第十二話 ロックフェラ連合国会議。
楽しい時はいつまでも続いて欲しいのに、そうはならない。
何でだろうね?なかなか上手くいかない。
そして、僕はその楽しくない場面に遭遇する事になった。
「お前は要らないんだよ!」
「君!失礼だぞ!!」
一人の男が、僕を指さして僕に迫ろうとした所をマコトさんが僕の前に出て抗議してくれた。
そう、今はロックフェラ連合国会議の中。僕の処遇に対する議題中だ。
僕を指さす男は白羊宮の勇者らしい。その彼が僕を不要と言い切った所だ。
なんで、こういう話になったかというと、黄道十二宮の勇者なので、13番目というのは無い。そこでトゥウェルヴのオッサンたちは、僕を予備として置くという話になったんだけど、それを白羊宮の勇者が異議を申し立てたという感じになった。
僕も、予備扱いされるのは嫌なので、黙っていたら、どうも放逐されるらしい所まで、話が進んだ。
トゥウェルヴの面々を見るとどうやら厄介者扱いなんだよね。無駄なお金は使いたくないって所かもね。勇者の予備って事はそれなりに好待遇にしないといけないだろうしね。
自由になれるのならまぁ、放逐でも良いんだけどな。マコトさんと離れるのは少し寂しいけどね。
「巨蟹宮の者よ。そこまで彼を擁護する必要はあるのか?」
「そうだな。熱くなり過ぎでは無いか?」
「なっ!君達迄?!同じ地球人同士じゃないか?!」
他の人も同じ思いの様だ。少なくとも僕の方へ蔑みの視線を向けてくる者達はそうなのだろう。
「「巨蟹宮の者よ。彼は勇者では無いよ。アテネ神様からの加護は受けてないもの。」」
双子だと思われる二人が僕を一瞥して言う。
「双児宮に同意。少なくとも加護を得ていない。つまり呼ばれざる存在という事。」
「神の思し召し無くして、存在は不要。」
感情のない顔で同意した人や、信仰深いような感じの人が同意している。
「勇者とかそんな事を除いたとしても、少なくとも弱い。」
「弱ければ助けてやれば良い。それに、成長を待ってやれば良いじゃないか。」
マコトさんは一生懸命擁護してくれる。
「ふん。そんな悠長な事を言えるほど、私達に余裕があるとは思えないのだけど。」
「そうだね。僕もそう思うな。」
「だが!助け合いは必要だろう?!」
「確かに、助け合うのは必要だろう。しかしそれは我々黄道十二宮の勇者の間にはな。それ以外には不要だろう。くくく。」
「白羊宮。君という男は!!」
「仕方が無いだろう?僕達はアテナ神様に認められてここに来ている。そこに居るまがい者とは違うのだよ。一緒にする方がおかしいだろう?」
「確かにそうだな。」
「そうですわ。」
「「同意。」」
「まぁ、事実ね。それに何だかみすぼらしいし。」
「なっ!君達は本当に日本人なのか?」
マコトさんは驚愕している。人が良すぎるよ。マコトさんは。
「ああ、選ばれた日本人さ。」
「くっ!」
パンパンと音が聞こえる。今まで、静かに見守っていたトゥウェルヴの面々だ。
「どうやら、結論は出たようですな。彼、ジュン殿を黄道十二宮の勇者とはみなさないという事でよろしいですな?」
「しかし!」
「巨蟹宮の勇者殿。何も殺すとかでは無いのです。放逐させて頂くだけですよ。」
「そうかもしれないが。この世界での放逐は死を意味するのではないのですか?」
「では、こうしましょう。そのジュン殿に力を貸そうという奇特な者が我らロックフェラ連合国の中に居れば、その者がバックアップするとういうのはいかがか?それでしたら、放逐ではありますまい?ただ、その都市は黄道十二宮の支配から離れなくてはいけませんがね。そんな代表はここには居ないとは思いますがね。どうします?」
「わかりました。それでお願いします。」
僕はここで初めて意見を発言した。
「ジュン君。本当に君はそれで良いのか?」
「マコトさんありがとうございます。でも本当に良いんです。そして皆さんすいません。僕の所為で時間を取らせて。」
僕はマコトさんに感謝を表し、他の面々に謝罪し頭を下げる。
「巨蟹宮の勇者よ。本人もそう言っている事ですし、よろしいですね?」
「わ、わかりました。ジュン君が良いと言うなら。私はこれ以上、何も言いません。」
ニヤリと口角を上げたトゥウェルヴの確かあれは、白羊宮の勇者と一緒に来てた人だったかな。
マコトさんは気に入らないという感じだけど、渋々納得してくれた。
「ふむ。では、このジュン殿に協力しても良いという都市は起立をしてくだされ。」
ざわざわとしたが、誰一人として立たなかった。
まぁ、こうなるよね。予測できていた事だよ。だって黄道十二宮の勇者の支配を受けれれば、脅威を取り除いてもらえるんだから。
「あの!質問してもよろしいでしょうか?」
「うん?そなたは?」
隣に座っていた人がボソリと進行している人に耳打ちしている。
「あ~。都市国家オヒューカスのアンジェラ王女でしたかな?」
「は、はい!ジュン様に聞いてみたい事があるんです。よろしいでしょうか?」
僕の位置からは手しか見えない。あれ手か?小さくないか?
「許可しましょう。アンジュラ王女どうぞ。」
「はい。ありがとうございます。」
ひょっことアンジェラ女王と呼ばれた人が立った。少し顔が見える程度。
目はかろうじて見えるぐらい。
「あの、ジュン様はいちょうの木は好きですか?」
「はい?」
この人は何を言っているんだろう?
僕はこの時は、そう思った。