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第九十八話 闘技都市ライアン。

予定通り更新。


「あれは?」


ジュンガ指さす場所には大きな建物が見えた。


「あれは闘技場だ。ここは闘技都市ライアンでその中心になる場所だ。かなり大きいぞ。」


闘技場が街の中心にあり闘技場は円形をしておりその直径は200メートルに及ぶ。

闘技都市ライアンはアスワン国内の南にある街であり王の直轄地であり代官制ではなく議員制で街の運営がおこなわれている独特な街である。

その所為か、アスワン王国において違う毛色を見せる街である。


そしてそんな闘技都市ライアンの街並みの中心地ではなく少し奥まった場所を四人は歩いている。


「あの、もしかしてここって。」


「ああ。ここは奴隷商館が立ち並ぶ場所だ。」


「やっぱり。」


「ジュンは奴隷商館には入った事はあるのか?」


「いえ。ありません。そういう機会は無かったです。」


「そうか。奴隷もこの世界の一部だ。よく見ておけ。」


「は、はい。」


「これでも、この街の奴隷商館は良くなった方ですからね。昔は本当に酷かった。ザバルティ様のおかげです。」


奴隷商館

奴隷を商品として扱うお店である。

この世界においては労働力として期待される所もある。

金銭的な困窮者がなる事もあれば戦争で捕虜となった者や犯罪者がなる事もある。

様々な理由から奴隷制度は成り立っている。

ただし奴隷に関する法律が国々によって制定されている。

奴隷に対する世界機構も存在する為、無法は許されていないが、監視の目が行き届く事が少なく犯罪の温床に繋がっても居るのだが、この世界には過酷な労働を必要とする場所が有り制度自体を無くす事は難しい。

被害者となり得る存在がある中で働かざる者(犯罪者)が国により保護されるという側面を無くす目的もあるからである。

奴隷が一概に悪とは言えない所以である。

現状では奴隷も人という括りでの扱いとなっている為、奴隷主には最低限の衣食住を保証する義務はほぼ全ての国において制定された法律である。

そんな奴隷は国の管轄の元、賞品として取引されている。

尚、アスワン王国内にての奴隷制度は固い法律によって奴隷の最低限の人権が認められており、人さらいによる奴隷落としは重罪で死刑に準ずるモノとなっている。

また、奴隷本人の身分証も国が発行する事になっており、一人の奴隷の出身地から経緯までを詳細に書かれた書類作成と提出が義務づけられている。


「今はそれほど迄厳しい法律が制定されていますから、そうそう問題は起こりえませんが、それでも違法奴隷販売は秘密裏にされているのではないかと危惧しております。」


「チャンプリンさんはもしかしてお貴族様なんですか?」


「いえいえ。滅相もございません。私はしがない奴隷商人でございます。」


「奴隷商?でも他とは違って綺麗な館でしたよね?」


「そうだ。彼は世界でも有数の奴隷商人らしくなく奴隷に優しい奴隷商なんだよ。」


「くっくっく。見た目に合わねぇがな。」


ザバルティが説明しラムザが茶化す。


「お二方ともおやめください。」


「あははは。でもなジュン。チャンプリンは奴隷の事を本当に大切にしている。将来を考えて売り先も考える男だ。」


「私もチャンプリンさんの所で奴隷を用意してもらっている。チャンプリンさんは私の大切なパートナーの一人だよ。」


ラムザとザバルティがチャンプリンを信頼している事は十二分にジュンに伝わった。

伝わったのだが、ジュンにはどうにも納得できない部分があった。

『でもそれって、ここに来る前の段階で僕に伝えてくれれば済む事じゃないですか?それをどや顔で今言われてもなんかちょっとね・・・。』

ジュンは複雑な心境であったがそれを顔には出さずに頷くだけにとどめた。


人がごった返し、通路は綺麗に舗装されており清潔感はあるが何処か辛気臭い雰囲気が続く道。

店と店の間は一定以上の間隔があいており、ちらほらとそこからこちらを除く存在がある。

建物の二階や三階部分からも視線を投げかける存在がある。

多種多様な場所から視線を感じる場所である。


雑談を繰り返しながら進んでいくと、周辺の建物よりひと際目立つ建物が見えてくる。

大きさもさることながら古さも目立つ理由である。


「あれが東の大将の場所か?」


「はい。」


「東の大将?」


「うん?ジュンは知らないか。」


「ジュン。この街が闘技都市ライアンである事は伝えたな。」


「はい。」


「闘技都市ライアン。闘技場を中心にした街であり東西南北にエリア分けされた街でもあるんだ。そしてその東のボスが東の大将と呼ばれているんだ。ちなみに南の大将はこのチャンプリンさんだ。」


「そうなんですね。街の有力者という訳ですね。」


「そういう事だ。そしてその東西南北の大将達は全員同じ所がある。」


「そうです。私どもは奴隷商であるんです。もちろん副業的な部分でもあったりするんですが、奴隷も扱っているんです。それがこの街での有力者の証でもあるんです。」


「独特な文化がここにはあるんですね。」


「ああ。ここは闘技都市だからな。どうしても奴隷が増えるし奴隷が必要なんだよ。」


「そうですね。奴隷無くしてこの街は成り立ちません。だというのに分かってない輩が多すぎるんですよ。」


興奮気味のチャンプリンには『思い』がある。

その『思い』は『理念』とも言う。


奴隷無くしてこの街は成り立たない。

奴隷がいるからこの街は存在する。


複雑な環境、複雑な文化がこの闘技都市ライアンにあった。


次回更新は

2021年10月2日(土曜日)20時

よろしくお願いします。

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