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第四十五話 盗賊団じゃありません。

予定通り更新


「たのもう。」


「はい。何でしょうか?」


やる気のない僕の声に反応したのは、カウンターの向こうで忙しそうにしていた受付の人だった。


「ちょっと、ギルドマスターと話がしたいんでけど。」


「えっと、それは難しいですね。」


「何でかな?」


怪訝な顔になる受付嬢。

理由は分かっているけど、敢えて聞く。


「ギルマスは大変忙しく、アポが無いとお会いになる事は出来ません。」


何処の世界でもそうだよな。

お偉いさんは中々会えないもんだ。僕もイチイチ会っていたらキリがないもんね。


「まぁ、そうだよね。ジュンが来たとだけでも伝えてくれないかな?」


「わ、わかりました。」


そう言って、受付嬢は奥の部屋へと向かって行った。


「アイツはどこ行った?!」


大声を上げる男。

ウルさいな。と思って振り向くと、そこには片腕を抑えている男が立っていた。

目が合う。


「アイツだ!アイツが俺の腕をこんなにした奴だ!!」


その言葉に反応して、10人ぐらいが俺の方へ眼を向ける。

その目に宿るのは敵意。ビンビン感じる。


「お前か!ディックをこんな目に遭わせたのは?!俺たちを敵に回したらどうなるか、わかっているだろうな?」


ドスの効いた声で脅しかな?

面倒だな~。


「どちらさんですか?」


「なにぃ!お前は俺達を知らないのか?」


「盗賊団か、何かですか?」


「てめぇ、ふざけてんのか!!」


「いえ。ふざけてませんよ?で、どちら様ですか?」


「聞いて驚け!俺達はC級冒険者軍団のキングスだ!」


胸を張って、威張って、僕が驚くのを待っているって感じだな、アレは。


「知らないですね~。」


「はぁ?!」


「だから、知らないですよ。そんなグループ。」


AKBグループとか、ジャニーズとかなら、『おぉ~!』ってなるけどねぇ?

つうかさ、あんな事する奴が居るグループなんてたかが知れてるだろ?


「アイツはモグリか?」

「アイツは終わったな。」

「粋がると死が早まるな。」

「キングスに逆らうなんて無謀な事するなんて・・・。」

とか、周りの人が言っているのが聞えた。どうも、僕が知らないだけで、有名人達なのかな?


「そうですか~。で、何の用ですか?」


「クソガキが!もう良い。やっちまえ!!」


キングスと名乗った集団はそれぞれ武器を持ち、向かって来ようとする。


「ふぅ。そこの銀鎧の人!」


「なんだ?俺の事か?」


「ああ。今のこの現状を見たな?あいつ等、武器を持ったよな?」


「うん?」


高そうな銀鎧を纏った人が周りを見る。


「ああ。そうだな。」


「証言を頼むよ。」


「いいだろう。」


返事を聞かずに、目の前に集中する。

剣を持つ者が5人。目を血ばらせて向かって来る。


「勢い余って殺すなよ?!そいつをイタブルのは俺だからな!!」


片腕を抑えた男がそんな事を言っている。

余裕だなぁ~おい。お前の腕を折ってやったのに。僕の強さを理解してないとは。


ジリジリと寄ってくる。

面倒だな。こっちから行くか?うん。そうしよう。


ぐっと足に力を籠める。

多対一の経験はある。

騎士の訓練でおこなった。まぁ数は多くないけど。


先ずは端の奴からだな。


左端の男に照準を定めた僕は、ダッと近づいて、一発右ストレートをお見舞いする。

それが見事に決まり、吹っ飛ぶ。それを目の端に捉えながら、その右に居た男に左回し蹴りをかましてぶっ飛ばす。


流石に、この一連の動きに反応した残りの三人が動き出すが、中央に居た男に照準を絞り、持っていたクサナギを鞘事振りその先に居る仲間の元へぶっ飛ばす。

すると残り二人の内の一人が斬りかかって来たので躱すと、その方向へもう一人が斬りかかって来た。

それをクサナギで受け止めて、先に斬りかかって来た方へ蹴りを放つ。

そして受け止めた剣をクサナギで押し飛ばして、体勢を崩したところへアッパーをかます。

流石に重力は強く。二メートぐらいしか体は浮かなかったな。


最後の男が床に落ちたドサッと言う音で、終了だ。


「こんなもんかな?」


「て、てめぇ!何もんだ?!」


「えっ?ジュンです。」


ピキンという音と共に辺りが固まった気がした。気のせいだろう?

ちょっとお茶目が過ぎたかな?


「ふふふ・・・。」


笑い声が聞こえる。


「ぐはははは!」


大きく笑ったのは銀鎧の男。


「面白いな。ジュンだったか?お前いいよ。良い!」


寄ってきたかと思うと、銀鎧の人は僕の背中をバンバン叩く。

よく見ると女性か?男みたいな感じだけど。


「おい!クヌート。ここは諦めな。お前らじゃ、この兄ちゃんに勝てねぇよ。」


「なに?!」


敵意のこもった眼を銀鎧の人に向けるクヌートと呼ばれた男。


「まぁ、そういきり立つなって。」


敵意のこもった眼を見て笑う銀鎧の人。


「それに、これ以上やり合うって言うなら、訓練場にでも行きな。ギルマスから処罰を受けたくはないだろ?」


「ぐっ!」


「それに、この男は身分が高いぞ。さっき迄、紅蓮の騎士ビアンカと一緒に居たからな。しかも仲良さそうにしていたぞ?」


「なっ?!」


敵意の眼は急激に衰え、困惑のこもった眼になり、僕を見る。


「それに、たしかビアンカは所属替えになった筈だ。何だったかな、この国の摂政の護衛に着いたとか聞いたが?その摂政の名前はジュン様って言わなかったか?」


「嘘だろ?!あの噂の男がこいつ?そんな訳ないだろ?」


困惑のこもった眼は畏怖のこもった眼に変わる。

これは、ここでダメ押しが良いか?


「いや、間違いなくその方が、摂政様だよ。」


奥の方から聞こえた。

どうやら、僕が呼んだ人が出てきたようだ。


「ようこそお越しくださいました。ジュン様。」


その場に崩れ落ちるキングスの面々。

気絶している奴もいるし、動けてない奴も居るから全員じゃないけどね。


次回更新は

2021年5月8日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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