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第七十九話 【摂政】任期満了。

予定通り更新です。


「これで、ジュン殿の摂政の任期を終了とする。」


サーストン王とラニー王妃が並んでいる前で、膝をついています。

サーストン王の宣言により、僕の一年間の摂政の任は満期終了となりました。


「謹んで承ります。」


僕はサーストン王とラニー王妃に頭を垂れ、返事を返した。

ようやく、摂政の役が終了。


これで、僕の都市国家オヒューカスにおける責任は終了です。

新規開拓したエリアもアンジェラ王女殿下に押し付ける事に成功しており、本当の意味で解放された。

貴族位は頑なに断ったのは大きいですね。


「そして、ジュン・カンザキに名誉公爵の位を与える者とする。ただし、国に対する責任は緊急時以外にないものとする。」


「(渋々)承ります。」


本来は、謹んでとか言うのでしょうが、そこは曲げられません。

何せ、本意ではないのですから。


サーストン王が持つ儀礼用の剣を肩に置かれ宣誓されてしまいました。

これは仕方がありません。

国樹神(トヨタマ)様にまで、懇願されては断り切れないでしょう。


王族でも無いのに公爵です。

侯爵では無いのです。

名誉公爵なんて前代未聞ですよ。

聞いた事ありません。

歴史的偉業と言えるのでは無いでしょうか?


唯一の落し所として提案されたモノなのです。

何故なのか?


①初の領地持ちとなった事。

②国の借金を僕が肩代わりしている事。

③国の規模が1.5倍になった事。

④世界の商会シャルマン商会との折衝役である事。

⑤個人としての戦力が黄道十二宮の勇者に匹敵する事。

国樹神(トヨタマ)様の寵愛を受けている事。

⑦国を救った英雄となってしまった事。(王と王妃の救出)


以上の事から、伯爵位では釣り合わないとなり、侯爵位もダメだ。

公爵位でとなり、何とか一代限りとしてもらい、名誉公爵となりました。


もちろん責任を問われるのは、本意ではないのですが、国樹神(トヨタマ)様の寵愛を受けた英雄兼勇者に認定されてしまったので、緊急時のみ対応する。

という事で、承諾したのです。


サーストン王とラニー王妃は僕を命の恩人として考えてくれているので無理強いはしたくなかった様ですが、アンディス先王は何か裏を考えている様で、押し切られました。


流石に経験豊富な老獪さを出されると、若造である僕は太刀打ちできませんね。

一代限りですし、大丈夫でしょう。

大丈夫ですよね?


「では、これより先も我が国の為に出来る事はして欲しい。」


「かしこまりました。」


僕が返事をした後、スススっと僕の横に来たアンディス先王がボソッと耳打ちしてきました。


「うむ。言質はとったぞ。」


やっぱり、心配になってきました。

アンディス先王の顔を見るとニヤリと悪い顔になっているから。


「さぁ、これより新たな貴族が産まれたお祝いじゃ!」


「「「「「おぅ!!」」」」」


咄嗟に反応したブラムス侯爵以下貴族の面々につられた騎士達。

貴族の面々はアンディス先王と同じ様に悪い顔をしていますね。はい。

その横で、アンジェラ王女が苦笑いをしています。

そのアンジェラ王女の横で、誇らしげにフロイド王子がニコニコしています。

やれやれ、仕方ありませんね。


「お手柔らかにお願いします。」


「ふっふっふ。そう身構えんでも、雑務は回らんよ。最重要、いや重要案件だけじゃよ。」


「いや、そこは最重要案件だけにしてください。」


「まぁまぁ、若いのに細かいのぉ~。禿げてしまうぞ?」


「いや、そういうフラグは立てないでください。」


「フラグ?」


なんじゃそりゃ?みたいな、いたずらっ子の様な顔は止めて頂きたい。と言いそうになったけど、まぁ飲み込みました。

フラグなんて言葉はしらないでしょうしね。


そこからは宴会場へと先王を筆頭とした貴族たちに囲まれて連れて行かれました。

いわゆる、連行。

もとい、拉致。

もしくは、パワハラ。

と言えるのではないですかね?これ。


「一杯だけじゃ。」


「一杯だけですよ?」


そんな会話をしている時点で、違いますかね?

認めてしまいましたから、悪あがきはよしましょう。

婚約は回避出来ましたからね。


「でも、婚約者を紹介とか、押し込むとかないですよ?」


「わかっておる。わかっておる。」


バンバンと肩を叩かれ老獪なオジサマ達に囲まれたままで、オジサマ達は【がははがはは】と笑い嬉しそうに、楽しそうにしていますね。



その後、宴会は夜遅くまで笑い声が絶えず、楽しい時間となった。

明日は皆、二日酔いで大変だろうな。と思った。


今、僕は国樹神(トヨタマ)様の前に居る。

王宮の地下であり、蛇使い座の特別な空間でもあるこの場所は居心地が良い。


『ジュン。本当にありがとう。感謝しているわ。』


フフフと笑う国樹神(トヨタマ)様の感謝の言葉は照れくさい。

喜んでくれるのは嬉しいのだが、照れるモノは照れる。


「成り行きですよ。」


そう答えるのが精一杯だ。

国樹神(トヨタマ)様は『わかっていますよ。』という言葉を表している様な表情をしている。


『やぁ。ジュン君は貴族様になったんだって?』


「なっ?!」


ケンドラゴの洞窟の主である女神テティス様がひょいっと顔を出した。


「何で知っているの?」


『そりゃあ、こう見えて神様の一柱だからねぇ~。』


『ふふふ。』


『あれ?そこは笑う所かなぁ?』


国樹神(トヨタマ)様は意味ありげな顔で笑う。

それに対して女神テティス様はツッコミを入れる。


こういう話題には僕は入らない。

神様同士の揶揄に参加して良い事なんか無い。


大人っぽく色気を持つ国樹神(トヨタマ)様と幼さの残る女神テティス様では、どうしても親子?もしくは姉妹のじゃれ合いに見えるのだ。

あくまでも見せられている姿がという事なのだろうが。


『まぁ、何にしてもこれで君も尊き蒼き血の仲間だね。』


「えっ?尊き蒼き血に興味は無いですけど?」


『なんだって?!』


驚く様子を見せる女神テティス様。

今日はそういうキャラでいくようだ。


次回更新は

2021年8月7日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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