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第二十八話 孤児?達のアジト?

予定通り更新。


「ここが、俺達のアジトだ!」


胸を張って答えるビーチャ君。

イチョウ並木から、かなり離れた場所。

スラム街とでもいう感じの場所にある。

どこも、半壊したような家が立ち並んでいる。

死体こそなかったが、ネズミが徘徊しており、異臭が漂う場所だ。


ビーチャと呼ばれる男の子がアジトと言った場所も、崩壊寸前の様な場所で今にも崩れそうな感じだ。


「みんな出て来い!」


ビーチャがそう言うと、ワラワラと中から子供が出てきた。

どんだけ居るんだよ? 

えっと、ニー、シー、ロー・・・わからなくなった。

だって、ジッとしてないもんね。ワラワラと出てきた子供たちが揃って『ワー』とか言いながら、僕が運んでいた荷台の荷物に集まって来るんだからさ。


「すげぇ!」

「このおじさん誰?」

「うまそう~。」

「イテッ!誰だよ!今押したの?」


色んな言葉が行き交い、混沌(カオス)化していく。


「はいはい。みんな~並んで!!」


一人の女の子がパンパンと叩きながら、静かにさせて並ばせた。

この子はリーダーかな?


「これは、このオジ・・・じゃなくってジュンさんが買ってくれたのよ。だからみんなで、おれいしましょう。」


「「「「「は~い。」」」」」


「「「「「ありがとうございます。」」」」」


めっちゃ、揃ってる。揃っているよ?!

僕は驚いたし、少し感動した。苦労しているだろうにスレてないと思えた。

まぁ、表面的にはなのだろうけど。


「しっかりと食べてくれ。」


「わ~い!!」

「ちょっと、順番、順番!」

「ぬかさないでよ!」

「うっせぇな?!俺んが先だろ?!」


また、混雑しだした。

少しの間、好きなモノを選んで口に運ぶ子供達の様子を少し離れた所から見守った。


どうやら、彼らのグループには大人は存在しないようだ。

保護者的な存在が無く、集まった子供のグループ。

よく、こういう子達は孤児院に居ると小説とかでは書いてあるけど、どうもそういうのも無いらしい。


「おじ・・・ジュンさん。お金持ちなの?」


また、オジサン扱いだよ。まぁ、6歳位の子から見たらオジサンだろうけど。


「まぁ、そう言えるかな?それなりにはあるかな?」


「えぇ、良いな~。」


純粋にそう思うのかもな。

これだけの量の果物があれば、お店が出来る。

『あははは。』と誤魔化した。


「君の名前は?」


「私は、リリーって言うの。あそこのレイカさんにつけてもらったんだ~。」


「そうか。リリーか。良い名前だね。」


「そうでしょう?!じまんの名前なんだよ~。」


エッヘンと胸をはるリリーちゃん。


「そっか、良いね~。」


「みんな、ほとんどの子がレイカさんにつけてもらってるの~。」


「そうなの?凄いね。」


「うん。えへへへ。」


リリーちゃんはそう言うと、嬉しそうな笑顔になる。

その顔は、ひまわりのような笑顔だ。


それとやはり、彼女レイカちゃんがここの纏め役なのかな?

という事は、彼女に話を聞ければ、少しはここの子達の事情やこの周辺の話が聞けるかな?

僕はそう考えて、レイカちゃんと話が出来るタイミングを見計らった。


彼女は纏め役らしく沢山の子供に気を遣い、色々と動き回っている。

あちらの子が食べにくそうにしていたら、食べやすいようにしてやったり、こちらの子がどの果物から食べるかを悩んでいたら、それを選んであげたりと、忙しそうだ。


「こりゃあ、忙しそうだ。」


「な~に?」


僕の呟きを聞いてリリーちゃんが反応した。


「いや、あのレイカちゃんって子は忙しそうだなと思ってね。」


僕の言葉を聞いてリリーちゃんがレイカちゃんを見る。


「本当だ。もう、ビーチャが役立たずだから!」


そう言って、リリーちゃんは怒った顔になると、ビーチャの所へ向かった。


「ちょっと!ビーチャ!!」


「な、何だよ?!」


「アンタがビシッとリーダーらしくしないから、レイカちゃんが大変そうじゃない!!」


「うっ!?」


「ちゃんとして!!それにみんなも、レイカお姉ちゃんにばかり迷惑かけない!この間の話を忘れたの?!みんなで決めたでしょ?!」


物凄い剣幕で、しかりつけるリリーちゃん。

ビーチャも反論出来ず、他の子も「アッ!」として、気まずそうな顔になる。


「ごめんね。レイカお姉ちゃん。」


「ふふふ。大丈夫よ。ありがと。」


レイカちゃんは嬉しそうに、申し訳なさそうにお礼を言う。

リリーちゃんの正論と以前に話し合いをした内容によって、正しい考えとなるのだろう。


その後は、自分の事だけじゃなく、近くの子の様子を見ながら食事の再会を始めた。

レイカちゃんはリリーちゃんに連れられて、僕の近くへ来た。


「す、すいません。色々と気を遣わせてしまって。」


僕に対して申し訳なさそうに頭を下げる。

どうも、リリーちゃんが何故、あのような行動をとったのかを理解している様だ。


レイカちゃんを目の前にして分った事がる。

他の子よりも年上の様だ。14・15歳位かな?

緑色の髪でストレート。緑色の眼をしており、優しそうな印象を受ける。

薄汚れた服でなければ、上流階級の人であろう上品な立ち振る舞い。

これはレイカちゃんと呼ばない方が良いかな?


「いらない事を言っちゃったかな?」


「いえいえ。お気持ちありがたく思います。」


そう言って笑った笑顔は、リリーちゃんと同じ様にひまわりの様な笑顔だった。


次回更新は

明日、2021年3月21日、日曜日20時

よろしくお願いします。

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