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第百六話 代表者の決定。

予定通り更新。



「本当に私で良いのか?」


「ええ。お願いします。それとも嫌ですか?」


「馬鹿な。嫌な訳があるまい。お受けしよう。」



ジュンは直ぐにスカニアを呼び出し、理事長への就任を要請した。

経済面・運営面はスカニアを理事長として起用する事で統括される。

その下に、各学部の理事長補佐を設置する。

理事長補佐には二次面接をした残りの四名が選ばれた。


今回の学園創設は、学園の顔となる存在である学園総長と運営の経営面を見る存在の理事長に二つの車輪を形成する事で動かしていく事を決めている。

もちろん、この学園は都市国家オヒューカスの管理管轄する一機関である。

将来を見据え政治が教育を犯さない様にする為に、健全な運営が必要であると考えたためである。

お互いがお互いを監視し正常な学園であり続けて貰いたいと考えているのだ。


また、学園総長は全体の総括をする立場であり、小・中・高にそれぞれ学園長を立てる事にしている。

学園総長の下には学園副総長という立場も造る予定にしている。

組織化をキッチリと進める事で、一人で全てを決めて独りよがりな学園を造らないようにと考えての事である。

それにジュンが居なくなると回らないでは意味がない。

基本的に自分が運営する事を考えていないのだ。


「ジュン殿は権力を持たぬのか?」


「権力ですか?それは必要無いですね。」


「普通は権力を欲しがるモノだと思うのだがな。」


「そうなんですか?俺は異世界人ですから責任を負えないですよ。」


異世界から召喚された者。

神の加護(寵愛含む)を受けし者。

役目を終えると帰還する存在。

その一人であるジュンは責任をなるべくは持たない様にしている。

いつでもこの世界から消えても良いようにしているのだ。


神様とも話が出来る存在であり、意志を伝える手段がある存在であるが、召喚される程の事があるのだろうと考えているからだ。

国樹神(トヨタマ)様に召喚され女神テティス様に鍛えられたジュンはこの世界でも有数の力を得た存在である。

二柱はジュンに今後の事を特別に語ってはいない。

ただ、都市国家オヒューカスの危機を助けて欲しいと国樹神(トヨタマ)様に願われただけである。

結果、繫栄までを意識して動いて現在の都市国家オヒューカスがある。


「責任は持てないですけど、関わった人達が幸せに生活出来るようにはしたいんですよ。都市国家オヒューカスが今後も繁栄して欲しいですからね。」


「なるほどな。」


「なので、権力と責任は他人に負って貰います。」


「ふむ。わかった。学園は任せてくれたまえ。」


「ええ。お願いします。では早速なのですが・・・。」


こうして、スカニアを中心にした学園の組織づくりは進んで行く。

運営を任せる人材の頭の方は固めたので、下の者はスカニア達にお願いする。

もちろん、国の運営する学園であるので、王族との挨拶は欠かせない。

王族には理事として一名ほど参加してもらう事になっている。

先王アンディスが理事の一人になる。

貴族家から一名に平民層から一名。

外部から一名。

シャルマン商会から一名。

そして全てのギルドから選任された者が一名。

そしてジュンが入り7名の理事会が運営に口を出す事になっている。

国が運営する独立した組織を目指して。


「で、学園長はどうするんだい?」


「それなんですけど、ザバルティさんが良い人がいるって言っているので、今度会う事になっています。」


「へぇ。あの方は本当に顔が広いな。」


「はい。頼りっぱなしですよ。あははは。」


自虐的に笑うジュン。

しかしスカニアは『それもジュン殿がやるから手助けしてもらえるのだろう。あの方に助けて貰える事も凄いと思うがな。』と思ったが言葉にはしなかった。



後日、ザバルティより紹介されたのはある冒険者ギルドのギルドマスターをしている年配の女性だった。

名前をドロンジョと言い、冒険者達にはミス.ドロンジョと呼ばせている女性だ。

元々はどこかの貴族であり、孤児たちを育てて立派な冒険者にしてきた経歴を持つ者である。


「本当に、こんな老いぼれに初代学園長を任せても良いのかい?」


老婆というには些か覇気と威厳がある女性だ。

元貴族であるハズだが、丁寧な話し方はしない。

『イケイケの冒険者ギルドマスター』というイメージが湧くほど、老いを感じさせない人である。


「もちろんです。」


ジュンは即答した。

面倒見が良いという話はザバルティから聞いており、冒険者の間では有名な存在であるミス.ドロンジョ。

学園長という立場にピッタリだと思ったのだ。

覇気と貫禄も即答した理由の一つである。

そして、貴族出身である事もポイントが高い。

この世界の支配層が貴族である以上、やり合う事も出てくる。

貴族の事をよくしる人物であるのだから、無難に対処してくれるであろうというのだ。


理事長が元商人で、学園総長が元貴族。

色々な意見を交わせば良い学園になるだろうと考えたのだ。

共に女性であるのが面白い所ではある。

『男尊女卑』までいかなくとも男性を優遇する社会に一石を投じる意味でも話題性抜群である。


「ほぉ、即答かい。面白いね。いいだろう。受けようじゃないか。」


「ありがとうございます。」


ガッチリと握手を交わした。

学園総長が決まり学園副総長や各小・中・高の学園長や職員の任命や推薦をミス.ドロンジョに一任する事になった。



こうして学園の組織作りは進んで行く。

代表者が決まれば徐々に形になっていく。


「ようやく、人の目途がたったな。」


「そうね。で、今後はどうするの?」


「そうですね。少しゆっくりします。」


強い日差しを受けて眩しい為に手を翳しながら、ジュンは目の前の建築中の建物を見上げた。

リスターは『本当に休めるのかしら?』と思いつつも口にはしなかった。

その横顔を、ただ優しい眼差しで見守っていただけだった。



次回更新は

2021年10月30日(土曜日)20時

よろしくお願いいたします。

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