第四十一話 称号の話。
予定通り更新。
「ザバルティさん。頭を上げてください。」
「いや、謝罪を受け取ってくれるまでは上げられない。」
「気にしてないですから、謝罪を受け取りますから。」
「そうか。」
そう言ってザバルティさんは頭を上げた。
「それが言いたくて呼んだんですか?」
「それもあるが、本題はそこじゃない。君の称号や能力についての話だ。君は何処まで自分の能力を分かっている?」
「えっ?」
なんか驚かされてばかりだな。
でも、そうだな。正直分からないと言うのが正しいな。
「そうですね。正直分かっていません。」
「だろうな。分かっていれば、もっと活用できているだろうな。」
どういう事だろうか?
スキルや能力値が活用というのは分かるけど、称号は活用方法なんてあるのか?
「どういう事ですか?」
「スキルはおよそ理解しているだろう?」
「はい。人の行動にスキルが補正を掛ける。という事ですね?」
「その通りだ。では称号は?」
やっぱりか、称号に意味があるのか?
「わかりません。」
「素直だな。お前は小さい・・・。」
「えっ?今何て?」
小さい声で良く聞こえない。
「何でもない。では称号について教えてやろう。」
「はい。よろしくお願いします。」
称号には色々なタイプがあるらしい。
ただの名誉みたいなモノから、付加価値のあるモノ。マイナス補正が掛かるモノなど様々らしい。柔軟な世界の様だ。
「称号は自ら名乗るという事は出来ないモノだ。だから基本的には他者から与えられるモノだと思っていれば良い。」
「なるほど。他者とは?どういう人を指すんですか?」
「他者とは、権限を持つ者と考えたら良いかもな。神様とか王様とかだな。まぁ、権限を持つ者の力によって与えられる内容も変化する。この力とは『格』の事を言うんだが、まぁ基本的に称号を与える事が出来る者など、数える程だろうがな。」
【格】については、ちょっと分かりにくい。
どうも、世界に認められる事で【格】というモノが上がっていくらしい。
ここで言う世界がどういう定義なのかは、ザバルティさんも分からないらしい。
また、不特定多数の人が同じ様に感じた場合も、称号が付く事があるらしいが、世界との関係はイマイチ分からないらしい。まぁ分かったら神様だろうな。
「そして、君の称号の事なのだけど、面白い称号だね。」
「そうなんですか?」
【国樹神の寵愛】
国樹神トヨタマの寵愛を受けし者。
全能力・全スキル・全魔法に1.5倍の補正。
経験値取得率5倍アップ。
レベル最大値アップ。
【クサナギの所有者】
クサナギの所有者であり、他の者がクサナギを使用する事は出来ない。
所有者が願えば、クサナギは所有者の手元へ現れる。
クサナギの固有スキルの使用が可能となる。
クサナギ固有スキル:『ライジングソード』解放1段階目
・・・クサナギは雷を纏う。その事により通常の5倍のスピードで切りつける事が出来る様になり、相手に雷属性の効果を発揮する。
クサナギが成長する事で、更なる固有スキルが開放される。
「ここまでは、よくあるモノだ。次が面白い。」
【永遠の二番】
二番である事で、実力以上の能力を発揮する。発揮下限は二番の『格』によって変化する。
また、二番とは概念的な考え方をする。
「えっ?それだけですか?」
「うん。そうだよ。でもね、これが最高の称号の一つだと私は思うんだ。」
「それは、どういう事ですか?良く分からないんですが。」
「そうだよね。」
ザバルティさんは微笑を持って僕を見る。
「概念的考えって事が面白いのさ。」
「概念的考え?」
「そう。例えば、今現在の君は都市国家オヒューカスの摂政という事で、アンジェラ王女殿下の次にこの国で偉いわけだ。」
「そ、そうですね。」
「でも、ロックフェラ連合国の枠で考えると、二番では無いね?」
「はい。」
「でも、この都市国家オヒューカスの枠の中では二番だ。」
「あっ?!」
そういう事か。
概念的二番とは、自分がその枠を決めて、その中の二番という事か?!
であれば、概念的二番であれば、それは考え方一つでどうにでもなるって事じゃないか?!
概念を何処に持っていくかで、順番は変わる。先頭じゃなく二番手とか。後ろから二番とか。
「気がついた様だね?」
「はい!」
確かにそう考えると面白い。
ある意味万能だ。発動条件が少し難しいかもしれないけれど、考え方次第で無限の可能性がある!常に二番手を意識して動けば、僕のパフォーマンスは実力以上になるのだから。
「ありがとうございます!」
「いや、感謝には及ばない。私が謝ったついでに教えただけだから。それより、そろそろ戻ろう。他の者が心配するといけない。」
「はい。わかりました。」
僕とザバルティさんの邂逅は終わった。
僕はザバルティさんの案内で宴会場へと戻った。
◇◇◇◆◇◇◇
「どうだった?用件は済んだのか?」
「ああ。完了した。」
「そうか。それは何よりだ。それにしてもアイツがな~。」
男の目線に居る存在。
今は仲間と談笑している様子だ。
「まぁ、とにかく頼む。金はいくらでも私が用意する。」
「ああ。分かっている。お前のおかげであり得ない程の利益は貰っているから気にするな。問題ない。お前はお前がすべき事に金を使え。」
「感謝する。」
「良いってことよ。お互い様だ。がははは。」
グイっと持っているグラスの中身を飲み干す二人は揃って、彼を見ていた。
次回更新は
明日、2021年5月2日(日曜日)20時
よろしくお願いします。