第三十六話 リスターさんの再訪問。
予定通り更新。
体中が痛い。
ちなみに、回復魔法は使ってない。
何故か?それは自分が持つ回復能力を高める為だ。
斬り傷や骨が折れたりしたら、流石に回復魔法は使うけど、そうでは無い時が回復魔法を使わない。休むのも訓練の一環だからだ。
と、カッコよく言ってみるけど、一方的にシゴカレタだけなのだが。
本当に容赦が無い。
そのおかげで、レベルが上がる事になったのだから、良いのだけど。
たぶん、あれでも五割レベルなのだと感じてしまう。
だって、本当に強いのだもの。
キャンサーツインソード。
つまり二刀流という事なのだけど、魔法の媒体でもあるから、魔法も随時発動するし、どんな攻撃をされるのか読みにくい。魔力の高まりを感じて魔法が来ると思っていたら、バフ系の魔法で自身の強化であったり、魔法剣であったりと予想が外れる。
強化だと思っていると、火の玉や、土の槍等が飛んでくる。
本当に戦いにくい。その上で、接近戦も二刀流での攻撃。
しかも、僕より圧倒的な能力を持っている人なのだから、やられちゃうよね~?
しかも、何とか攻撃を与えたと思っても、キャンサーアーマーがとても硬い。
全身を覆う感じになっていて、手の甲や足の甲もちゃんと覆われている。
『カキン♪』って感じで攻撃が跳ね返される。いやぁ~、無いわ~。
一騎打ち。
真剣にやるからこそ、自身の最強装備で戦う事になった訳だけど、訓練をつけてもらったという感じだね。あははは。マジ強ぇと思ったよ。何度、『死んだ!』と思った事か。
死ぬ思いをしただけにレベルアップに納得だった。
やっぱ、経験は短い時間でも内容の濃い方が重要なのかもしれないね。
「強くなったね♪」
とマコトさんは言っていたけど、差が開いた気がしたよ。
まぁ、そんなこんなでマコトさんには、僕の屋敷に泊ってもらって一緒に食事を楽しんだ。
久々の会話は盛り上がった。マコトさんは順調に黄道十二宮の勇者として活動が出来ている様だったが、『もっと自由が欲しいな。』とも言っていた。仕事化?義務化?していて面倒なのかもね。
そして、マコトさんに相談した結果、シャルマン商会の会長さんに会う事にした。
シャルマン商会は僕が想像していたよりも、もっと大きく壮大な商会であるらしい。
世界各地に支店をもっており、場所によってはギルドよりも影響力があると言われているそうだ。商売を世界に広げているだけかと思っていたのだけどね。
そして、これからそのシャルマン商会から派遣されてきたリスターさんと会うという事になる訳だ。
僕は城の執務室へ来ている。マコトさんもアンジェラ王女殿下も一緒だ。
この二人は同席すると言って、やってきている。断る理由もないからなぁ。保護者みたいでちょっとアレなんだけどね。まぁ仕方ないかぁ。
たわいもない話をしていると、ノックされる。
「ジュン様。シャルマン商会のリスター様がお越しです。」
「わかった。通して。」
小間使いのリク君が案内してくれたようだ。
まぁ、この中に居ては緊張するだろうからと、外に出しておいたからね。
僕等は席を立って迎える。入ってきたのはリスターさんともう一人。
銀髪銀眼の人だった。16歳ぐらいだろうか?超絶イケメン。マンガに出てきそうだ。
神によって創られた最高傑作と言っても過言じゃないと思う。
その証拠にアンジェラ王女殿下の顔がヤバい。
見惚れているのは間違いない。
その人が僕の顔を見るなり一瞬だけだが、ビックリした様子を見せた・・・気がする。
気のせいだろうか?う~ん。
「何か?」
「いえ。この間はお連れしていなかった方がいらっしゃるので。」
「そうでしたね。今回は正式な申し入れの回答を得る機会でしたので、一人連れて来ただけです。」
「そうでしたか。」
ただの護衛兼未届け人であるとリスターさんは告げる。名乗らせるほどではないと。
リスターさんに席を勧めると、リスターさんだけが座り、後ろに立つ銀髪銀眼の人。
護衛というのだから、それが普通なのだけど、圧倒的な存在感が違和感を与える。
「それで昨日はいかがでしたか?」
「あぁ、そうですね。マコトさんとゆっくり過ごさせて頂きました。」
「ふふふ。シゴカレタの間違いでは?」
「えっ?あははは。」
ふっと話を振られて笑って誤魔化した。
リスターさんは全てお見通しらしい。
そこから少し雑談を挟んで和やかなムードになる。
アンジェラ王女殿下もマコトさんも落ち着いて話に加わった。
「それでは、ご回答をお聞かせ願いたいのですが?」
「是非、お会いさせて頂きたいと思います。」
「そうですか。ご英断感謝します。」
にこやかな笑顔を見せるリスターさんに僕が聞く。
「で、日時は何時にしますか?」
「それでしたら、今からというのは如何でしょうか?善は急げと申しますし。」
「えっ?今から?こちらにおいでなのですか?」
「今、向かって来ていると申した方が正しいですね。」
なんと、この都市国家オヒューカスに向かって来ているだと?
会うという返事が貰えると思っていたという事だろうか?
「ふふふ。断られる事はあり得ると申したのですが、どうしても会いたいと申しまして、勝手に向かって来ているのです。」
「通信手段があるという事ですか?」
ちらりと後ろの護衛さんを見るリスターさんは僕に視線を戻すと笑顔で頷いた。
あれ?先ほど迄あった存在感が今は普通になっている気がする?あれ?
「あります。この世界の何処であっても繋げる事が出来ますよ。」
その言葉に僕達三人は衝撃を受けるのであった。
次回更新は
明日2021年4月18日(日曜日)20時
よろしくお願いします。