表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/108

第五十七話 世紀の大発見?!

予定通り更新。


あの後、直ぐに見つかった。

あっけないほどに簡単に彼等は見つかった。

六階層に上がって直ぐに見つけたのだ。

どうやら、迷子になってしまったらしい。

途方にくれた時、目の前に扉が現れた。

彼等も最初は驚き警戒したものの、恐る恐る中に入った。

が、魔物の気配は無い。


彼等は憔悴してはいたが、大きな外傷などなく、無事に保護された。


『バチコン♪』


という音共に彼等はビアンカ様を筆頭とした大人達に、そして救援を求めたテオ君に怒られていた。のは、先ほど迄。


「本当に、本当にありがとうございました。」


何度も何度も頭を下げて感謝を口にするテオ君達を数名の騎士団員に守られながら帰って行った。


うん。良い事をした。

被害と言えるような被害は無い。

皆が無事にケンドラゴの洞窟から生還した。大成功と言って良いだろう。


「じゃあ、僕等も帰りましょう。」


「ちょ~っと、待とうかぁ~。」


ガシっと僕は肩を抑え込まれた。


「はい?」


「アンタの話はまだ聞けてない。」


ギロリと紅い双眸が僕を睨みつける。

本当に綺麗な顔しているんだよなぁ~。という感想を胸の奥へと飲み込む。


「ナニカ、ゴザイマシタデショウカ?」


片言で返事をしてみるが、キリっとした顔のオデコから角が生えて来た。


「えっ?」


僕は咄嗟に目を擦る。

僕の幻視だったようだ。気のせいか。ふぅ~。


「えっ?じゃない。」


ビアンカ様は下を向かれた。

これはマズいかもしれない。ほら、これって所謂。あれだ。


キリっとした顔をあげると、あの紅い双眸から雫が流れる。


「本当に心配したんだから。説明ぐらいしなさいよ。」


雫を拭いながら、僕の眼を真正面から見つめるビアンカ様。


「ごめん。心配かけてごめん。」


素直に、言葉が出てきた。

本当に心配をかけてしまったみたいだ。

彼女達にとっては数時間の出来事だろうが、それでも心配させてしまった事には変わりない。


「だけど、なぜBOSS部屋に入る事になってしまったのか分からないんだ。」


何故?の理由は少なくとも理解している。

あの女神テティス様が呼んだのだろう。

その為にお膳立てされたのが今回の事である事も何となくではあるけど答えだと思っている。

ここは正直に話をしてみよう。


「僕は女神テティス様の招待を受けたんだと思う。」


「招待?」


「うん。ここの洞窟を支配する存在。女神テティス様に会ったんだ。」


「「「えっ?」」」


「なに?まぁ不思議体験だったけど。」


僕の発言を聞き、何か驚きを持って僕を見る面々。

なんかオカシイか?


「そうじゃないわ。このケンドラゴの洞窟の支配者である神様の名前はまだ誰も知らないのよ?!」


「うん?」


「つまり、大発見という事よ?!」


「えっ?え~!!」


どうやら、歴史に残りそうな発見と言うか、出来事だったらしい。

でも女神テティス様は、試練を受けたのは僕が初めてでは無いと言っていたし、踏破した人が他にも居るって言っていた様な気がするんだが。


「えらいこっちゃ!」

「こうしては居られませんね。」

「そうだね。隊長!急いで戻って報告しなきゃ。」

「世紀の大発見!!」

「流石、俺が見込んだ男だぜ!」


あまりにも興奮している様子の人が一人混ざっている様な気がするが、概ね驚きは間違いない様だ。


皆は慌てたように、馬車に乗り込んでいく。

そんな中にあっても一人言葉を発しない人が一人。ビアンカ様だ。


「ふぅ。まぁ良いわ。追々話してもらう。でも本当に、心配かけないでね?」


「はい。わかりました。」


僕は素直に答える。


「ちょっと、隊長にジュンさん?早く乗ってください。置いて行きますよ?」


「あぁ、はいはい。直ぐに行くわ。」


ビアンカ様はそう答えると僕を見る。


「でも本当に良かったわ。生きていてくれてありがとう。」


「えっ?」


ビアンカ様はそう言うと直ぐに後ろに振り返り馬車へと走って行った。

そして、馬車は出発した・・・あれ?


「ちょっと、待って~!!」


僕は慌てて馬車を追いかけた。

もうこの場所に馬車は残っていない。

今動き出したのが最後の馬車だ。


「本当に!ちょっと待って~!!」


僕の声が周辺に響き渡り、門番をしている人達に何事か?という視線を投げかけられた。


僕は摂政。

なのに、しまらないな~。

本当にしまらない・・・。



◇◇◇◆◇◇◇



厳かな空気感のある空間。

光に溢れかえる場所。

そこに見えるおっとりとした様子の細身の女性。

そして、小さい少女の様な女性。


だれもが振り返るであろう美貌を携えた二人が透明な球体を覗き込みながら会話をしている。


『ありがとう。』


『いや、僕も楽しませてもらったから感謝は必要無いよ。でも本当にスキルだけで良かったの?』


『ええ。その方が彼にとっては良いわ。』


『ふぅん。まぁトヨちゃんがそう言うなら別に僕は構わないけどね。』


ふふふ。と微笑んでいるおっとりした感じの女性は小さい少女の様な女性に、笑顔を贈るとそれを見た小さな女性は同じ様におっとりした女性に笑顔を贈る。


『でも、なんでか?という理由は知りたいなぁ~。』


『そう?じゃあヒントね。』


そう言って可愛らしく人差し指を上に向ける。


『彼が今は人であるからよ。』


『?』


小さな女性は一瞬考える素振りをする。


『あぁ、なるほどね。』


と納得したという顔で笑う。


『でも、彼なら大丈夫だったんじゃない?』


と質問を重ねる小さい女性に、おっとりした女性は答える。


『そうかもしれないけれど、成長は本来有限な時間で手に入れるべきモノよ。だから、彼には人らしくしてもらいたいの。』


『なるほど~。人だもんね。そうだね。その方が良いね。』


理解し、納得し、同調する。


『さぁ、頑張ってジュン。』


おっとりした女性は優しい眼差しで、透明な球体を見つめるのであった。


次回更新は、

2021年6月19日(土曜日)20時。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ