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第二十五話 任命式の後に。

予定通り更新。


摂政

・君主制を採る国家において、君主が幼少、女性、病弱である等の理由で政務を執り行うことが不可能、あるいは君主が空位であるなどの場合に、君主に代わって政務を摂ること、またはその役職のことだ。


今回は政務を執り行う事が出来ない王と王妃、そしてアンジェラ王女に代わり政務を摂るわけだ。


果たして出来るのか?

出来る、出来ないで考えた訳じゃない。

やる、やらないで考えて、【やる】を選んだ時に、万が一、僕が失敗しても責任を僕一人が取れば良い形にしたかった訳だ。任命責任という言葉があるが、正直任命者に責任を取らせるなんて言うのは、現代日本では情報が沢山あるから問えるだろうが、こちらの様な世界では問う事はほとんど出来ないし、僕の権限において、そんな事を言わせなければ良い。

責任を僕が取る為になったと言える。

逆に、しっかりとした結果を出せれば、アンジェラ王女のおかげである事をアピールし、上手くアンジェラ王女に繋げば良い。

出来れば、その間に王と王妃を覚醒させたいというのが本音だ。


正直、道筋が立っている訳じゃない。

どれだけの借金があるのかも、わかってない現状では難しい話だ。

現状の確認は必須だね。


「財務を担当している人って誰なの?つうか、そもそも組織内が分からん?!」


「えっ?!」


「えっ?」


あれ?一人じゃなかったっけ?

僕は、部屋の中を見渡した。

すると、ソファに座って居る人が居る。


「すいません。考え事をされていらっしゃったようだったので。」


バッと立ち上がり、頭を下げた人。

僕の専属メイドさんじゃないね?誰だろう?


「あっ?!すいません。この度、摂政ジュン様の小間使い役に任命されましたリクです。何でも言いつけてください。よろしくお願いします。」


従者という訳か。にしても若すぎないか?


「どうかなさいましたか?」


「いや、若いなぁ~と思ってね。」


「そうですよね。ですけど、急な事でしたので、ぼ、私しか居なくて、指示を受けましてやって来た次第です。はい。」


急だからなのか?他に居そうではあるけどな。

まぁ、味方は居ないからな~。海千山千の強者どもに政治的喧嘩を売る訳だからね。

嫌がらせの一環かな?


「リク君は何歳なの?」


「えっと、10歳です。」


はぁ~10歳ね。まぁそうだろうな。

こりゃあ前途多難だな。


「そっかぁ、わかったよ。色々大変だと思うけど、宜しくね。」


「はい。よろしくお願いします。」


「じゃあ、先ずは現在のこの国の組織図みたいなのを手に入れて欲しいんだけど。」


「組織図ですか?」


「そう。頼めるかな?」


「勿論です。行ってきます。」


元気よく返事をするリクは、そのまま部屋を出て行った。


「さて、僕も動くかな?」


先ずは、アンジェラ王女の所へ行く。

情報が無いと始まらない。


アンジェラ王女の部屋を訪ねる。

本来なら前触れとか必要なのかもしれないけど、それは省く。

部屋の前にはビアンカさんが立っていた。


「アンジェラ王女殿下はいらっしゃいますか?」


「・・・。」


厳しい顔をして、睨むだけだ。

どうやら、今回の事を良くは思っていないようだ。


「あの?」


「中にいらっしゃる。」


「じゃあ、入らせて貰っても良いですか?」


「・・・。」


ノーとは言えなくて困っているのかもしれないな。

僕はビアンカさんの隣に立ち、ドアをノックする。


「は~い。」


「すいません。ジュンです。少しよろしいですか?」


「どうぞ。」


ガチャリとメイドさんがドアを開けてくれた。

王女は部屋でくつろいでいた様だ。


「失礼します。」


僕はそう言って中に入る。

簡単に挨拶をすませるとアンジェラ王女が僕に聞いて来た。


「どうなさいました?」


「明日からの執務についてなんですけど、いくつか聞いておきたいのですが。よろしいですか?」


「どうぞ。」


ニコリと笑ってアンジェラ王女は答えた。


「あの、僕は人事権も持っているという認識で構いませんよね?」


「そうですね。摂政というモノがどういうモノかを聞いた後なので、おおむね問題はありません。王の代わりで有る訳ですから、お好きな様になさって頂いて構いません。ただ、国の要職については、私に相談があると助かります。」


やはり、重いな。

だけど、これを確認しておかないと進める事は出来ない。


「わかりました。次にお聞きしたいのは・・・。」


こうやって、色々な事を確認させてもらった。

権限のラインを明確にしておかないと、いらない事で問題が起こり面倒な事になる。

なので、細かい所まで聞いた。アンジェラ王女が把握してない事は近くに居るアンジェラ王女の従者にも説明を求めた。一通り確認を終えた所で、アンジェラ王女は申し訳なさそうな顔になって、僕を見た。


「すいません。こんな事になってしまって。」


「いやいや。僕から首を突っ込んだ様なモノですから。気にしないでください。」


「ジュン様にそう言って貰えると肩の荷が少し楽になります。」


そう言ってアンジェラ王女は笑った。

その笑顔は年相応の少女の笑顔だった。


この笑顔を絶やさせない様に、僕は頑張らないと。

少女が少女のままで居られる様に、僕の出来る事をしよう。


僕は改めて、心にそう誓ったのだった。


次回更新は

2021年3月13日土曜日20時です。


よろしくお願いします。

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