠に申し訳ありませんでした!」
ピクピクと動くアンジェラ王女の頬を見せられたジュンは即座に謝罪した。
王女通りは王女が詰める女神交差区の役所の前から真っすぐに伸びる道の事である。
目の前を横切る名誉公爵通りとクロスする道でありこちらもメイン通りである。
そこの道の名前が王女通りと名づけられていた時にアンジェラ王女が嫌がっていたのに拒否を助けなかった経緯がある。
それ以上、通りの名について物を言えなくなったジュンであった。
「学校をつくりましょう。」
「突然ですね。あの学校ですか?」
「はい。人が増え領土が増えればどうしても管理する側が不足します。どうですか?」
現在の都市国家オヒューカスには学園は無い。
小さい都市国家であったので基本的に家庭教師が教えるのみ。
平民に至っては他国に出て学ぶ以外に道は無い。
「なるほど。平民の登用が必要になるという事ですね?」
「はい。他国の貴族を雇う以外ではそれが有力です。なので【学校をつくる】というわけです。」
「なるほど。」
「それに学校は同い年が集められますから、より仲間意識も芽生えたりしますから有力な方法ですよ。」
「そうですね。大国は用意していると聞きますからそうなのでしょうね。」
アンジェラ王女が賛成した事で話は進んでいく。
「今回は僕の方で進めますよ。アンジェラ王女殿下も忙しいでしょうから。」
「ふふふ。ではお願いしますね。」
こうして、ジュンは学校建設を進める担当者になったのである。
次回更新は
2021年9月11日(土曜日)20時
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