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第五十二話 暇と手合わせ。

予定通り更新。


暇だ。

本当に暇だ。

かれこれ一時間以上をここで、ベリーさんと過ごしている。

何か時間を感じないで済む手段は無いものか?


「まだ、かかりますかね?」


「そうですね。たぶん最低でもあと一時間以上はかかると思います。」


ベリーさんは、訓練でこのケンドラゴの洞窟に何度も来ており、ある程度把握しているそうだ。地図を見ながら、推測を述べてくれた。


「そんなに。はぁ。」


「暇、ですか?」


「そうですね。」


『暇』という言葉を強調するように、ベリーさんが言う。

僕の心を読んでいるのだろう。そもそも、さっきからキョロキョロしたりウロウロしたりしていれば、そう思われるのは普通だな。


「では、私と手合わせしますか?」


「えっ?良いんですか?」


「ええ。一回ぐらいであれば問題は無いでしょう。ただし、後から疲れた~は『無し』でお願いしますね?」


待機も任務。

つまりいつでも戦闘が出来る準備状態で居る事が求められている。

だから、手合わせした事で『疲れたから無理』という状態になるな。と言いたいのだろうな。


「わかりました。」


「では、手合わせしましょう。」


ふっと、さっき迄の優男的な感じが変わった。

殺意?威圧?が乗った感じを受ける。やっぱ、騎士なんだな。


武威を誇るのが武の道を歩む者。

騎士も武を誇る存在だ。

例え手合わせと言っても真剣にやるのが真摯に向き合うという事だろう。


ベリーさんは両手剣。

俗にいうバスタードソードを使う様だ。バスタードソードを片手に持って構えた。

見た目と違って力持ちなんだな。筋骨隆々って訳じゃないのに。


僕はクサナギを右手に持つ。

左腕を前に出し腕を曲げ、その左腕に剣先乗せる様にクサナギを構える。

現在のクサナギはショートソードサイズだ。


「面白い構えですね。」


「そうですか?」


「ええ。」とベリーさんが頷く。

そして、次の瞬間にはどちらからとも無く、動き出す。

剣と剣がぶつかり合い甲高い音が辺りに響く。


しかし、剣の質が違う為、力では押されてしまう。

クサナギが欠ける事は心配して居ないが、パワーで飛ばされる。

何合かの打ち合いを終えて、僕もベリーさんも一度離れる。


「中々やりますね。」


「そうですか?少しは強くなっているのかな?」


「少なくとも、ここに来られた時より強くなっておいでですよ。」


「ありがとうございます。」


素直に嬉しい評価だ。

確かに都市国家オヒューカスに来た当初よりレベルが上がっている。

その為、基礎能力が上昇しているのは間違いない。

剣技は、スキルがあればより上達するのだろうけど、練習をしなければ腕は上がらない。

だから、鍛錬は怠っていない。だから嬉しいのだ。


「では、一段階上げますよ?」


「えっ?はい。」


どうやら、手を抜いてくれていたらしい。

見た目に反せず、優しい人の様だ。


ベリーさんがバスタードソードを両手持ちにした。

本来にスタイルなのかな?


さっき迄より、パワー押しの動きに変わったベリーさん。クサナギが弾かれそうになりながら、連続攻撃を躱す僕。という流れが続いた。かなり厳しい。

たぶん、パワーはベリーさんの方が上であり、両手剣のスキルを持っているのかもしれない。

本当は、武器を当てずに躱し続ける方が良いのだろうが、それを許してはくれない連撃が続くのだ。ベリーさんは強い。間違いなく強いと思う。

自慢じゃないが、僕だって力がない訳じゃない。ギルド前でおこしたちょっとした事件でも立証されている。


「くっ!」


「どうしました?もう疲れましたか?」


余裕を見せるベリーさん。が、急に顔色を変えた。


「?!ジュン様。そっちは不味いです!」


「えっ?!」


僕が少し後ろに避けて、足に力を入れようとした瞬間だった。

僕の目の前で、何かが閉まった。


「嘘だろ?!」


僕の視界は真っ暗だ。

そして、後ろから光に照らされる。


「もしかして、入っちゃった?」


そう、僕はボス部屋の中に入ってしまった様なのだ。

目の前には外から見ていた門が照らし出されている。あの立派な門だ。


どうして?

なんで?


だってそうだろう?

門は開いていなかった。


どうしたら、僕が門の中に入るというんだ?

確かに、手合わせに夢中で周りは見えて無かったけど。


『ギャオ~ン!!』


僕がパニックになりそうになっていると、突如として大きな声?が響き渡った。

そして、強者の存在感が僕の後ろからしてくる。絶対に強い。そう思わせる存在感だ。


僕は慌てて門へを向かう。

門を押したり引いたりしてみるが、動く様子が無い。


「ベリーさん!!」


大きな声を上げても返事は無い。


ヤバイやばいヤバイやばい!!

僕の頭はその言葉で埋め尽くされそうになる。


想定外の事態。

だけど、時は待ってくれない。

今も後ろの存在感は増していく。大きな音と共に。


どうすれば良い?

そうだ。先ずは情報を集めなければ!


僕は後ろへと振り返る。

僕の視界に入ってきたのは、異様な出で立ちの大きな魔物だった。


顔は牛の様で角が生えている。

なのに、体は人間の胴体。二足歩行の魔物。高さは僕の三倍から四倍はあるのではないだろうか?筋骨隆々のその姿。


ゲームやファンタジー小説等の知識からそいつが何なのか、およその推測がたった。

間違いないだろう。こいつは・・・


「ミノタウロス」


果たして、この世界のミノタウロスの強さは、今の僕より高いのか?低いのか?

だけど、ビンビン感じるカノ存在は大きい。

今の僕は勝てるのだろうか?


次回更新は

明日、2021年5月30日(日曜日)20時

よろしくお願いします。

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