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第十八話 指切り。

予定通りの更新です。


今、僕は都市国家オヒューカスの王宮ジンコにてビアンカさんを先頭にして進んでいる。

アンジェラ王女が言っていた内容では、アンジェラ王女の父と母の所へと向かっているのだろうと思う。

一つの扉の前でビアンカさんが立ち止まった。

ひと際、豪華な扉の前だ。そこには衛兵らしき人が立っている。


「アンジェラ王女様、ご帰還しました。」


『どうぞ。』


中から返事を聞いてから、衛兵さんが扉を開ける。


「ジュン様。ビックリしないでくださいね?」


「ええ。」


アンジェラ王女が僕に忠告?をして先に入っていく。


「さぁ、ジュン様も。」


「はい。」


ビアンカさんに促されて入った部屋は、カーテンが開けられて外から陽光が入り、明るく綺麗な部屋だ。

部屋の中央にはベットが二つある。そこには中年の男性と女性が寝かされていた。


「こちらが、現都市国家オヒューカスの王サーストン様と王妃ラニー様です。」


「父上。母上。アンジェラは無事帰ってきました。」


「・・・。」


返事は無い。

それで僕は、察してしまった。これはドッキリなのだと。

僕は一人、キョロキョロする。が、ドッキリの板を持って現れる人は居ない。


「ジュン様もご挨拶を。」


「えっ?でも寝てらっしゃるのでは?」


僕が言った言葉は、周りの人達に衝撃を与えた様だ。

もしかして、下賤の者が王様に会う時は寝ている時と決まっているのだろうか?


「いえ。寝ているのではありません。」


「し・・・?」


最後まで口に出来なかった。


「いえ。死んでいません。」


口をキッと結び。今にも泣きそうな顔になるアンジェラ王女は説明を続けてくれた。


「お医者様がおっしゃるには、意識がない状態ですが、死んでは居ないと。」


そして、下を向く王女。

なるほど、だからこそ彼女があの場所に居たのだろう。

都市国家の代表が集まるロックフェラ連合国の会議に、王族とはいえ王女が参加するのは異例だろう。それが許される状況だった訳だ。


死んでは居ない統治者。

死んで居ないから代替わり出来ていない状況では代理が許可されるだろう。

それで実子のアンジェラ王女が参加する事になったのだろうな。

僕は覚悟を決めた。


「私は異世界より転移させられてきましたジュンと申します。この度、アンジェラ王女の御支持の元、支援して頂ける事になりこちらに来させて頂きました。宜しくお願いします。」


僕は言い終わると頭を下げた。礼をした。

もちろん、言葉による返事は無い。

だけど、何か言い表す事が出来ないけど、伝わってくる思いがある気がする。

じんわりと二人(王と王妃)から僕に対して、何かが届いてくる感じ。


「ジュン様。ありがとう。」


アンジェラ王女はニッコリと笑って僕に感謝の言葉を言ってくれた。

彼女の気持ちは僕にはわからない。だけど、諦めていないのだと思う。

父と母の目を開ける日を待っているのだろう。


そして、王と王妃がこの状態であるからこそ、回復の兆しすらこの都市国家は見せる事が出来ないのかもしれないな。


「おねぇさま!」


突然、扉が開いた。そこには小さな男の子が居た。


「フロイド様~!!」


廊下の方から聞こえた声はドタバタと走る音と一緒に聞こえてきた。

小さな男の子は、真っすぐにアンジェラ王女に向かって飛び込む。五歳位かな?

バフッという音と共に男の子を抱き止めるアンジェラ王女。


「ダメじゃない。フロイド。」


「だって、はやく、おねぇさまの顔を見たかったんだもん。」


「甘えん坊さんね。」


フロイドと呼ばれた男の子はアンジェラ王女に頭をナデナデされて笑っている。

アンジェラ王女もナデナデして笑っている。愛おしいのだろう。


「も、申し訳ございません。アンジェラ様!」


廊下から、慌てて入ってきたお爺さんは、アンジェラ王女に謝罪する。


「大丈夫です。ドイル。悪いのは我慢できなかったフロイドですから。」


「申し訳ございません。ちょっと目を離した隙に。」


再度、謝罪するドイルさん。


「さぁ、フロイド。お客様が来ています。挨拶を。すいません。ジュン様。私の弟です。」


弟に向けた優しい眼差しのまま僕に向けたアンジェラ王女は、少年の背中を押した。


「ぼく、じゃなかった。わたしはフロイド第一王子です。」


「これはご丁寧にありがとうございます。私は異世界から転移してきたジュンと申します。宜しくお願いします。」


「いせかい?てんい?」


不思議そうな顔で呟くフロイド王子は頭をコテっと横に倒す。


「ふふふ。そうです。ジュン様は黄道十二宮の勇者の方々と同じ様に異世界から召喚された方なのですよ。」


「ほんとう?ジュンさまは、ユウシャさまなの?」


フロイド王子の眼が輝く。憧れを前にした子供の反応なのかもしれない。


「いや。勇者じゃないですよ。黄道の十二宮の勇者達と同じ世界からきたモノです。ごめんなさい。勇者じゃなくて。」


「ううん。ゆうしゃさまたちのすんでいた、せかいのこと、こんどおしえてください。」


「はい。わかりました。」


僕はフロイド王子の前に小指をだした。


「なんですか?」


「向こうの世界で約束する時に【指切り】をするんです。小指を絡めてください。」


「ゆびきり?」


「はい。」


「わかりました。」


フロイド王子はトコトコと僕の前に来る。

僕は、しゃがんでフロイド王子と目を合わせた。

そして、僕はフロイド王子と指切りを交わしたのだ。


次回更新

2021年2月20日土曜日

よろしくお願い致します。

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