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第五十九話 会議は紛糾しました。

予定通り更新。


「静粛に!」


議長が大きな声を上げている。

が、ザワザワした会場の雰囲気は変わらない。

何故こうなったのか?


「本当に君はシャルマン商会と契約したと言うのかね?」


「ええ。何度も答えている通り、そうです。僕自身を担保として契約しています。融資ではなく投資という形ですし、何かの制約を課せられた訳でもありません。」


「では何か?君みたいな小僧にあのシャルマン商会が無償で金を提供したと言うのかね?」


この爺は一体何回同じ事を言わせるのかな。

深い溜め息が出る。


「はぁ~。もう良いですか?同じ事を何度も言わされていますが、事実、国家オヒューカスの各国への借金はシャルマン商会から返済されたハズですが?これ以上の事をお聞きになりたいのであれば、シャルマン商会長に直接お聞きになってください。僕の回答は変わりませんよ。」


「何か裏取引でもあるんじゃないのかい?」


「僕と何を裏取引するんですか?それこそオカシイ話でしょう?」


「まぁ、そうではあるな。」


疑いの目は直りませんが、渋々と言った感じで黙ります。


「少なくとも、契約は間違いないですし、これから都市国家オヒューカスはシャルマン商会との取引が多くなるとは思いますが、シャルマン商会に国を売ったわけでもありませんし、後ろめたい事などありません。僕が借金を被っただけですからね。これ以外に話が進まないようでしたら、退出したいのですが、よろしいですね?」


「なんと無礼な物言いか!」

「そうじゃ。若造が良い気になるでない!!我らへの恩も忘れおって!!」


僕がこの人達に恩がある?

はぁ?!


「ちょっと待て。僕があなた方に対して恩を感じなければいけない事なんてありますか?」


「なんじゃと?!」


「そもそも勇者召喚で勝手に召喚しておいて、他の勇者と待遇に差をつけて貶しまくっていたのは、あなた方では無かったですか?唯一、その中で都市国家オヒューカスのアンジェラ王女だけが、僕の面倒を見ると言ってくれたのでは無かったですか?」


「グっ!」


「だから、僕が恩を感じて相手をするのは都市国家オヒューカスのみのハズですが?まぁ敢えて少しでも対応すると言うならば、都市国家ガリレオに対してだけですかね?」


各都市国家の代表たちは黙った。

僕の言葉は正論だからだ。それに今回の事は誰にも迷惑をかけていない。

シャルマン商会が勝手に僕に近づき、金を用意してくれただけだし、借金もちゃんと返しているのだから問題ないはずだ。


そんな中、黙って見ていた黄道十二宮の勇者達の中から笑い声が起こった。


「くっくっく。弱っちい雑魚が随分と粋がるじゃねぇか。シャルマン商会とやらの後ろ盾があるからって調子こいてっと、やっちまうぞ?!ああぁん!!」


えっと、この人誰だっけ?

僕を「いらない人間」って言っていた奴だと思うけど。


「えっと?誰?」


下を向き、拳をグッと握ったその人はグワッという感じで顔を上げて僕を睨む。


「てめぇ!本当に調子に乗っているんだな~。死ねや!!」


「待ちたまえ!!」


会議室は帯剣を許されていません。

止める声も聞かずに、彼は一気に僕の方へと飛んできて、殴りかかってきました。

渾身の一撃ですかね?


彼の右手から繰り出されているのは『炎の拳』で拳に炎を纏っているので、見た目はもの凄そうだね。

はぁ~。

痛い思いをしたいわけじゃないので、彼の軸足になり得る前にでている左足を内側から蹴り上げると、彼の上半身は右に流れて上に浮かんだので、真上から彼の頭に右こぶしを落としてやりました。


「ドゴン!」という音と共に、僕の前の床に体を強く打った彼の口から血が飛び散りました。


「ぐはぁつ!」


血を浴びたくない僕はスッと瞬間移動を使い、血が飛んでこない場所へと移動した。


「なっ?」

「嘘?」

「・・・!?」


マコトさんには話してあった部分があるから、さほど驚いていないけど、他の【黄道十二宮の勇者】達は驚愕した顔になっているのが面白い。


動きなんて見える訳ないよね?

瞬間移動というスキルなんだからさ。

このスキルを獲得するためにどれだけの時間を費やしたと思っているの?

何回死んだのか、僕でも分からないんだからね?


「ふふふ。」


自然と笑みがこぼれる僕。

最弱扱いをして、要らない奴だと言ったのは、マコトさん以外の全員の総意だったもんな。

内心、冷や汗かいているじゃないかな?

たった一ヶ月ぐらいでのこの状況だからね。

静まり返った会場、息を飲む感じが良く分かる。


「という訳で、僕個人が恩を返す、またはしっかりと対応するのはあくまでも都市国家オヒューカスのみです。皆さんの期待には応えるつもりがありません。摂政の地位も一年間だけの契約です。それが過ぎれば、僕は好きな様にさせて頂くつもりですから、その様に考えて頂きたい。後、ケンドラゴの洞窟は都市国家オヒューカスの敷地になる予定です。近いうちに女神アテナ様より皆さんに、連絡が来ると思います。」


「そんな勝手が許されると思っているのか?!」


「勝手?う~ん。違いますね。」


「なに?!」


「ケンドラゴの洞窟を支配する神様から直接依頼があったんですよ。『都市国家オヒューカスとの独立的契約を結ぶ。出入りは都市国家オヒューカスの承認以外は認めない。万が一これを破った者は、即座に‘死’を与える。通達は女神アテナへする。その通達以降から適応する。』だそうです。まぁ、まだ都市国家オヒューカスの体勢が出来てないので少しは余裕があるとは思いますけどね。いつなるかは分かりませんし、それ以前に入っていた者は転移させられるでしょうね。」


「そんなバカな話があるか?!」

「そうだそうだ。そんな勝手が許される訳はない!」


「まぁ、そう勝手に思うのは自由ですが、神様のする事は人には理解できませんからね。少なくとも忠告はしましたよ?」


僕の話通りに女神アテナ様から連絡が来ると思うけどね。

まぁ、忠告を無視してくる者に対してはどうなっても知らないよ。

そこまで責任は取れませんよ~。って思います。


次回更新は、

2021年6月26日(土曜日)20時

宜しくお願い致します。

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