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第三十五話 盲目的な二人。

予定通り更新。


「それは、僕じゃないよ?」


僕は否定してみる。

『絶対』と言っているマコトさんの眼に対抗してみせた僕って凄くない?

君なら、とっても綺麗な人の思いを否定できるかい?


「いいえ。それはジュン様のハズです。」


ここで、援護射撃がマコトさんの眼を更に輝かせる。


「アンジェラ王女?」


いつの間にか、アンジェラ王女が来ていた。

どうやって、いつ来たのさ?


「これは、アンジェラ王女様。お久しぶりです。」


マコトさんは、アンジェラ王女に気がつき挨拶をする。

アンジェラ王女殿下もそれに答えていた。


「ちょっと、待ってください。確かに、国樹神トヨタマ様の寵愛は頂きましたけど、そんな黄道十二宮の勇者の頂点だなんて、無理ですよ。僕はまだ20レベルですよ?」


「えっ?もう10レベルも上がったのかい?」


「はい。毎日訓練はかかしてないですからね。」


「訓練?上位の魔物を討伐したとかではないのかい?」


「えっ?訓練ですよ?前に一緒にやったじゃないですか?あんな感じの訓練です。最近は負荷を増やしていますけど、やっている事は変わりませんよ?」


「えっ?」


「えっ?」


お互いに『えっ?』と固まる。

マコトさんは僕が言っている内容に『えっ?』。僕はその反応に『えっ?』。

言葉は同じでも、内容が違う『えっ?』のやり取り。


「なんかオカシイですか?」


「おかしいだろう?訓練だけで、レベルがそこまで上がるなら、練兵塀はもっと強くなるだろ?」


「それは異世界人補正じゃないんですかね?」


「僕も訓練は欠かしてないけど、上がらないよ?」


「えっ?」


「ジュン様は異常レベルですね。」


ニコッと笑うアンジェラ王女殿下。

ここで、ようやく異常である事を認識した僕。

たしかに、オカシイなって感じがしていたけど、黄道十二宮の勇者は皆、レベル50だったし、異世界人補正だと勝手に思っていた。迂闊!


「マジか~。」


僕は愕然として、四つん這いになった。

そうなのか、僕は人よりも強くなり易いとは・・・。


「ふふふ。相変わらず、他の事には敏感に反応できるのに、自分の事になるとからっきしだね~。」


「ふふふ。ジュン様はそれくらいの方が良いですわ。」


慰める様な言葉でなく、評価の言葉が聞える。


「まぁ、ジュン君。そんなに愕然としなくても良いじゃないか。」


「そうですよ。分かったわけですし。」


苦笑気味の二人の慰めに少し癒される。


「ジュン君が、黄道十二宮の勇者の頂点になると言うのも間違いでは無いんだよ。」


「そうです。ジュン様ならなれますよ。」


「そうかなぁ・・・いや、ちょっと待って。」


その気にさせられる所だった。

だが、もし本当にそうであったとしても、今はまだその時じゃない。


「どうしました?」

「どうした?」


二人は不思議そうな顔になって聞き返してくる。


「もし、万が一、黄道十二宮の勇者の頂点になる存在だとしても、当面はこのまま、無能のレッテルを貼られていた方が良い。」


「どうして?」


「先ずは、僕がここの国を立て直すのが先決だし、現在の僕はまだまだ未熟。もう少し強くなってからじゃないと、マコトさんは別にしても他が黙っていないでしょう?」


「それはそうかもしれないね。」


「たしかに、勇者様方だけでなく、ロックフェラ連合国の他の都市国家の代表たちも認めないかもしれませんね。」


認めないだけならまだ良い。

貶めた僕を頂点に崇めるのは、気が進まないだろうし、権力者の考える事はわからない。

暗殺だって考えられる。弱い今では、撃退する事すら厳しい。


「そう。だから出来るだけ僕が成長しておく事と、優先事項であるこの都市国家オヒューカスの復興をしてからが望ましいと思うんだ。だから当面はここだけの話にしておいて欲しい。まぁ、あくまでも万が一の話だけどね。」


「まだ認めてないんですか?」


「僕は内示を受けている訳じゃないからね。あははは。」


「まぁ、ジュン君の考えは分かったよ。僕は胸に秘めておくよ。」


「ありがとうございます。」


マコトさんは僕の意を汲んでくれるようだ。

その様子を見ていたアンジェラ王女殿下は、『はぁ~』とため息をついて諦めた顔になる。


「そうですか。では私もそうします。」


「すいません。ありがとうございます。」


これで、僕はもう少し注目されなくて済む。

注目してくるのは、都市国家オヒューカスの貴族だけでお腹一杯だ。


「まったく。もう少し自分に自信を持って欲しいモノです。」


「あははは。すいません。」


「まぁ、アンジェラ王女殿下がおっしゃる通りではあるね。」


う~ん。

僕はこの二人に出来る男という姿を見せた覚えはないんだけどなぁ?

ちょっと盲目的過ぎないかな?

知らない内に、何かしているのかな?


「さぁ、ジュン君。久々に一戦交えようじゃないか?」


「えっ?」


「でしたら、訓練場を抑えないといけませんわね?」


パンパンとアンジェラ王女が手を叩くと、部屋の扉が開くと一人の鎧を纏った女性が入ってきた。たしか、アグネスさんだな。


「今から、オヒューカス騎士隊(近衛隊)の訓練所を抑えて来てくれるかしら?黄道十二宮の勇者の一人であられるマコト様と摂政ジュン様の一騎打ちをする事になったから。」


「それは訓練ですか?決闘ですか?」


「訓練よ。」


「かしこまりました。」


アグネスさんは部屋を出て行く。

こうして、僕はマコトさんとの訓練?をする事になったのだ。


次回更新は

2021年4月17日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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