第二十二話 僕の答え。
予定通り更新です。
「ふふふ。クサナギですね?良い名前です。クサナギも喜んでいるようです。」
国樹神トヨタマ様がおっしゃる様にクサナギが喜んでいる気がするから不思議だ。
「さて、ジュン。貴方にはもうお分かりでしょうけど、私が呼びました。本当はここに直接繋がっていたハズなのです。しかも、時間軸としては、あの災害の後直ぐにここに転移しているハズでした。ですが、邪魔をされてしまった様でした。私は何とか、アテナ神に力を借りて、この世界への転移に成功しました。しかし、時は流れており、このアンジェラの両親にまで害が及んでしまう事態となってしまったのです。」
国樹神トヨタマ様はアンジェラ王女を見る。
何とも言えないような感じだ。
「この都市国家オヒューカスをどうか、救ってはもらえませんか?」
僕は、前にも同じお願いをされたのではないか?そう思った。
その時の僕の答えは知らないし、知ろうとも思わない。だが。
「僕に出来る事だと、国樹神トヨタマ様がおっしゃるなら、やりましょう。」
もちろん、出来ない人間に精霊神という存在が頼る筈がない。
ここで問題があるとすれば、僕ではなく精霊神様、自らが助けるという事が出来ないのか?という点だ。そもそも精霊神様が助ける事が出来るであれば、自らしている事だろう。
だが、それが出来ない理由があるのだろう。だからこそ、僕にさせようとしているハズだ。
「ありがとう。ジュン。貴方ならそう答えてくれると信じていました。」
不幸な目に遭う人。
厳しい現実に直面する人。
そんな人は一人でも少ない方が世界にとって良いと思う。
そんな不幸を、そんな現実を、僕がどうにか出来るのなら、やらないという選択肢は無いだろう?君だって僕と同じ選択をすると思わないかい?君が誰を指すのかは分からないけど。
「僕じゃなくても、同じ様に答えると思いますよ?僕が特別ではないですよ。」
「ふふふ。まぁ、そういう事にしておきましょう。ですが、本当に良いのですか?厳しい事にも直面すると思いますけど。」
確かに、国樹神トヨタマ様のおっしゃる通り、厳しい事もあるかもしれない。
だけど、僕を拾う形で支援を決めてくれたアンジェラ王女。
たぶん、国樹神トヨタマ様の御導きがあったのだろうけど、あの時、あのタイミングで手を挙げてくれたのは、間違いなくアンジェラ王女の意志だろう。
別段、カッコいい訳でもない僕を支援してくれる。その見返りを考えても良いじゃないかって思うのに、その見返りは確実では無かったハズだ。
そう思ったら、この少女の双肩に掛かっている重責では、支援しない事を選んでもおかしくない。そう思えば、僕に出来る事ならやる。
まぁ、支援されなければされないで、別の道を歩んだとは思うけど。それは心の隅に置いとく。それに、たぶんだけど強制的に僕はこの世界に転移させられた訳じゃないだろう。
アテナ神の勇者召喚でも、本人の意志を聞いているらしい。マコトさんから聞いた事だ。
そんな神様が手を貸したのだろうから、国樹神トヨタマ様も僕に聞いてくれたのでは無いか?と思う。だが、僕はその記憶が無いだけだ。たぶんだが、邪魔した相手が何かしらの事をしてくれたのだろう。と僕は思う。まぁ、あくまでも想定だけどね。
「もちろんです。男に二言はありません。」
ちょっとカッコつけて見た。
そういうお年頃なんです。はい。
「ふふふ。わかりました。それではよろしくお願いします。」
「はい。」
「私はいつもジュンを見守っています。逢いたくなったらここに来て下されば、いつでも逢えますよ。」
「ありがとうございます。」
「あら、皆が探していますね。そろそろ戻らねば、大変な事になってしまうかもしれませんね。少し近道を作っておきましょう。」
そう国樹神トヨタマ様はおっしゃると、一瞬だけ光った。
視界も真っ白となって、見えない瞬間があった。
「この後ろに、ここに繋がるポイントを造りました。壁を抜けた直ぐ隣に繋がっています。今後はそこを使いなさい。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「では、国樹神トヨタマ様。またここに連れてきてもらえる様に、ジュン様に仕えます。」
「あらあら。そうですか。わかりました。お待ちしていますね。アンジェラ。」
「はい。では失礼します。ジュン様、戻りましょう。」
国樹神トヨタマ様は頷いて答えていた。
「ジュン。頼みましたよ。貴方は先ずは成長する事が必須です。クサナギと共に成長しなさい。」
「はい。」
僕は、力強く頷いた。
こうして、僕とアンジェラは国樹神トヨタマ様に見送られながら、ここから出る事になった。
国樹神トヨタマ様がおっしゃった通りに壁をする抜けた場所の横に一瞬で出た。ワープかな?
「アンジェラ王女!どこですか?!」
僕とアンジェラ王女はお互いに顔を見合う。
そうだった。僕は一時間も寝てしまっていた。
いくら、寛大に許されたとて、マズい時間の経過だな。
そもそも、ここまでの顛末の話をしても信じて貰える保証も無い。
それに、僕とアンジェラ王女は入れたが、他の人が入れるという保証は無い。
「とりあえず、この場所は僕とアンジェラ王女の二人の秘密にしましょう。」
「二人の秘密・・・はい。喜んで。」
僕はアンジェラ王女の手を引っ張り、一緒に壁をすり抜けて中庭に出たのだ。
次回更新
明日2021年2月28日20時予定です。
よろしくお願いします。