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第七十六話 鏡の世界 その6

予定通り更新です。


あれから、僕等は色々な攻撃を試してみたのだが、結果は芳しくない。

リッチクイーンに有効打を与える事が出来ないでいた。


更に、今は眷族が増員されてリッチクイーンの周りをリッチ達が囲っている。

リッチ一体でも、油断して精神攻撃を受けてしまうとかなりマズい状態にされてしまう。


「キツイわね。」


「そうですね。アンジェラ王女殿下は大丈夫ですか?」


「今の所は大丈夫です。」


今は三人で固まって、リッチ達を討伐している。

数が多いので、慎重に対応しているので、攻撃を受ける事は無い。


『遅くなって申し訳ない。ようやく通信がとれたよ。』


突然会話に入ってきたのはザバルティさんの通信だった。


「やっぱり、連絡できなかっただけなのですね?」


『ああ。邪魔されてね。とりあえず、邪魔は取り除いたよ。現状そっちは大変そうだね。』


「はい。ボスであるリッチクイーンに有効打が与える事が出来なくて、困っています。」


『うん。その様だね。だけど、たぶんもう大丈夫だと思うよ。』


「そうですか?」


『ああ。通信を邪魔していた存在がそのリッチクイーンを強化していたのだろうからね。』


この洞窟に入ってから一度も定期連絡が無かったのは、どうやら邪魔をされていたからのようだ。

この洞窟を攻略するのに、時間の経過はかなり経っているとおもうのだが、時計は無いし、何故かお腹が空かない。

眠気はくるので、それによってある程度の時間経過は感じている。

僕等が慌てないで済んだのは、あの状況下でこの洞窟に入らなければいけなかった事を考えて通信できない状況なのだろうと推測したからだ。


「わかりました。じゃあ、皆いくよ。」


「はい。」

「了解。」


僕等の号令で、一斉に動き出す。

ビアンカ様は、真っすぐリッチクイーンに向かっていった。

その間にン向かって来るリッチを倒しながら向かう姿はカッコいい。


一方、僕はスキル【瞬間移動】を繰り返し使用しながら、リッチを一掃した。

アンジェラ王女殿下が一人となり、魔法で援護をしてもらう為にもその必要があった。


『グギャァァァ!』


威嚇してくるリッチクイーンの咆哮を受けながら、撹乱する為に僕はスキル【瞬間移動】を多用して、右へ左へと移動する。


先にビアンカ様がリッチクイーンへと到達し、リッチクイーンの攻撃を躱しながら、攻撃を繰り出す。


リッチクイーンもやられまいと、魔法を使用してくる。

ここまでの長期戦で、魔法や攻撃方法はある程度、想定で来ているので、その経験を活用して攻め立てる。

攻め立てるのには理由があり、リッチ達を呼ばれたくないのもある。

少しでも、余裕があると、眷族であろうリッチを呼ぶので、そうさせない為にも攻め続けるのだ。


真正面からのビアンカ様の攻撃を防ぎつつ、僕の攻撃を警戒するリッチクイーンは、大技を繰り出せない様子だ。

なので、僕はスキル【瞬間移動】を使い、真後ろへ移動し、斬りつける。

すると、さっき迄と違い、ダメージを与えた感触があった。


リッチクイーンも驚きを感じている様だが、嫌がり方も本気を感じさせる動きになった。


「これ以上、警戒されるのは良くないわね。」


「はい。一気に攻めます!」


僕は、ここまで使用していなかったスキルを発動する。

【超倍速】と【並列思考】と【身体強化】を開放して使用し、【瞬間移動】を使う事で、圧倒的な処理速度を利用して攻撃速度を一気に上げた。


急激な速度アップによって僕の攻撃速度に対応できないリッチクイーンを、圧倒的な速度の斬撃を見舞う。

リッチクイーンは受け身も、躱す事も出来ずに全身に僕の攻撃を受ける。


『ギャァァァァ!!』


悲鳴を上げるリッチクイーンに、ビアンカ様が武技を発動して一閃。


『ありがとう。』


リッチクイーンは一言感謝の言葉をつぶやき、光の粒となって消滅した。


「ふぅ。」


「やっと倒せましたね。」


「ええ。アンジェラ王女殿下の付与魔法のおかげです。」


「そんな事はありません。それより物凄いスピードでしたね?」


「そうだ。ジュン殿。あのスピードはどういう事だ?あまりにも早すぎて残像になっていたぞ?」


「そうでしたか?まぁ今度ゆっくり話しますよ。あははは。」


『そうした方が良さそうだ。』


目の前にはこれまでと違い、ワープゾーンが出ている。

他には何もない。


「ようやく、終わったのですね。」


「その様です。行きましょう。」


僕達三人はそろってワープゾーンであろう青い光が立ち込める魔方陣に入った。

入った後、力強い魔力を感じると体が浮く感じがした。

次の瞬間には、あの像があった空間に立っていた。


「よく戻って来た。」


そこには、あのディエゴさんが立っていた。


「先ずは、謝罪をしよう。」


そう言って、頭を下げるディエゴさん。

ここはディエゴさんの作った異空間なのだそうだ。

そして、ディエゴさんは『水鏡時雨(スイキョウシグレ)』に宿る精霊らしい。

この異空間を創造したのは、『水鏡時雨(スイキョウシグレ)』によって滅ぼされた者の成仏出来ない霊をこの異空間に取り込み、呪われた武器としない様にしたのが始まりだそうだ。


そんな中、王と王妃が死にそうになったので、霊を取り込んだらしい。

その際、【献身の悪魔】エネノローラの分霊を取り込んでしまった。

その悪魔との交渉の末、この様な洞窟を創造し、王と王妃を護る事に成功したそうだ。

そして王と王妃を解放するには、この洞窟をクリアする必要があったのだそうだ。


クリアされる事で、霊が成仏でき、ディエゴさんがこの異空間を閉鎖する事で力を取り戻す事が出来る様になる。

その力でこの像から、王と王妃の魂を解放できるという事のようだ。


「それでは、この異空間の維持を止め、直ぐに王と王妃を解放しよう。」


ディエゴさんがその様に言うと、強く激しい光が僕等の前で起こった。


「君達こそ、勇者だ。」


最後に聞こえた音は、ディエゴさんの僕等を讃える声だった。

そして、僕は意識をなくした。


次回更新は

明日、2021年7月25日(日曜日)20時

よろしくお願いします。

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