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第二話 二番手の勇者?


「お名前をお聞かせ願えますか?」


「はい!僕はジュンって言います。」


「ステキなお名前ですね。」


「あ、ありがとうございます。」


僕はファフニール王女を前にしていて、色んな事が吹っ飛んだ。

聞かれるがままに答えたのだ。


「ファフニール殿下。早く向かわねば、待たせておられる方に失礼でしょう。」


後ろに居る偉そうな衛兵さんが王女にボソボソと耳打ちしている。

それに強く頷き返したファフニール王女は僕に視線を戻した。


「ジュン様。誠に申し訳ないのですが、先に来られた勇者様がいらっしゃいますので、急ぎ父、王と会って頂きたいので、謁見の間へ一緒に来て頂けませんか?」


「わかりました。お供します。」


申し訳なさそうな顔になるファフニール王女に、僕は元気いっぱいに答えた。

あれ?勇者?そこまでドッキリを完遂させるの?結構大掛かりだな?なんて考えていた。



僕は、ファフニール王女の先導されて、部屋から出て、王と謁見の間へと案内された。

何処から見ても、洋風の城という感じだったのだけど、どんだけ一般人をドッキリさせたいのだろうか?


ひと際大きく立派な扉の前には、両サイドに鎧を着た衛兵さんが立っていた。


「こちらです。」


王女が合図すると、衛兵の二人が立派な扉を開ける。

そこには赤い絨毯が真っ直ぐにひかれている。

その先には階段になっており、少し高い所には王座があった。

そこに座る人がこの国の王なのだと直ぐにわかった。

そしてその直ぐ前に、こんな異国の様な場所に似合わない服装の人がこちらを見ている。


王女に先導されて、その僕と同じ様な制服を着た人の横迄連れてこられた。


「どうも。」


「どうも。」


少し安堵したような顔の黒髪の制服のイケメンと軽く挨拶をする。

少し落ち着いたので辺りの様子を伺うと、お偉いさんなのだろうか?この部屋の両端にずらっと人が立っていた。本当に謁見の間ぽい。


「どういう事だ?」

「勇者が二人なのか?」

「同時に召喚された事はあったが、後からもう一人っていうのは前代未聞。」

「神の戯れなのだろうか?」


などと色々と死語をしている様子がある。

僕はドッキリなのにそこまでやるのか?と感心した。


ただ、外人さんらしき王様役の人や貴族役の人、そして兵士役の人と大勢の外国人が居る。

それらを見て、あれ?って思い始めた。


「静まれ!」


王様役の威厳のある人が大きな声を上げた。

皆がビクッとなったのが分かる。謁見の間に静寂が訪れた。


「すまぬな。皆、今までに無い事であった為、驚いておるのだ。では改めてやり直すとしよう。」


王様らしき人がそう言いながら、横に控えていた人に合図をする。

宰相かな?


「では、ゴホン。私より改めて説明いたします。」

 

この人はこの国の宰相で、ツバイ・ヤムクンと言うらしい。代々ヤムクン家の人はこの国の要職についているとか。


「貴方がたは、この国の勇者召喚の儀式により異世界より召喚された勇者なのです。今、この世界は未曽有の危機に直面しております。どうか、お力をお貸し願いたい。」


どうやら、近隣諸国に神の使徒やらが出現したようだ。

しかも、聖神と邪神の両方の使徒が出現した。さらに、世界は混沌としていて、各地で侵略戦争が起こっているとの事だ。

普通はこういう時には、魔王が復活したとか、そういうのじゃないの?って思ったんだけど、どうやら違うらしい。この背景はどんな放送作家さんが考えたんだろうね?ドッキリにしては、少し込み入った設定だな。


「質問があります。」


隣に居るイケメンさんが、手を上げた。


「なんでしょうか?マコト様。」


マコトって言うらしい。さわやかイケメンは、芸能人なのだろうけど、見た事がない。

もしかして、僕と一緒でドッキリされている人なのかな?


「魔王討伐とかでは無いんですか?」


「違います。」


即答だった。

どうやら、この世界においては、勇者召喚とは異世界の人の力を借りる為に呼び出す事らしい。

混沌とする世界を正す役割を持つのが勇者という事の様だ。悪を滅ぼすのが勇者では無いとの事。

う~ん。矛盾している気がするな。放送作家さん。もう少し練った設定じゃないと、綻びが出ちゃいますよ?


「勇者様には、我が国をひいては、我がロックフェラ連合国に繁栄をもたらして欲しいのです。」


情勢が分からないので、イマイチピンと来ないけど、少なくとも、この国に呼ばれた勇者は国の為、連合国の為に働いて欲しいとの事だ。


「なるほど。ですが、あまり緊迫した様子は見受けられないのですが?」


「はい。」


都市国家ガリレオはロックフェラ連合国の中でも中心的都市国家のようだ。ロックフェラ連合国に参加している都市国家は187もあるみたい。都市の一つ一つが国として成立しているらしいのだが、都市から都市の間は全てロックフェラ連合国の共有の土地という事になるみたいで、都市の中だけが、独立した支配地区のようだ。中でもトゥウェルヴと言われる12都市国家が中心となっているようだ。

ロックフェラ連合国は共同で、中央都市を形成しているみたいで、その都市は連合国の首都とされているみたいだ。いつもは王様はその首都に詰めていて、連合国会議に参加しているそうだ。

 

トゥウェルヴと呼ばれる中心国家の12の都市国家で同じ様に勇者召喚の儀式をおこなうようだ。

この都市国家ガリレオは最後の勇者召喚だったらしい。

ただ、他の都市では今回のような複数の召喚はあったようだが、後から召還された事は無かったらしい。


ちなみに、連合国の勇者召喚の儀式は都市国家デルフォイのアテネ神の加護により、とり行われているそうだ。


「歴史上、13番目の勇者は今まで居なかったのだが・・・。」


ぼそりと王様がそんな事を言ったのが、聞こえてきたのは気のせいか?

ドッキリだよね?これ?






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