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第七十三話 鏡の世界 その4

予定通り更新です。


おどろおどろしいしい感じの洞窟の入口を入った僕達三人は、縦一列になったまま細い洞窟を進んでいる。


「何か、肌寒いですね。」


「たしかに。」


声が木霊するので、最小限の小声で会話するのだが、ゴツゴツとした壁や床に天井に当たらない様に気をつけながら進む。


この洞窟は、日本にあった坑道の様なイメージが湧く。

少し先に進んだら、広い空間に出た。


その空間の先には大きな像が立っていた。

台座は1メートルぐらいあり、その上に男女が抱き合っている像だ。


「父上。母上!」


その像を見てアンジェラ王女殿下が像へと向かって走り出した。


「アンジェラ王女殿下!」


それに気がついた、ビアンカ様もアンジェラ王女殿下を追う。

僕は、周辺を監視しながら二人を追いかける。


入口から離れた事を感じたからか、後ろの入ってきた道が消えてしまった。


「ちっ!」


それ以外の変化は無い。

アンジェラ王女殿下は像の足元に縋る様にして立っている。

その後ろにはビアンカ様がおり、そこの横に僕が立つと、『ゴン』という音が響く。

良い状況ではないね。


『この地に眠る者達を天へと導け。さすれば、その他達の願いは成就する。』


脳内に直接響くかのような声が聞えた。

そして、『ゴゴゴ』という音と共に像の更に向こうの壁が動き、扉が現れた。


「これは、どういう事でしょうか?」


「王と王妃を助けるには、このダンジョンをクリアしろという事でしょう。」


つまりはそういう事だろう。

洞窟をクリアする準備もないというのに、無茶ぶりだと思うのだが。


「仕方ありません。行きましょう。」


「他に方法は・・・ないでしょうね。それより、アンジェラ王女殿下。大丈夫ですか?」


「先ほどは申し訳ありません。取り乱してしまいました。」


そう言ってアンジェラ王女殿下は頭を下げる。

アンジェラ王女殿下はいつも毅然としているが、両親があの様な状態では、心休まる状況ではないのだろう。

長い月日が経っても慣れるという事にはならないよね。


「いえ。しかたがないと思います。」


僕がそう言うとアンジェラ王女殿下はニコッと笑った後に、像を見上げる。

それに釣られて僕も見上げる。

像をよく見ると、抱き合うというよりも、男性が女性を庇う形で抱きしめている様子だ。

顔も、見ればあの部屋で幾度かお会いした王と王妃の顔だった。


像を見上げていたアンジェラ王女殿下を僕とビアンカ様は待った。

しばらくして、アンジェラ王女殿下は顔を下ろすと、僕とビアンカ様を交互に見つめる。


「お待たせしました。もう大丈夫です。いきましょう。」


「「はい。」」


僕達は像の後ろに出来た入口へと入って行った。



◇◇◇◆◇◇◇



あれから階層を5階層分ほど降りた。

モンスターも出てきている。


全てアンディットと呼ばれる種族ばかりだ。

ゾンビにスケルトンとゴーストが向かって来る。

武器を持っていないので、基本的に素手が魔法だ。


まぁ、この低レベルのアンディット相手ならば、このままでも大丈夫だろう。

それに、宝箱からいくつかのアイテムと装備品が手に入っている。


ポーション・マジックポーション等のアイテム。

銀で加工された武器。

ロングソードが二本とショートソードが一本。

ランクの低いその装備品であっても、有効打が与える事が出来るらしく、苦戦はしてない。


そして、今は階層ボスの部屋の前だと思われる場所に来ている。


「準備は良いですか?」


「ええ。」


「問題ない。」


二人の返事を聞いて僕が先頭に立ち扉を押し開いた。

青い炎がバッと両サイドにつく。

一番手前から順番に奥に向かってついていく青い炎。


そしてその先に佇む影。

どうやら、ゾンビの上位種の様だ。

サイズ感も、今まで出てきていたゾンビよりも大きい様子だ。


「あれは、ゾンビナイトと呼ばれる魔物だ!」


ビアンカ様が敵の情報をくれる。

ここまでも、魔物の情報を出してくれていたから、かなり魔物に詳しいのかもしれない。


「では、アンジェラ王女殿下は神聖魔法で僕達の武器の強化をお願いします。ビアンカは距離を詰めてください。僕も詰めます。」


「わかりました。」


「了解。」


今では、僕が指揮をとっている。

理由は、僕がビアンカ様を指名したら、ビアンカ様はアンジェラ王女殿下を、アンジェラ王女殿下は僕を指名したのだ。

指名が回って戻ってくるとは思っていなかった。


『アンジェラ王女殿下に指示なんて恐れ多い。』

『ジュン様の方が私より相応しい。』


二人の指名理由によって、なし崩し的に僕に決まったのだ。


『聖なる付与』と呼ばれる聖属性魔法をアンジェラ王女殿下が僕とビアンカ様のロングソードに付与する。


付与された僕とビアンカ様のロングソードは光り輝く。

そのロングソードを持って僕とビアンカ様はゾンビナイトに突撃した。


もちろんゾンビナイトもただ待っているだけでは無かった。

持っている漆黒のバスタードソードを振り上げなぎ倒そうと横薙ぎを仕掛けて来た。


僕はそれを飛び越える様に避けて、ビアンカ様は避ける様に飛び下がった。

僕はその勢いのままゾンビナイトを切りつける。


聖属性が聞いているのか、熱した鉄でバターを斬ったかのように、スッパリと斬れた左足が体から離れてゾンビナイトは体勢を崩した。

そこへビアンカ様の一撃がゾンビナイトの頭を切り落とす。


そして、僕は心臓部にあると思われるコアを狙って突き刺し、飛びのく。

同じ様にビアンカ様も斬り落とした頭を真上から突き刺し飛びのく。


そこへ、アンジェラ王女殿下の浄化の魔法が届くと、ゾンビナイトの体は悲鳴を上げる事も無く塵と化した。


そして、奥へと繋がっているであろう扉が浮かび上がったのだった。


次回更新は

2021年7月22日(木曜日・祝日)20時

よろしくお願いします。

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