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第四十二話 借金は返済した。

予定通り更新。


都市国家オヒューカス。

借金まみれの国。

その借金は一夜にして、全て無くなった。

シャルマン商会の投資によって返済された。


そして、借金を全額返しても尚、手元にある大金。

僕を買うと、シャルマン商会の会長ラムザさんは言った。

借金の倍の金額を支払ってくれたのだ。投資なので、返済義務は無いが、その投資に見合うだけの対価を用意しなければならない。それが、僕自身であるらしい。


「で、僕はロックフェラ連合国会議に呼ばれたと言う訳ですか?」


「は、はい。そういう事になります。」


今、僕の目の前には僕を蔑んだ都市国家オヒューカスの貴族が並んでいる。

借金の支払いは全て、シャルマン商会に一任しており、全ての貸主の所にシャルマン商会の人が伺い現金を直接渡している。だから、何故この若造に世界のシャルマン商会が関わっているのか?という事になる。だから、ロックフェラ連合国の議会に呼ばれたのだろう事は理解できる。


しかし、目の前の者達の変貌ぶりは気に入らない。


「何で敬語なんですか?」


「いや。摂政様に対してはこれが普通ではないでしょうか?」


先頭きって、揉み手できた人物は、ブラムス侯爵だ。その後ろにはグランツ伯爵が居る。

あんだけ馬鹿にしていたのに、この変わりよう。吐き気がする。しかし貴族とはこういうモノなのかもしれないな。


「ふぅ。で、何でこの話を貴方が持ってくるんですか?」


「いや。まぁ、何と言いますか。あははは。」


困った顔になったブラムス侯爵。

まぁ、権力を振りかざす者はより強い権力に弱い。

だから、どうしても来て貰いたいと思う者に脅されて、ここに来ているんだろうなとは思うのだけどね。


「どうしても、来て頂きたいとロックフェラ連合国総意の強い要望でして、私の所へ嘆願が来たという訳です。はい。」


「総意?私はその話を断りましたよ?認めて頂けたと思っていましたが?誰から来たのですか?」


ロックフェラ連合国は都市国家の集まりだ。

今回の様な呼び出しは強制出来ない。何故なら、僕はこの国の摂政であるからだ。

僕が都市国家オヒューカスの意志であり、権力者であるから都市国家オヒューカスの総意として出席しない事を伝えたのだ。だから、たかが小国の権力者だが、招待である要望はこちらに権限があるという事だ。それに、名指しで呼ばれていく必要性も感じられない。


「それは、その・・・。」


「用があるならその方が、こちらに来られたら良いのでは無いですか?」


「しかし、その・・・。」


僕を馬鹿にしていた人がお願いに来ても対応するつもりは無くなるというモノだよね?

はぁ~。


「少しよろしいかな?」


「こ、これはアンディス先王様。」


並んでいる貴族の間から、登場したのはアンディス先王様だった。

貴族達の狼狽振りが凄い。


「アンディス先王様。何か御用でしたか?」


「うむ。今回の件。こ奴らの顔を立ててやってくれぬか?頼む。この通りじゃ。」


そう言って頭を下げるアンディス先王様。

それ、ズルくないですか?


「止めてください。頭を上げてください。」


「では行ってくれるか?」


これは、負けだ。

行くという返事しか出来ない。


「わかりました。」


「おぉ、本当ですか?摂政殿。」


直ぐに、言質を取る感じでブラムス侯爵が聞いてくる。

そして、その前でニヤリと笑うアンディス先王様。


「はぁ。行きますよ。行ってきますとも。」


「感謝する。」


そう言って貴族たちはゾロゾロと出て行った。

が、アンディス先王様は残った。


「ふふふ。すまんな。ジュン殿。」


「いえ。何かお考えがあっての事でしょう?」


「もちろんだ。これで奴らに恩を売る事が出来たでは無いか。」


「そうかもしれませんけど、腑に落ちません。」


「若いのぉ~。それにな、今回の事でお主が行かなければ、個々にいくつもこの国に使者の名で来るぞ。その方が対応するのは大変じゃ。」


その点については、僕も懸念していた。

シャルマン商会の影響力が高い事は分かっている。

どう考えても、聞きたがるのは間違いない。情報は必須だ。


「恩も売れて、対処も簡単。文句ない結果じゃろうて。為政者としてはのぉ~。ふぉっふぉっふぉ。」


合理的に考えればそうだ。


「・・・はい。」


「そう悔しそうな顔をするではない。儂の顔を立ててくれた借りは、お主にプラスになる筈じゃ。では、儂も帰るかのぉ~。」


アンディス先王様はそんな言葉を残して部屋を出られた。


「ふぅ~。」


良いように使われる。

それもまた、為政者の役目なのかもしれないな。

借りと貸し。

僕の嫌いな政治家と同じなのかな?

まぁ、不正をしている訳じゃないけど。


トントン。


ドアのノックする音が聞えた。


「どうぞ。」


返事をするかしないかのタイミングでドアは開けられた。


「ジュン!お前、勝手に冒険者登録をしたのか?!」


「うん?早いね~。」


憤怒の表情になって飛び込んできたのは、僕の護衛隊長ビアンカ様だ。


「またお前は勝手な事をして!!お前には摂政としての貴族としての自覚はあるのか?!」


「えっ?僕は貴族じゃないよ?」


「うん?あっそうか。じゃあ問題・・・あるわ!!お前は摂政だろうが!!」


「あはははは。」


ちっ、気づきやがった。

うまくかわせるかと思ったんだけどね~。


次回更新は

明日、2021年5月3日(月曜日・祝日)20時

よろしくお願いします。

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