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第十三話 侮蔑を受ける都市国家と転移者。


「どういう事ですか?」


「あれ聞こえませんか?ちょっと待ってください。」


そう言うと見えていた顔が見えなくなった。少しして通路に現れた少女。

背は低く、どうみても10歳になってない気がする。

トコトコって擬音がつきそうな感じで歩いて来る少女。


「初めまして、ジュン様。私はアンジェラと申します。都市国家オヒューカスの第一王女です。ジュン様は、いちょうの木は好きですか?」


僕も周りも驚いた顔になっていたと思う。


「ジュン様。どうしました?」


アンジェラ王女はコテンと首を傾げる。


「えっ?はい!いちょうの木ですよね?好きです。元居た世界で、いちょうの木の下でゆっくりするのが好きでした。」


僕の返事を聞いたアンジェラ王女は、笑顔になった。

その笑顔は、向日葵の様な明るい笑顔だ。


「うふふふ。」


満足したのか後ろに振り返る。


「我が都市国家オヒューカスはこのジュン様に支援を致します。」


「な、なんと?本気ですかアンジェラ王女?」


「はい。ビクサス王様。」


暫し、ビクサス王とアンジェラ王女は見つめ合う。

ビクサス王はやれやれと言いそうな顔になる。


「わかりました。では都市国家オヒューカスがジュン殿の支援をするという事を許可致します。」


「ありがとうございます。」


まだまだ自分に自信が無かったから、これで良かったのかもしれないけど、ちょっと自由な冒険にも憧れるのにな。世の中ままならないものだ。


「くっくっく。お荷物都市国家とマガイモノ。面白いコンビだな。」

「残念同士お似合いですな。」

「一か所にかたまってくれるというのは、ある意味で楽ですな。」

「なるほど。そういう考え方も出来ますな。わっはっはっは。」


聞こえる様に言うなんて、酷いな。

アンジェラ王女が下を向いてしまったぞ。

言い返す事が出来ない程に、問題が大きいのかもしれないが、誰も窘める事をせず、言わせたい放題。皆も心でそう思っているのかな?それとも言っている都市が力を持っている都市なのかな?


「それ位にしておきなさい。」


一人の女性が立って、そう諫めた?違うな。更に続きそうなのを止めただけだな。

その女性も侮蔑の色をした目を僕やアンジェラ王女に向けてくる。


「アンジェラ王女。そして、ジュン殿。そなたらはもうここにおらずとも良いだろう。ここからは、栄誉ある黄道十二宮の勇者様への支援についての話となる。良いですな、皆様方?」


周りを伺う女性。反対意見は無い様だ。

殆どの人達は、早く去れといいたいのだろうな。


「良いだろう。アンジェラ王女とジュン殿は早々に退席されるがよい。」


場を見渡したビクサス王がそう断言した。

アンジェラ王女の従者らしき人がさっと、アンジェラ王女の近くに着て耳打ちする。

それに頷いたアンジェラ王女は辺りを見渡す。


「それでは、お言葉に甘えて退席させて頂きます。さぁ、ジュン様ご一緒に。」


「はい。では失礼しました。」


僕はアンジェラ王女の挨拶の後に慌てて、頭を下げた。

アンジェラ王女はその挨拶を待ってくれていたのだろう。

僕の前をヒョコヒョコという感じで議事堂の通路を進んでいくので、僕はゆっくりと後ろをついて歩いた。


「なんと、みすぼらしい格好だ。」

「お似合いというモノだ。」


ぼそぼそという感じではなく、僕やアンジェラ王女に聞こえる様に言ってくる都市国家の代表たち。その中を退出させられるアンジェラ王女と僕。


パンパン!


「お静かに!さて、時間もありません。次の本題へと移りましょう。」


注意を引いたのはやはり、先ほどの女性だった。

それを引き継いで、ビクサス王が司会を続けるようだった。


アンジェラ王女と僕はこうして、ロックフェラ連合国会議をしている議事堂から、退席する事になったのだ。


「アンジェラ王女様。これからどうなさいますか?」


「そうですね。ジュン様が問題なければ、このまま私どもの屋敷に行きましょう。如何ですか?」


従者に対して答えながら、僕に質問をしてきたアンジェラ王女は可愛らしい瞳を僕に向けた。


「荷物を預けていますので、それを受け取ってからでも良いですか?」


「それでしたら、受付に行けば受け取れるハズですから、問題はありません。私が行って参りましょう。」


僕が問いかけた内容は些細な事だったらしく従者の方が対応してくれると言ってくれた。


「頼むわねビアンカ。」


「いいえ。大丈夫です。では、控室へと行きましょう。アグネス案内を頼むわ。」


ビアンカと呼ばれた女性は、議事堂の外に居たらしきアグネスと呼ばれた女性を呼んだ後にアンジェラ王女と僕の前から離れた。


「では、王女様とお客様、こちらへ。」


アンジェラ王女と僕はアグネスと呼ばれた女性に案内されて、控室と言われる部屋へと入った。


「ふぅ。」


「王女様、お疲れ様でした。」


アンジェラ王女は手で返すと僕の方へ向く。


「ジュン様。申し訳ありませんでした。気分を害されたのではありませんか?」


「えっ?僕ですか?いや、まぁ、あんなもんじゃないですか?それよりも王女様の方がきつかったのでは無いですか?」


僕は気にしてないと伝えると、一瞬ビックリした後、苦笑いするアンジェラ王女。


「私達は仕方が無いのです。ですが、本当にジュン様はお優しいのですね。ふふふ。」


あれ?少女のハズなのだけど、随分とシッカリしているなぁ。やっぱ王女という立場だからなのかな?

苦笑いから向日葵の様な明るい笑顔に変わったアンジェラ王女を見て僕はそう思った。


次回更新は2021年2月6日土曜日20時です。

宜しくお願いします。

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