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第三十九話 契約の成立。

予定通り更新。

この世界の契約には、いくつかの手段があるらしい。

国の法律によって成す契約。

国の権威によって成す契約。

精霊によって成す契約。

神によって成す契約。

個人の裁量によって成す契約。

魔法の力によって成す契約。

悪魔によって成す契約。


そのどれにも、罰則が発生する。

その契約を見守る存在によって、その罰則は効果を発揮する。


今回は精霊による契約をする事になった。

ラムザさんが精霊使いであるからだと思うけど、結構スタンダードの様だ。


契約精霊ホウズ。

白い人型。契約のみに特化した精霊らしい。

この精霊によって成す契約を結ぶ事になった。


『ほぉ。これは珍しい。』


『そうであろう?』


≪契約精霊ホウズ≫様と火属性の精霊≪火山のペレ≫様の会話だ。

二人して、僕の方へと顔を向けて話している事から、輝きの事だろう。


普通はこうやって見て話をするという事は無い様なのだが、≪火山のペレ≫様がこの場に居る事で、話をしているという事の様だ。


さっと用意された紙。

そこには、契約内容が書かれていた。


『両者共に、問題はありませんか?』


「ない。」


「はい。ありません。」


返事を聞き頷く契約精霊ホウズ。

すると、精霊の力なのか、僕とラムザさんの体一瞬光ると契約書に名前が記載された。

そして、紙が二つに分かれる。切れたかのように見えた契約書は切れておらず、僕とラムザさんの前にそれぞれ一枚の紙が届く。


『契約完了です。それでは大精霊≪火山のペレ≫様。では、また。』


そう言うと契約精霊ホウズはスゥーっと消えた。


「これで良いな。」


「ですが、本当に良いのですか?」


「あぁ、本当に良いんだ。これはお前への貸しだ。気にするな。まぁ、ウチを贔屓にしてくれや。」


「わかりました。」


ラムザさんはニカっと笑う。

そしてそのままリスターさんに視線を移す。


「リスター。後は任せて良いな?」


「はい。」


リスターさんは出来る女のままで答えた。


「契約は成立した事だし、親睦を兼ねて今から空の上の宴会といこうや?」


「えっ?」


「もちろんですわ。」


僕が驚く中、アンジェラ王女殿下は即答した。

その時のアンジェラ王女殿下の眼はキラッキラ輝いていた。


「決まりだな。」


「ザバルティ。お前の所に頼んでも良いか?」


「自分の所にオーダーすれば良いだろ?」


「まぁ、そう固い事を言うなよ。」


そんな会話をラムザさんと銀髪銀眼の人が話している。

世界の商会≪シャルマン商会≫の会長とタメ口だ。やっぱ、ただもんじゃないんだろうな。

名前が聞けたのは、ラッキーだったかもな。


その後、飛行船のデッキでの宴となった。

普通はこんな上空で更に動いていたら風にやられてしまうと思うのだけど、精霊様の力を借りてデッキには風が届かない様にしているとの事。

どうやら、シャルマン商会は精霊使いが多く在籍しているとの事。


僕のイメージでは精霊使いと言えば、エルフなのだが。


「あぁ、まぁそうだな。ハーフエルフが多く在籍しているんだ。」


少し悲しそうな顔で答えるラムザさん。

どうやら、この世界ではハーフエルフは虐げられている様だ。

人間族の世界でも、エルフ族の世界でも。


あっ、ここでいう人間族とは地球でもお馴染みの人間達の事。

どうやら、この世界では猫族やらドワーフ族やら二足歩行をする知的生物で文化を持つ存在は全て人族として括られているそうで、地球との違いがあるみたい。とは言え、地球にはエルフもドワーフも精霊として語り継がれていた気がするから、その辺は大きく違うかもね。その為に、エルフとかと分ける為に人間族と呼んでいるそうだ。


「「これは?!」」


僕とマコトさんは言葉がハモる。

僕達の前に運ばれてきたの、なんと船盛りだったのだ。

そして続々と運ばれてくる料理はどれも見た事があるモノばかり。

鶏の照り焼き、揚げ出し豆腐。すき焼き。天ぷら・・・日本料理の数々が並べられていた。


「鍋料理というのも考えたんだが、まぁ色々とつつける方が嬉しいだろ?」


ラムザさんのニヤっとした顔。どうやら僕等が日本に居た転移者である事に気を遣ってくれた様だ。


「もちろん、酒もあるし、米もあるぜ。」


ラムザさんがそう言うと、僕とマコトさんの前に真っ白な湯気が立っているお茶碗が出てきた。そしてその横には、透明なコップに注がれる澄んだ透明な液体が注がれた。


「マジか?!」

「凄い!!」


僕とマコトさんが驚いていると、ラムザさんが笑い出す。


「がははは。まぁ今日は存分に補給してくれ。」


「「はい!ありがとうございます!!」」


僕とマコトさんは頭を下げて感謝した。

その様子を見たアンジェラ王女殿下たちはビックリしている。


「ど、どうなさったのです?!」


「「故郷の食事なんです?!」」


何故か、ここでも僕とマコトさんはハモる。

しかも、同時にアンジェラ王女殿下の方へ顔を向けたみたいで、更に驚かせてしまった。


「あははは。」

「がははは。」

「ふふふ。」


その様子を見たラムザさん達が笑い出す。

それで我に返った僕等もつられて笑い出した。

アンジェラ王女殿下も、僕等の行動があまりにも可笑しかったらしく、腹を抱えて笑い出した。


「ひひひ。やめてください。面白過ぎます。あははは。」


アンジェラ王女殿下は王女様であるのに体面を守る事出来ない程の笑いにまた更に皆が笑ってしまうという状態になってしまったのである。


次回更新は、

2021年4月29日(祝日・木曜日)20時

よろしくお願いします。

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