第十五話 都市国家の色。
ロックフェラ連合国。
都市国家が集まった連合国。都市国家の独立性を保ちながらも対外的に一つの国として対応する事で繫栄した集合体である。
各都市国家には色々と特徴がある。
商業国・農業国・工業国。軍事国・宗教国・産業国。
色々な特色を持つ都市国家が集まる。現在は187の都市国家が在籍する連合国である。
中には、漁業国・硝子国・陶芸国等の専門的な物を国家の糧にしている都市国家まである。
そんな特徴ある都市国家の連合国である都市国家オヒューカスは、特異な存在である。
特徴が無いのが特徴なのである。敢えて上げるならば、イチョウの木であろうか?
特徴が無いが故に、大きく稼ぐ事も無く、大きく発展する事も無い都市国家であった。
歴代の王は平穏を愛し民を慈しむ王であったので、幸せな都市国家として認識されていた。
しかし、100年前に事件は起こった。
都市国家オヒューカスだけが、災害に見舞われた。
自然災害である。それにより平穏な都市国家は一気に没落していく。
僅かに溜めていた金も民の為に、都市の回復に使ったのである。それでも足りず他国に借金という形で用意し、復興させて今に至る。
「それなら、税を上げたらどうなのですか?」
「それは、出来ないのです。」
「何故ですか?」
「連合国は統一税を導入しているのです。連合国内は一つの国として、同じ国民に対しての税は同じであるべきとされているのです。」
建国当時は税の統一等は無かったそうなのだが、歴史を刻む中で、問題が起こり、税に関する事は統一税を取り決めたそうだ。
民から都市国家。都市国家から連合国。という流れでお金を集める仕組みらしい。
収益(稼ぎ)の20パーセントを都市国家へ。都市国家はその税収全体からの20パーセントを連合国へ納める。その形を維持しなければ、都市国家に特徴をもたらす事は出来ないからでもあり、ある意味で平等であると言える状況を作っているそうだ。収入は各都市国家で違いがあるからこそ、平等にパーセントを決めたそうだ。更に、新規で入る都市国家もある為に、そこ都市が定額では厳しい事も考えられた為に、今のシステムが考えられたようだ。
「なるほど。軍事都市国家はどうするんですか?」
「軍事都市国家は兵役を長くおこなう事や、兵役人数を多く持ち他の都市国家の肩代わりをする。そうする事で金銭を得たりしています。」
どうも、傭兵のような形を取っているみたいだ。
商業都市国家の護衛や、連合国の軍部を担う事で、免税になったり、減税になったりしているとか。そうする事で軍部を保っているようだ。
「我がロックフェラ連合国の軍事都市国家は12都市あります。ジュン様が召喚された都市国家ガリレオもその内の一つです。軍事都市国家の中で一番有名なのは、やはり軍事都市国家インパクトですね。かの名前を聞くと他国の将兵は士気を低くすると言われています。」
「へぇ。」
有名な将軍や指揮官が居るのかな?
それとも屈強な兵士が多いとか?特殊な能力を持っているとかかな?
「軍事都市国家インパクトが恐れられるのは、歴代の王が二つのスキルを所持しているからと言われています。」
一つは、スキル【連戦連勝】という指揮系スキル。
一つは、スキル【不屈】という精神系スキル。
「この二つのスキルを継承していると言われています。王に連なる一族の者も使用できると言われており、彼らが戦場に立つとロックフェラ連合国に負けは無し!とまで言われています。その二つのスキルだけでなく、軍事都市国家インパクトに所属している人達は小さい頃より軍事的訓練を厳しく受けているそうなので、屈強な存在ですね。」
確かに、その二つは相性の良いスキルなのだろうと思う。
屈しない精神で勝ちを得たら、そのまま連勝していくのは想像できる。連勝すればするだけ強くなる指揮スキル。敵対するとキツイ事は想像できる。
「凄そうだね。」
「はい。」
誇らしげに語るアンジェラ王女の様子を見ると、ロックフェラ連合国においての軍事都市国家インパクトは、誇れる一つの存在なのだろうな。
地球で、女性が軍事を誇るってあんまり想像できないけど、戦争がこっちの世界では普通なのだろうね。
「後は、戦力という意味では、魔法都市国家デーサイですかね?魔術都市国家レンスも凄いですけど、魔法は特別ですから。後は精霊都市国家スワンも捨てがたいです。」
「魔法と魔術と精霊?」
「はい。それぞれ違いがあります。あと、呪術都市国家もありますね。彼等は通常の戦争ではあまり役に立つ事は無いですけど、魔物や霊的存在には有効ですね。」
「呪術都市国家まであるの?」
「はい。呪術都市国家サイカって言います。基本的に呪いと呼ばれる力を使うので怖れる人は多いいですね。」
ファンタジーも凄いね。
魔法があって魔術があれば、呪術もあり得るか。
精霊魔法とかもあるみたいだしね。
「呪術都市国家サイカも連合国って事は、アテナ神様の信者って事かな?」
「はい。そうですね。ですから、呪術は人に使う事はありませんし、呪術を人に行使しようとすると、アテナ神様からのギアスにより、とても強烈な激痛を伴うとされています。かけようとするだけで、死んでしまう方もいるそうですよ?」
なるほど、そういう事で平和を保っているんだな。
「まぁ、今の所は戦争で活用された記録はないので、アテナ神様以外の信者にはどうなるか分かりませんけどね。」
ちょっと怖いわ。
呪術師さんに会ったら、あまり刺激を与えない様に注意しないとな。
次回更新予定は、2021年2月11日木曜日祝日です。
よろしくお願いします。