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第百三話 人、人、人。 

予定通り更新。


「うぉぉ!?」


「やっぱ多いな。」


目の前には人、人、人であった。

ジュンは予想していなかった為に驚き、ラムザは想定より多いと感じたのみだった。


「これは?」


「うん?これはお前の学校の教師候補者達だ。」


「全部?」


「ああ。もちろん全部だ。今日は帰れないかもしれないな。」


「マジっすか?」


「ああマジだ。まぁどうせ暇だったんだろ?」


「暇でしたけど、何人居るんですか?」


「500人ぐらいだな。」


「それなら、先に連絡くださいよ。」


「驚かそうと思ってな。かっかっか。」


見渡す限り、人、人、人である。

ジュンがウンザリしてしまうのも仕方が無い事であろう。

この500人との面接が控えているのだから、誰で同じようなモノである。


「ジュン殿。ご無沙汰しております。」


「これは、チャンプリンさんじゃないですか?もしかして尽力してくれたのは、チャンプリンさんですか?」


「ええ。その通りです。大変でしたよ。もちろんザバルティ様が一番大変でしたでしょうけどね。」


「もしかして、ここにいる全員が?」


「ええ。欠損奴隷でした。」


一週間足らずで欠損奴隷をこれだけの人数集めるのも凄いが、欠損を全て治してしまえるザバルティも凄いとジュンは開いた口が塞がらなかった。



ジュンが落ち着いて直ぐに面接を開始する事になった。

先ほどは全員との顔合わせみたいなもので、人数を教える為のモノだ。

面接は別室でおこなう為に、ジュンはラムザとチャンプリンと分かれて面接部屋へと一人入った。

この大面接会を取り仕切ってくれるのはシャルマン商会の商会員であり、ジュンとは顔馴染みとなっているリスターさんである。

いつものメガネを掛けており秘書の様な姿をしており、出来る女感が半端なく溢れ出している。


「リスターさんは確か、シャルマン商会の幹部さんじゃなかったっけ?」


「ふふふ。嫌ですよ。私はジュンさん一筋の専属です。」


「えっ?いつから?」


「シャルマン商会とジュンさんが交流を持った時からです。」


うふっとハートマークが飛んで良そうな表情をするリスターは美人さんである。

人間と獣人のハーフであり、耳こそ猫耳では無いが猫の様な長い尻尾がある。

普段はびっちりと体に這わせている為、外見的には人にしか見えない。


一度、ジュンは尻尾を見せてもらっている。

猫族と信じられずにいた時にリスターは尻尾を出して見せたのである。

それ以来、外に出る等の時以外でジュンと一緒に居る時は尻尾を見せている。

それはジュンが『綺麗な尻尾だな。』と見惚れていたからであるが、ジュンには自覚がなく『なぜ、尻尾を出しているのだろう?いつもは出していないのに?』と疑問に思っているが聞くほどではないと思っている。

お互いに思いの丈がそれぞれ違っている二人ではあるが、阿吽の呼吸で面接を捌いていた。


面接時間は一人10分までとして、その限られた時間の中で幾つか質問をしたり特技を聞いたりするのだ。


「ふぅ。どれだけいった?」


「まだ50人です。食事にしましょう。」


10分×50人で500分。

既に初めて8時間が経過していた。


「そ、そうだね。お願いします。」


「了解。」


リスターは部屋を出ていく。

それを見送ったジュンは、ふぅーっと息を吐いた。

そして先ほどまで面接してきた面々を思い浮かべる様に資料を手にして見ていた。


一芸に秀でた人から万能タイプまで揃っている様子で、多岐に渡る人材が揃っていると理解したジュンは一生懸命に資料を見る。

たった50人しか面接が終わっていないが、その50人でも直ぐに欲しいと思える者ばかりであった。



少ししてリスターがラムザを伴ってやってきた。


「よう。どうだ?」


「凄いっす。人材が揃っていますね。」


「ああ。そうだろう?なんせ5000千人以上の中から選別した500人だからな。」


「五千人?!」


「ああ。そうだぜ。大変だったよ。」



巨額の人数が出た。小さな町レベルなら町一個分の人数に当たる。

その中から人選した10%なのだから、能力が高いのも納得である。


「すいません。俺の為に。」


「いやいや。謝るなよ。感謝の方が良い。」


照れ気味にラムザが答える。


「そうですね。謝罪じゃないですね。ありがとうございます。」


ジュンは素直に感謝を述べて頭を下げた。


「ああ。感謝を受け取った。」


こそばゆいやり取りだが、ジュンは本当に感謝した。

ただ、甘えているという気持ちがない訳では無いが、してくれる事を拒む理由も無ければ、自分が出来る事の範囲をジュンはよく分かっている。

100年という時間を時の止まった中で過ごした事で、『俺が俺が』という『が』が大きく減った事も大きいだろう。

助けてもらえるなら助けてもらえばいい。

全てを自分がするというのは人間である以上、無理なのだ。

得意な事を得意とする人にしてもらえば良いのだ。


もちろん、無償では無いし借りっぱなしにはしておかない。

ただ、どうやったら返せるのか、分からない程の大きな借りを作ってしまったという気持ちはある。

だから、素直に『感謝』するのだ。


『いつか、借りは返そう。』

心に強く思うジュンの姿がそこにあった。



「あの、本当に全員の面接が終わるまで続くんですか?」


「ああ。もちろんだ。頑張れよ。」


「ふふふ。ジュンさん、頑張りましょう。」


そのラムザとリスターの言葉を聞いて、ジュンは肩を落とすしか出来なかった。

この後、ザバルティ邸からの差仕入れられた弁当をヤケ食いして三時間の御休憩を必要としてリスターに激怒され、デートの約束を取り付けられてしまったのも仕方がない事かもしれない。


次回更新は

明日、2021年10月17日(日曜日)20時

よろしくお願いします。

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