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第三十一話 屋敷、家、住む所。

予定通り更新。


僕が貰った屋敷。

元、断絶した一族の使っていた古い建物だ。

断絶と言っても、処刑されてとかではない。後継者が居なかったからだと言われている。


「まぁ、本当はどうかわからないけど。」


「何か言ったか?」


「いや。独り言だよ。」


「そうか。」


立派な外観。

長い間、使われていなかったらしいので、汚れている様子がある。

しかし、穴が空いていたり、傾いていたりはしていない。


「それにしても大きいですね~。」


「元々は公爵家の家だったからな。」


この度、監視役兼・護衛役兼・新人教育係になったビアンカさんが答えた内容にビックリした。


「公爵?」


「ああ、そうだ。言ってなかったか?」


「跡継ぎが無く断絶した貴族と聞いてはいたけど。」


「そうだったか?」


首を傾げるビアンカさんは何気に可愛いのだが、絶対に本人には言わない。


「公爵家でも断絶するの?」


「そうだな。都市国家では珍しくはないな。養子への家督相続は認められていないからな。女の相続も認められていないのだ。この家の公爵家には子供が出来なかったと聞いている。それに、貴族家も国が年月を重ねる度に増えてしまうから、断絶や貴族に対する処罰は厳しいのが都市国家では普通だな。」


国の事情もある為に、こういう事が起こるのだろう。

養子に貴族の家督相続はさせないが、資産は相続させる事が出来るらしい。

屋敷や土地は国の資産扱いとなっているので、屋敷の相続は出来ないという事だ。

まぁ、土地は国だが、建屋は貴族の者が用意する時もあったそうだし、老朽化して壊れたりした場合は、そこに住む貴族が治す事になっているそうだ。

色々と日本の常識とは違うみたいだ。


さらに、処罰が厳しいのも本当の様だ。

お国の事情もあるが、貴族の責務や意義である尊き立場故の義務というモノが重いからだそうだ。

まぁ、責任と権限は同等のモノになるべきという考えは、しごく真っ当な考えだから、それには僕も賛成だ。

しかし、この世界では魔法はあるけど、写真などはまだ見た事が無い。

そういうモノがない中での裁判とかは冤罪が多く発生しそうでもある。

怖い面もあるという事だから、そこには細心の注意が必要かもしれない。

デッチアゲを覆すのは難しいだろう。証拠さえ揃ってしまえば、推定有罪で処罰って事も考えられるもんね。

子供をもうける。子孫を残すという所には並々ならぬ努力と思いがでるのは間違いないな。


「大変なんだな~。」


「そうか?普通だと思うが。」


それが、ここの常識であり、普通の事なのだ。

人は、その普通である事。常識である事に振り回される。

その世界に生きる者にとっての普通や常識はその世界以外から見ると、滑稽であったり、異常であったりする。しかし、その世界に生きる人にはその世界で生きる為の普通であり常識なのだ。その普通や常識からは中々逃げられない。


世界とは人によって各々違う。

同じ異世界に居ても、住む環境によって全然違う。

小学生は小学生の、中学生は中学生の、高校生は高校生の。

そしてもっと細かくすると、学校によっても違ってくる。

大きな枠組みでは同じ世界に居ても、住む世界は違うのだ。


普通や常識が良識的なモラルや法によって守られるモノで有れば良いのだが、そうでない場合は悲惨な結果を生んでしまう。

自殺行為や、うつ病発症等の精神疾病の発症等、人が人で居られなくなる状態にまで落とされてしまう。

人間社会の闇がそこに発生するのだ。


そんな事を少し考えてしまったが、今はそんな事に悲観している場合じゃない。


「掃除が大変そうだね~。」


「大変だろうな。魔法では追いつかないだろうな。」


この世界の常識の一つである魔法。

魔法には清掃系のモノまで存在する。色々な要素が混ざっているようだけど、少なくとも機械の発展が無くても、困らない程の様だ。


「まぁ、こんだけ人は居るし、地道にやろうか。」


「そうだな。」


なんだかんだで、巻き込んだビアンカさんも参加してくれるようだ。

僕は後ろを向いた。

そこには、例のアジトから連れ出した総勢28名の孤児達。いや28名の見習いたちが居る。

最初、彼等は想像よりも大きかった屋敷にビックリしていたが、今では屋敷の敷地内をウロウロしている。


「リリーちゃん。みんなを呼んでくれるかい?」


「ふふん。任せて!」


リリーちゃんは大きく頷き返事をすると、子供たちに向きを変えた。

大きな音を立てて手を叩くと大声で呼びかける。


「みんな~!オジじゃなくって、ごしゅじゃなくって、ジュン様が呼んでいるわ!しゅうごう!!」


その言葉を聞いて真っ先に戻って来たのは、ビーチャだったのが面白い。

どうも、リリーちゃんを苦手としている様子だ。

全員が揃った所に、タイミングよく、僕の専属メイドであるメアリーさんとグロリアさんが到着した。


「「遅くなりました。」」


軽く、皆に挨拶をしてもらった。

見習いたちも一人一人挨拶をしていた。


「さて、みんな揃ったね。」


「「「「「はい!」」」」」


「じゃあ、みんなで、この屋敷を、みんなの家を綺麗にしよう!」


「「「「「おー!!」」」」」


そこから手分けをして一日かけて屋敷を、みんなの家を綺麗にしたのでした。


次回更新は

2021年4月3日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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