第四十三話 殴られ、殴る。
予定通り更新。
「訓練だけじゃ物足りなくてね。あははは。」
そう言ってのだが、もちろん激怒りプンプン丸のビアンカ様に拳骨を貰った。
まだ、殴られた所が痛い。あれが、摂政に対する態度だと言うのだからどうかしている。
えっ?摂政なのに冒険者活動をする方がどうかしている?あははは。
結果、国樹神トヨタマ様に成長するようにと言われている事を告げた。
それだけでは信用してもらえず、アンジェラ王女殿下に泣きつき、真実である事を言って貰った。その時に、アンジェラ王女殿下の『二人だけの・・・。』という言葉が聞えた気がしたが、聞こえなかった事にした。
「ねぇ、本当について来るの?」
「もちろんです!」
そう言ってついて来たのは、アンジェラ王女殿下では無く、護衛隊長ビアンカ様だ。
そしてそれに付き従う騎士四名も一緒だ。
ちなみに、アンジェラ王女殿下もついて来たがったが、流石にヤバいと感じたアンジェラ王女殿下の従者に懇願されて、今回は不参加となった。まぁ、それが普通だね。
四名の騎士は左から、キャス、シェル、パルル、ベス。いずれも女性だ。
隊長が女性だから、女性隊員なのかと聞いた事があるが、どうやら違うらしい。
男女平等とか男尊女卑の考えがない訳ではないが、声高々に「男女平等にせよ!」なんて言う人は居ないらしい。男だろうが女だろうが、強い者が強い世界だからかな?
役割分担的に、男性が戦闘職につく事が多い様だが、女性が差別される事は無いそうだ。
実力主義が世界の主流の考え方だからね。
だってさ、地球とは違って、すぐそこに命の危険がある魔物が居るからね。
男だ!女だ!とかって言っている場合じゃない。魔物にとって男だろうが女だろうが関係なく人間なんて餌だからね。
ただまぁ、生物学的に筋力が付きやすいのは男性だし、異性から襲われる様な事も少ないから、危険を伴う仕事は男性が就く事が多いのは間違いないだろうね。
それに、子孫を増やす。繁栄させるという考えは生物が持つ根源で、子供を産んでくれる女性を危険な環境に置く様な事はしないだろうね。だから、女性蔑視は少ないのかもね。
もちろん、勘違い野郎は何処にでも居る。
子孫を残すのが生物にとっては一番大事なのに、それ以外を一番と考えて外に出る危険な仕事をしている男が優位だと考えガチなのは事実だね。
力が全て!
という考えになるよね。だから、実力があれば男だろうが女だろうが関係なく称賛せざるを得ない。という事に辿り着く訳だ。
結果、男尊女卑に至らないという訳なのさ。
だって魔法があるからね。肉体的優位なんてひっくり返される事なんかザラなんだよね。
魔法一発で人間なんて消し炭よ!
という訳さ。
そもそも地球で言う【男女平等】って無理があるとは思うね。
どんな人でも平等では無いからね。
生まれた時から格差があるし、同じ条件で生を受ける人なんて居ない。
男である事で得をする事があれば、損をする事がある。
女である事で得をする事があれば、損をする事がある。
それらをひっくるめて、平等に出来るのなら、【男女平等】に出来るかもしれないが、体の作りが違う時点で、既に平等では無いもんな。
【男尊女卑】の考え方は絶対に間違いであるけど、【男女平等】も間違いだと思えてくる。
おっと、こんな事考えて歩いていたら、冒険者ギルドに着いた。
西部劇にでも出てきそうな出入口を見つけた。
あの名前はなんだっけ?ウエスタンドア?スイングドア?が付いている。
う~ん。まぁ、名前はどうでも良いか。
ドアを押して入ろうと僕がドアに手を掛けた瞬間反対側から人が飛び出てきて、僕にぶつかってきた。
「イテテテテ。」
「大丈夫ですか?」
何とか受け止める事は出来たのだが、飛び出てきた人はまだ子供だった。
「す、すいません。」
「大丈夫で「ここはガキの来る所じゃねぇんだよ!」」
僕の言葉を遮る感じで、男が出てきた。
たぶん、こいつが、ぶっ飛ばしたのだろう。
「でも、僕が稼がないと・・・。」
「知った事か!ウロチョロするなと言っているだろうが!雑魚が!!」
そう言うと男は僕の腕の中に居る子供の胸ぐらを掴む。
僕達が見えていない様子だ。どんだけ、感情的になってんだ?余裕無いのかよ?
僕はその男の腕に手を伸ばし、持ち上げるのを止める。
ようやく僕の存在に気がついたのか、僕の方へと顔を向ける。
「なんだ?お前は?」
よく見ると、筋骨隆々の体にスキンヘッド。
いかにもっていう感じだ。
「それ位に、しておいてはどうですか?」
「うっせぇ!お前もぶん殴られたいのか?」
「まさか?殴られたいわけないでしょう?」
「なら、邪魔すんな?!」
「いやいや、よく周りを見てくださいよ?ここはもう冒険者ギルドの建物から出ているんですよ?近所迷惑ですよ?」
「はぁ?!知った事か?!」
「ギルドに迷惑を掛けても良いんですか?評判が落ちたら大変なんじゃないですか?」
「うっせぇ!消えろ!!」
血走った眼を僕へと向ける男。
「じゃあ、仕方が無いですね。」
「そうだよ。それが懸命だ。」
男はニヤリとしてぶっ飛ばされ来た子供へと眼を向ける。
説得を諦めた僕は、その男の腕を思いっ切り下へとぶん殴った。
次回更新は
明日、2021年5月4日(火曜日・祝日)20時
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