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第五十八話 首都アテナイへの再訪。

予定通り更新。


「どうしても行かないといけないかなぁ~。」


僕は雨が打ちつける窓を見ながら呟いた。

本当に憂鬱で、心の底から思う事。


「アンタが行かないと、どうにもならない。」


一刀両断。

僕の甘えた独り言を護衛隊長ビアンカ様はバッサリと切り捨てる。

厳しい対応だと思う反面、厳しいからこそ甘えた事が言えるのだとも思う。


「まぁ、そうだよね~。」


頭ではしっかりと分かっているが、心理的にはあの場所に行きたいとは思えない。

あんなに馬鹿にされた場所に行かなければいけないのは憂鬱でしかない。


「わかっているなら、泣き言を吐くな。」


イライラした感じのビアンカ様の顔は怖い。

どうやらビアンカ様は僕の弱気な態度は気に入らないらしい。

とは言え、僕は王族でも貴族でもない。

ただ召喚されてきた一般人だ。

配慮があっても良いんじゃないだろうか?


ちなみに、時の概念から離れた空間での訓練に費やした時間は100年以上、正確には114年以上の時間であったが、それでも馬鹿にされたあの場所へ行く事に抵抗がある。

怖い訳じゃない。嫌なだけだ。

今となっては、僕を貶した連中に負ける要素は何もない。

武力だって、財力だって、立場だって負けない。

しかし、会いたい相手では無いのは間違いない。


「ともかく、予定通り明日には出発する。準備を怠らない様に。」


「へ~い。へい。」


やる気のない返事をした僕をキッと睨むビアンカ様。


「ふん。まぁ良い。忘れ物をしないようにな。パルル。後は任せた。」


そう言ってビアンカ様は出て行った。

オロオロしていた従者のリク君はホッとした顔になる。


「じゃあ、今日は帰るか~。」


「あれ?やる事があるんじゃないの?」


「無いよ。なぁリク君。」


「えっ?えっと、その、あの・・・。」


「ちゃんと、やる事はやらないと、帰ってきたら大変になるよ?」


「へ~い。」


パルルさんに突っ込まれるもリク君を仲間にしようとしましたが、リク君がアタフタしてしまった為に、やらざるを得ませんでした。

僕は摂政だよね?あれ?



◇◇◇◆◇◇◇



「ドナドナドナドナド~ナ~♪」


僕はついこんな音楽を口ずさんで豪華な馬車に揺られています。

もう目の前にはロックフェラ連合国の首都アテナイの城壁です。


「それ何の曲?」


「えっと・・・。」


「パルル。聞くまでもないでしょ。暗い曲なんだから。」


「そうだね。楽しい曲じゃないもんね。」


ビアンカさんとパルルさんの二人してジト眼で見てきます。


「はい。黙っていま~す。」


そう言って僕は黙って首都アテナイの城壁を越えました。

そして都市国家オヒューカスの屋敷へと入ってその日はゆっくりと休む事になりました。


ちなみに数十の都市国家からの面会要請があったようですが、全てお断りさせて頂きました。

どう考えても良い事にならない気がしたからです。


やっぱり、嫌だと思っていると、どうも淡白になりますね。



◇◇◇◆◇◇◇



翌日はマコトさんが会いに来てくれました。


「ジュン君。元気にしてかい?」


「はい。マコトさんも元気そうですね。」


およそ二・三週間ぶりぐらいですが、僕にとっては114年ぶりになるので、本当に久しぶりって感じですね。まぁ、それを言うと全てがそうなんだけど。


「色々とあの後も大変だったみたいだね。」


「えっと、そうですね。大変でした。」


本当に何度も死にましたからね。

本当に無事に戻って来られて良かったと心の底から思う。


「【ハイミノタウロス】を一人で倒したんだって?相当強くなったんじゃないかい?」


「ええ。まぁ倒しましたね。はい。」


「うん?何か歯切れが良くないね?何かあった?」


心配そうな顔でマコトさんに見つめられてしまうと、全てを話そうかと思ってしまうけど、護衛隊長ビアンカさんにも訓練した謎空間については言えてない。

話そうとすると、言葉にならなくなるし、そもそも時ノ(あれ)をどうやって説明して良いのかわからないし、特殊スキルを手に入れているのであまり説明したくないとも言える。

なので、無我夢中で倒した事にしているし、倒した事でレベルアップしており、強さは間違いなく上がっているので、それで押し通している。

戦闘中にレベルアップした。という感じで。


「そっかぁ~。本当にジュン君は僕達とは違う様だね。今では僕達よりレベルが上なのかな?」


「今はレベル58です。」


一瞬だけ驚いた顔になった後で、マコトさんは頷いた。


「うん。そうだね。君は特別の中の特別な存在だからね。」


「えっ?」


「だってそうだろ?国樹神(トヨタマ)様の寵愛を受けている国樹神(トヨタマ)様の勇者なのだろ?」


マコトさんの言う意味は間違いじゃないと思う。

けど、特別の中の特別ではないと思う。


「それは間違いないと思いますけど、特別の中の特別では無いですよ。だって、【永遠の二番】という称号があるんですから。」


「まぁ、そうだけど、それも含めて特別じゃないかな?」


「そうですかね?」


「そうだよ。」


そう言ってニコッと笑うマコトさんの顔はとっても眩しいです。

綺麗な顔ですね。本当に。


「じゃあ、手合わせをお願いしても良いかな?」


「はい。こちらこそお願いします。」


マコトさんとの手合わせを終えてから汗を流してマコトさんと一緒に街へと繰り出しました。

まぁ、二人きりという事にはならなかったけど、楽しい一日だった事は間違いないです。


次回更新は、

明日、2021年6月20日(日曜日)20時

よろしくお願いします。

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